「いらっしゃい大地君。待ってたわよ?」 「う……ご、ご挨拶遅れて申し訳ないです。これ、つまらないものですが」 「あらあら、そんな気を使ってくれなくて良いのに」 逃げていたわけではないが、逃げたかったことへと向き合いに来た。 すなわち、早瀬優作の件で無駄骨を折らせてしまった茜ママへの挨拶に来たわけだが。「あ、れ?」 「どうかしたのかしら?」 「……いえ。その、もしかしてそんなに怒ってなかったりします?」 菓子折りを手渡せば意外にもすぐ受け取って貰えた。 いつもならもうちょっとネチネチと言うか、こっちの心をグサグサ刺してくるんだけども。「怒っては、いるわよ?」 「大変申し訳ありませんでした」 土下座も辞さない覚悟です。でも一言言って良いですか、怖いです。フェイント怖い。 ママがそれしたら割とシャレにならないんでほんと勘弁してもらいたいです。「冗談よ。大地君のお願いなら喜んでだし、正直メンテ代浮いてラッキーと思ってたから」 「せ、誠心誠意務めさせていただきま――思ってた、ですか?」 「そう、思ってた、よ」 にんまりととても50台には思えない妖艶な笑みを浮かべられた。 ただでは転ばない人ではあるが、これはこれでアリって想定だったんだろうな少し気持ちが軽くなったよ。 ってかうーん、やぁっぱ美魔女って茜ママの為にあるような言葉だよな……俺が変に枯れてなかったらなぁ。そりゃ金持ちオジたちが贔屓にするよ。いや、現実逃避はやめようか。「何、しましょ?」 「うふふ。もうちょっとこのやり取りを楽しみたかったけど、いいわ。ちょっと最近、立ちんぼ界隈で荒らしがあるみたいでね」 「荒らし、ですか? 季節の変わり目はざわつくものですけど、そういうわけでもないと」「そうね、見守っておけば勝手に落ち着くって種類のものじゃないわ」 義理人情の世界だ。助け合いと言う名前のこういうお願いはよくあること、だが。「いつもならメイちゃんにお願いするんだけどね。太客の接待に出てるみたいで」 「あー……それで俺にですか。でも、俺に任せるってことはアレですよ?」 「わかってるわ。今回の件はちょっとね、他の交渉にまで首突っ込んでお客奪ってるみたいだし目に余るの。お取り潰しで考えていてね」 お、お取り潰し想定とは……それは中々のオイタだね。 立ちんぼなんて半
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