写真に写る女性……紛れも無く九条征哉と一緒に居た女性だった。私は一ノ瀬恭介を見上げて言う。「間違い無いですね、彼女が九条征哉と一緒に居た女性です」そう言いながら写真を返す。一ノ瀬恭介は私にそう言われて写真を受け取ると、踵を返して無言で応接間を出て行く。その写真をもったまま。(あれはどういう感情? 衝撃を受けたの? それとも……)そう思いながら振り返る。私の背後ではわなわなと震えている面々が居た。一ノ瀬瑛理香は顔を真っ青にしているし、高橋翔太も顔面蒼白、一ノ瀬華瑛に至ってはその顔が般若のように歪んでいる。(何なの? 一ノ瀬家長女はこんなにも疎まれていたの?)これだけの人間が一人の人間に恨みや憎しみを持つなんて、一ノ瀬美緒という女がどれだけの悪女なのか、とそう一瞬考えたけれど。どうもおかしい。「嘘……嘘よね……?」一ノ瀬瑛理香がそう呟く。近くに居た高橋翔太に縋りつき、一ノ瀬瑛理香が喚き出す。「嘘よね? お姉様は死んだのよね? だって遺体だってあったし……あの爆発で死なないなんて無いわよね?」矢継ぎ早にそう言って、婚約者である高橋翔太に縋っている。「ねぇ! 翔太!」一ノ瀬瑛理香のキンキンとした声が耳を切り裂く。(本当にうるさい女ね)私はそう思いながらただ黙って成り行きを見守る事にした。(だってその方が情報が入って来るもの)「美緒は、死んだ……遺体も見た……」そう呟いた高橋翔太の顔が変わって行く。呆然とした顔から怒りが浸透していくのが手の取るように分かるほどの表情の変化だ。「美緒が生きている……? じゃあどうして俺のところに来ない……? 美緒に優しくしてやってたのは俺だけだった筈だろう……?」そう呟くのを聞いた一ノ瀬瑛理香が高橋翔太を見上げている。「お姉様に優しくしたの? いつ? あなたは最初から私の事が好きだったんでしょう?」痴話喧嘩が始まりそうで、辟易する。一ノ瀬華瑛はさっきまで般若のような顔をしていたけれど、今はもう無表情になっている。(このオバサンが一番、感情が見えないわね……口も堅いし……)そう思っていると、一ノ瀬華瑛がスッと立ち上がり、私の前まで来ると聞く。「本当に九条征哉と一緒に居たのが、一ノ瀬美緒なのね?」念を押すようにそう聞かれて私は一ノ瀬華瑛を真っ直ぐ見ながら言う。「えぇ、間違いありません。
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