お爺様に言われて隣の部屋に入った私の目の前にはたくさんのものが用意されていた。「こちらへどうぞ」そう言って案内された先に、用意されていたのは何着ものドレス。そして宝飾品の数々。バッグや靴まである。「これ、全部ですか?」思わずそう聞くと岩本さんが微笑む。「これでもかなり少なめです」そう言われて私は吹き出す。その部屋の奥にあった着替えのスペースで着替えをし、お爺様が用意したというドレスを着る。靴や宝飾品を身に着け、出る。岩本さんは微笑み、私を案内する。「こちらへ」そう言われて扉の前に立つ。頭の先から足の先までお爺様に頂いたもので全身をまとめ上げた私はおかしくないだろうか。そう思いながら扉の前に立つと扉が開かれる。お爺様と九条征哉が振り返り、私を見る。二人とも目を細め、口元が緩んでいるのが分かる。「美織、おいで」九条征哉がそう言い、私に手を差し出す。私は真っ直ぐに九条征哉の元に歩く。九条征哉は私の胸元を飾っているブローチを見て、更にお爺様を見る。「ホワイトファング、ですか?」少し笑いながらそう聞く九条征哉にお爺様が微笑む。「そうだ」ホワイトファングを模した形のブローチ。キラキラと宝石たちがきらめき、眩しいくらいだ。九条征哉とお爺様は視線を交わし微笑み合っている。私が隣の部屋で着替えているうちに何かを話し合ったのか、互いに互いをリスペクトしているような雰囲気があった。「何か、お二人で話を?」そう聞くと九条征哉が微笑む。「あぁ、お爺様と美織の素晴らしさについて話していたよ」そう言われて私は笑う。「何、それ」お爺様が私の肩に触れて言う。「美織は美しく気高く、そして愛らしいという話をしていたんだ」私はそう言われて更に笑う。「お爺様まで」◇◇◇帰りの車の中でずっと考えていた。「七倉……七倉……」そう呟きながら、その名を口にする。でもどうしても思い出せない。(七倉って聞き覚えがあるのだけれど)結局、私は気が削がれてしまい、買い物はしないで帰って来た。ずっと七倉の名前が頭の中に残っている。(あれだけ高級なブローチを買うくらいだもの、一ノ瀬よりもお金持ちなのよ)それなら知っていてもおかしくはないのに。どうして私は七倉という名前にピンと来ないのだろう?家に帰り着いて、私はお母様の元に行こうとして、呼び止められる。「
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