私は自室でお茶を飲みながら考えた。七倉がお姉様の実母の実家だというなら、現状、その血筋の人間が絶えてしまったけれど、縁戚ではある。セブントレジャリーとかいう大会社のCEOに七倉の人間が座っているなら、あのホワイトファングだって、私も買って貰える立ち位置には居るんじゃないかしら。あのホワイトファングが誰に贈られたのか、気になって仕方ない。七倉家ってあのホワイトファングを身に着けるような年頃の女性なんているのかしら。そう思うと居ても立っても居られなくて、私は立ち上がる。そうよ、会いに行けば良いのよ。七倉だって私のお爺様にあたるじゃない。血は繋がっていないけれど、一ノ瀬家と七倉家はお父様とお姉様の実母が結婚していたんだから。「瑛理香お嬢様、どちらに?」メイドに聞かれて私は言う。「七倉に行くわ」◇◇◇(この女、正気なの?)そう思わずにはいられなかった。七倉家は美織様のご母堂様のご実家だ。目の前の一ノ瀬瑛理香とは何の関係も無い。「他家へは唐突に行かれても、お会いになれない事もございます。ですので事前にアポイントを取った方がよろしいかと」そう言うと一ノ瀬瑛理香は私を見て笑う。「どうして? うちは七倉とは縁戚でしょう?」一ノ瀬瑛理香はそう言って鼻を高くする。「それなら私が七倉に行っても問題無い筈でしょう?」そう言いながら一ノ瀬瑛理香は鼻歌を歌い出す。正気じゃない、そう思った。確かに理屈上では一ノ瀬瑛理香の言い分は通るだろう。けれど、七倉の血筋である香織様は亡くなられ、その血を引いていた美織様は、一ノ瀬家の歴史上、亡くなった事になっている。つまりは既に繋がりは絶えているのだ。今まで頻繁に行き来があるとか、互いの関係を保つ為の努力をしているなら話は別だけれど。そう思いながら私はこの目の前のお嬢様が七倉家を叩き出されるところを見たいとも思っている。「あなた、名前、何だったかしら」そう言われて私は言う。「真中です」そう言うと一ノ瀬瑛理香が言う。「真中、付いていらっしゃい」そう言われて私は頷く。「はい、お嬢様」◇◇◇美織は俺を見て、その瞳に涙を浮かべる。俺は静かに美織に近付き、ベッドに腰掛ける。手を伸ばして美織の頬に伝う涙を拭う。「落ち着いたか?」そう聞くと美織は静かに涙を流しながら俺の手に頬を寄せ、瞳を閉じて言う。
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