「暁斗様、このような情報が入っております」そう言われて差し出されたタブレットを見ると、そこには四季凪の文字。「僕の家門に加わった人間が……?」坂崎に聞くと坂崎が言う。「九条征哉でしょう」そう言われて苦笑する。我が四季凪家はかなり昔に名前だけを残して、その家の人間は絶えたと言われて来た。だが、実際には遠縁ではあるものの、直系として今は僕・四季凪暁斗が居るが、それは公には知られていない。あの九条征哉であっても、だ。九条家は四季凪の家の名跡を守る為に四季凪という名跡を保護・管理している、と表向きはそうなっている。それは僕自身も把握している事だ。四季凪家は力が弱まってしまい、僕は直系であるにも関わらず、四季凪の名を欲しがる者たちから逃げ延びなければならなかった。それだけ四季凪の名を持つ事は、政財界にとっても、世間的にとってもかなり大きな影響力を持つ事と同義だった。だから僕は四季凪を名乗らず、現在は凪野と名乗っている。そんな四季凪に追加された名前。四季凪美織……聞くからに美しい女性である事が窺える名前だ。急に追加されたのだから、九条征哉によるものだろう。九条征哉は覇王だ。今のこの世界においては彼よりも力が上の人物は居ないだろう。「暁斗様、いかがいたしましょう」坂崎にそう聞かれて俺は考える。「……会ってみたいな、その四季凪美織に」◇◇◇面白いように話が進んでいた。あの盤石だった九条グループの株価が落ちてきている。たった一つの噂を流したに過ぎないのに、だ。絶対王者の九条征哉が体調の不調を抱えている。ただそれだけの噂でこんなにも脆くも崩れ去るなんて!最初はただ家同士が決めた結婚だと思っていた。いわゆる政略結婚だ。相手は一ノ瀬家の長女。見た目も地味で面白味の無い女。一緒に居ても何の刺激も無く、日々、淡々と過ぎて行くだけの女。退屈凌ぎに俺は美緒に気付かれないように遊び回っていた。そんな時に俺に声を掛けて来たのは一ノ瀬家の次女の瑛理香だった。瑛理香は派手な見た目を上手く押し隠し、一ノ瀬家に馴染んでいたが、仮にも義理の姉の婚約者である俺に声を掛けて来たのだから、面白そうだと思った。聞けば瑛理香は一ノ瀬の正当な血を受け継いでいるそうだ。だから俺にとっては美緒だろうが、瑛理香だろうが、どっちでも良かった。高橋家は新興の財閥。最近になっ
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