シャワーの音がぴたりと止まった。静寂だけがとり残されたバスルームを出たチャン・ハヌルは、部屋に満ちている濃厚なムスクの香りに思わず息を呑んだ。シルクのローブをはだけさせたユファンが、壁に寄りかかってハヌルを待っていた。緩く結ばれたベルトの隙間から覗く逞しい胸筋が、薄暗い照明の下で滑らかな陰影を描き出している。「随分と長かったな」低く沈んだユファンの声が、湿った空気を鋭く切り裂いた。剥き出しの胸元を晒したその佇まいは、破壊的なまでに致命的だった。ハヌルはつばを呑み込み、慎重に一歩を踏み出した。「ちゃんと……きれいに洗っていたんだ。ユファン、すごくいい匂いがする」同じ男から見ても、その肉体は感嘆するほど見事だった。肌から立ちのぼる香気は、ハヌルの正気を狂わせるに十分なほど妖艶だった。「チャン・ハヌル、お前こそ甘い匂いがする。今すぐ食っちまいたい」「うっ……」バスルームのアメニティの残り香のせいか、それとも自分を渇望するユファンの視線のせいか、ハヌルは全身が熱さで溶けていくような錯覚に陥った。「やっぱり、少しお酒でも飲んだ方がいいんじゃ……すごく恥ずかしい」素面のままで、この圧倒的な存在感を受け止める自信がなかった。しかしその瞬間、ユファンの大きな手がハヌルの手首をひったくるように掴んだ。暗い独占欲を宿した瞳が、ハヌルを真っ直ぐに射抜く。「酒はダメだ。今日起きることを、一瞬一秒まですべて記憶に刻み込まなくちゃならないからな」断固とした命令に、ハヌルは息を詰まらせた。ユファンはハヌルの耳元に唇を寄せ、低く囁いた。「それに、この前だって一緒に寝ただろ。何を初めてみたいにガチガチになってるんだ?」ハヌルの顔が爆発しそうなほど真っ赤に染まった。唇を噛んで躊躇うハヌルの反応を愉しむように、ユファンの暴露は続いた。「あの時、お前は俺の身体の隅々まで触りまくった。俺をあんなに昂ぶらせておいて」「お願いだから、もうやめて!」
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