All Chapters of こちらギルドの調査員: Chapter 21 - Chapter 30

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第21話 俺、いらなくね?4

 ガーの親分が一歩踏み込んだかと思ったら、次の瞬間にはもう闇シラベが消し飛んでいた。 いや、ほんとに一瞬だ。  影が蠢いたと思ったら、拳と蹴りで光に散らされてる。  悪霊だの精神攻撃だの、そんな小細工が通じる相手じゃないらしい。 ……マジかよ。 胸の奥がギュッと縮む。  いや、縮む必要ないんだけど、勝手に縮むんだ。  俺が数分かけて心労で悶えてた相手を、親分はあっさり片付けやがった。 やっぱ規格が違う。  そりゃ、子供に人気だわな。  そして、残ったのはムーンフェイド。 青白い光が倉庫内に満ちて、冷気が肌を刺す。  ガーの親分は微塵も怯まず、真っ向からその怪物と対峙していた。「……いやいや、狼と氷の亡霊って、絵面が完全に別の物語だろ」 後ろからは「親分! 後ろは任せるであります!」なんて声が響いた。 マルマルだ。  短足でちょこまか動きながら、妙に真面目な応援を飛ばしている。 その声量で、ムーンフェイドが二匹くらい増えるんじゃないかと心配になるのは、俺だけだろうか。 他の警備隊の連中は、残った闇シラベを相手にしていた。  光を掲げ、剣で影を切り払い、叫び声と金属音が倉庫内に交錯する。  戦場、って言葉がこれ以上なく似合う光景だ。 ……あれ? 俺、いらなくね? 天窓の縁に手をかけながら、思わず心の中でツッコんだ。 ガー親分はムーンフェイドと対峙、マルマルは後ろで吠え、警備隊は闇シラベを追い詰めている。 俺?  屋根にしがみついてるだけのモブだ。 それでも、バレちゃいけない。  ここで「アルディン、勝手に侵入してました」なんて報告が回ったら、課長の頭頂部から残り少ない毛根が全滅しかねない。  だから俺は、息を殺して天窓へと這い上がった。 ……ここまでくりゃ大丈夫だろ。
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第22話 それは業務範囲外1

 倉庫の中は、まるで三すくみの絵図だった。  俺と警備隊、そして向かい合うムーンフェイドとデーモン。 デーモンはまだ自分の体を確かめるのに夢中だ。 指を一本ずつ曲げ伸ばし、首をこきりと傾け、肩を鳴らす――新品の肉体試運転中ってやつだ。 一方ムーンフェイドは違った。  あいつはもう、確実にこっちに狙いを定めている。  生気のない目が、まるで獲物を見据える獣みたいに。 格好よく登場したつもりだが、さてどうしたものか。  いや、どうもしようがない。  とりあえず武器だ。「おい、マルマル。その一生使わないであろう剣を貸してくれ」 「なんですと!」 「いいから、早くしろ!」 「まったく、武器も持っていないとは……」 ぶつぶつ文句を言いながら、マルマルが剣をポイっと投げてきた……が、見事に俺の手には届かず、足元にガシャンと落下。 ……届いてねぇよ、おバカ犬。 その時だった。  ムーンフェイドがスッと動いた。 青白い残光を引きながら、確実にこっちへと迫ってくる。 一方で――ガーの親分は動かない。 正面のデーモンをにらみ据えたまま、一歩も引かず、まるで氷像みたいに構えている。 ……おいおい。 つまり親分は、ムーンフェイドを俺に任せるつもりか? 俺、ただの調査員だぞ? 役職に「アンデッド専門」なんて書いてないからな! 胃がさらに縮んだ瞬間、体は勝手に動いていた。  足元に落ちた剣を、即座に足で蹴り上げる。  トンッと柄が軽やかに跳ね上がり、手に収まった。「よし、ナイスキャッチ……!」 心臓バクバクだが、口だけは軽口を叩けるあたり、俺の悪癖も大したもんだ。「マルっ!」
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第23話 それは業務範囲外2

 思わず叫びそうになったが、そんな余裕もなく身を翻す。  剣先をわずかに下げ、滑るように横へ。 直後、俺のいた場所を冷気が切り裂いた。  床板がキシリと音を立て、瞬く間に白霜に覆われていく。「骨野郎め。これだからパーティー推奨なんだがな、こいつは……」 ぼやいてる間にも骨野郎は三度、目前に出てきた。  間断なく迫る一撃、反撃の隙を一切与えない。 木箱を盾にし避け続けながら、少しでも距離を取ろうと横に跳ぶ。 そのとき、視界の端で骨野郎の目がぎらりと光った。 ……あっ、やべぇやつ。 青白い閃光とともに、空気そのものが震える。  あの動作――氷の衝撃波だ。 氷の衝撃波がくる――そう思った瞬間。 横から飛んできた影が、骨野郎の側頭部を殴りつけた。 ミシィっと骨が軋む音が響き、青白い残光ごと吹き飛ぶ骨野郎。 親分だ。 氷の悪魔相手に素手で殴り込むとか、発想が完全に人間やめてる。 まぁ、獣人なんだけどな。「鈍ったな、アルっ!」    殴った勢いそのままに、親分は体を一回転。 言いたいことだけ告げ、体勢を立て直すと、もう一度デーモンへ突進していった。「あっちは別次元だな」 ムーンフェイドの動きが止まった隙に、俺は呼吸を整えた。「……これは逃がせねぇ」 腹を括って、魔力を剣に集中させる。  赤い光が刀身に走り、炎が纏わりついた。  即席の火剣ってやつだ。 一足で懐へ踏み込み、下から切り上げる一振り。  ムーンフェイドの厄介な腕が、炎の軌跡を残して斬り落とされる。「――うっ、つめてぇぇっ!」 剣越しに冷気が逆流し、手
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第24話 それは業務範囲外3

 しばらく観察してみる。 よくまぁ、あれと親分は渡り合えるな。  普通なら四等級パーティーを組むか、上級案件で依頼が回るレベルだぞ。 親分の蹴りを、デーモンが軽やかにかわす。  氷を踏み砕くような動きで、足場ごと床を抉りやがる。 ……とはいえ、親分もさすがに息が上がってきてるな。 一撃ごとに呼吸が荒くなる。  そりゃそうか、相手は産まれたてとはいえ悪魔だ。 デーモンが突進する。  それを迎え撃つ親分――カウンターで渾身のボディブロー! ドゴォッという鈍い衝撃音とともに、拳がめり込み腹を突き破る。「おいおい……身体強化してるとはいえ、あの威力は反則だろ」 あまりの威力に言葉が漏れた。  あれを食らって生きてる方が奇跡だ。「おい、アルっ! こいつ変だぞ!」 親分の怒鳴り声が飛んでくる。「頭ぶっ飛ばしても、腹に穴開けても再生しやがる!」 「はあ? どういう……」 普通なら頭か心臓部に核があって、そこを潰せば終わりのはずだ。 それなのに再生?  なんだそりゃ。「アル! 聞いてんのか!?」 聞いてるわ! 整理中だ、コンチクショ―!  ただこっちも脳内がパンクしそうなんだ。「……本当だ。どんどん再生してやがる」 裂けた腹が、ぐずぐずと肉が盛り上がって埋まっていく。  親分が深く息をついた。「アル、あいつ、なんなんだ?」 「いや、わかんねぇ」 わかんねぇが――じっと見ているうちに、違和感が引っかかった。 デーモンの体表は、いつまで経っても受肉したてのまんま。  皮膚はぬらぬらと光り、形は整っていない。 普
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第25話 それは業務範囲外4

「……もう、再生しないのか?」 「アル、ほんとか? まぁ、試してみるかぁっ!」 親分が一気に間合いを詰め、追撃に転じた。 素早い連撃が矢継ぎ早に繰り出され、拳と蹴りが次々とデーモンの体を打ち据える。 両腕で必死にガードしたが、衝撃に耐えきれず、デーモンは後方へ吹き飛んだ。 壁に叩きつけられ、腕はだらりと下がったまま。「駄目じゃねぇか、おい」 さすがの親分も、低く愚痴をこぼす。  拳を握ったまま、眉間に深い皺を刻んでいた。 両腕の再生が始まった。  肉が盛り上がり、骨に巻きついていく。  再生速度は落ちてない――つまり問題なしってことか。 ……だとすりゃ、やっぱ引っかかる。 お前、なんでさっき足だけ避けた?「親分」 「なんだ? なんか思いついたか?」 「……あいつよぉ、足って再生したか?」 「いや、さっきから避けられちまうからな」 なるほど。  足はお嫌いですか。「おら! もういっちょ食らえ!」 動きの止まっているデーモンに、風の刃を叩き込む。  再生しかけた腕が、肩口からごっそり切断された。「へへ。そうだよな。足じゃないなら、避けないよな」 口元が自然と吊り上がった。 ……手品師みたいなことしやがって。タネ明かしだ。  タネがわかりゃ、こっちのもんだ。「親分! 足だっ! あいつは足への攻撃を嫌ってる!」 「そういうことかよ!」 親分が一段ギアを上げたみたいに突っ込み、蹴りを放つ。  狙いはもちろん、デーモンの足。 だが――ひゅっとデーモンが軽々と宙へ逃げた。「おい、
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第26話 追加業務は遠慮したい1

 朝は嫌いだ。  特に徹夜明けの朝はなおさらだ。 宿舎の洗面桶で顔を冷やし、指先にまだ残っている霜焼けみたいな痺れを揉みほぐす。 あの青白いガイコツ、最後に刺したときの冷気が骨まで残ってる気がする。 そういや、マルマルに剣を返してないな……まぁ、いいか。  どうせ飾りだし。  ギルドは今日も変わらず騒がしい。  カエデの営業スマイルは満点、ただし俺への角度だけ二度ほど甘い。 掲示板には、西の森の追加駆除がどっさりだ。 ……うん、あれは冒険者のお仕事。「アル、こっちだ」 マルセル課長が目の下に堂々たる二重のクマを携えて手招きする。「……で、倉庫街はどうだった?」 「アンデッドとデーモン。両方、処理済みです」 そう言った途端、課長の顔がさらに青ざめた。  胃が悲鳴を上げているのが、こっちにまで伝わってくる。「詳しく聞かせろ」  俺は昨夜の光景を、できるだけ淡々と報告する。 床に残った黒い焼痕。  ひしゃげた金属片。  デーモンが受肉する時、体内に魔道具を取り込んでいた可能性。「……正直、夢であってほしい内容だな」 「俺だってそう思ってますよ」 課長が大きくため息をつき、机に置いた紙を指でトントンと叩いた。「報告書には倉庫街で異常を確認、詳細調査中とだけ書け。アンデッドやデーモンの件は――まだ外には出せん」 「了解です」  報告書を書きながら、俺は思う。 どうせ、後でまた現場に行く羽目になる。  あの黒い痕と金属片の出所を突き止めない限り、終わりはしない。「ところで課長」 「なんだ?」 「青白い光って、何日も前から噂があ
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第27話 追加業務は遠慮したい2

 次に足が向いたのは、もちろん酒場だ。 昼間のジョナスんとこは「準備中」の札が出てるけど、そんなもん気にしてたら情報は拾えない。 軋む扉を押し開けると、カウンターでグラスを磨いていたジョナスが、顔も上げずにぼそっと言った。「……準備中だ」 「知ってる。けど、ちょっとだけ噂をな」 俺が腰を下ろすと、ジョナスは渋い顔で棚にグラスを並べ直した。 その声は相変わらず低く落ち着いているが、耳はしっかりこっちを拾っている。「青白い光と関係あるかは、わからん」 「それ教えて」「教会にな。幽霊を見たって真っ青な顔で、神父にすがりついてた陽気な調査員がいたらしい」 ……陽気で、すぐ顔に出る調査員?「……ナックだろ、それ」 ため息が口から漏れる。  あいつ、仕事より大げさに驚く才能の方が一級品だ。「ジョナス、サンキュー。こっちも北の倉庫街でひと騒ぎだったんだ」 「聞いてる。生き残っただけ上出来だ」 その目は一瞬だけ真剣に光り、すぐにいつもの渋い笑みに戻る。  酒の匂いの残る空間で、背筋にひやりとしたものが走った。 ジョナスの話だと、間違いなくナックが何か見たはずだ。  そういえば昨日の帰り際、あいつ「大変だ」なんて言ってたな。 ……何があったんだ? いや、課長に聞いた方が早いな。  どうせナックの報告はもう上がってるはずだ。 だが、リスクがある。 課長に聞いたら最後――「追加調査」の紙束が俺の机に積み上がるのは目に見えている。 仕事がこれ以上増えるのは、ごめんだな。「ナックを探すか」 小さく呟いて席を立った。  あいつの性格からして、教会か、どこかの安酒場にいるはずだ。
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第28話 追加業務は遠慮したい3

 ハクユウが短く祝詞を唱える。  低く落ち着いた声が部屋の隅で澄んでいき、薬草の匂いと混じり合う。 指先から背中へ、柔らかな暖かさが伝わる。  痛みがジワリと引いていくのが分かった。「まったく、こいつのせいで、魔力は上手く練れねぇわ。魔力を流すと痛みが走るわで、ろくなことがねぇな。俺は修行僧じゃないっての」 小さく苦笑を混ぜて呟くと、ハクユウは手を止めずに治療を続ける。 初期の頃はもっと酷かったってもんだ。  幻聴やら幻覚も見えるんだ。  やってらんねぇだろ?    目の前の人が二重に見えたり、足元が微かにズレて見えたりな。 馬鹿らしくて笑うしかなかった。  自分でも、あの時期を思い出すと薄ら寒い。 ハクユウは額にしわを寄せ、慎重に背中の印を視線で追った。「よし……やっぱり強いね、これは」 聞き慣れた評を聞いて、胸の中で何かが固まる音がした。「治るのか?」 声を潜めて訊くと、ハクユウは少し間を置いてから答えた。「解呪をしても、なかなか消えないね。相当強い術者の仕事だ。だが、焦らずに摘んでいけば消える。今の調子で定期的に治療を続ければ……あと、半年くらいじゃないかな」 「半年ね……分かった。頼むよ、先生」 ハクユウは軽く頷き、いつものように包帯を丁寧に巻き直す。  治療の手際に無駄はない。 月に一度どころか、俺にとっては必要不可欠な時間だ。「先生、いくらだ?」 上着を直しながら尋ねると、ハクユウは道具を片付けながらふっと笑った。「お代は、親分からもらってあるよ」 にこりと微笑む顔は、いつもの落ち着いたそれだ。「そういうことか」
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第29話 追加業務は遠慮したい4

 コレルは記憶を探るように目を細め、やがて頷いた。「昨日来たっきり見てませんね。聖水を探して出ていきましたが……」 聖水、か。 ナックのやつ、幽霊だか悪魔だか知らんが、とりあえず道具に頼ろうって発想は相変わらずだ。「神父さん、聖水って効くのか?」 聖職者に聞いていい話題かどうかは置いといて、聞きたくなったんだ。  コレル神父は首を振り、眉を寄せて言った。「聖水は、効果がないわけでありません。しかし、万能ではないのです。アンデッド相手なら一瞬ためらわせることはできるが、殺す気で来た存在──本気の悪霊やデーモンにはほとんど通用しません」 「要するに、気休め――というか、命綱にはならないってことか」 俺は短くまとめて返す。  ナックの癖はわかってる。  オカルト系にすがるタイプだ。  だが今回みたいな相手は、それだけでは危ない。 コレルが肩をすくめる。「本人が落ち着くならそれでいいですが、用心はさせておいてください。聖水で当面しのげる相手と、そうでない相手は確かにいます」 「わかった。ありがとう、神父さん」 教会を出る前に、どこで聖水を買ったかを訊くと、コレルはふと考えてから答えた。「ここ近辺なら、聖堂の向かいの露店ですね。行商の常連です。ナック殿なら、そこへ行ったかもしれません」 露店か。  情報の糸は細いが、繋がりはある。 教会を出て、石畳をぐるりと大回りして聖堂の正面入り口を目指す。 結局のところ、足はギルド方面へ逆戻りだ。  効率の悪さに苦笑しながらも、足を止めるわけにはいかない。「……おい、鼻垂れ。お前はどこに行ったんだ」 小声で吐き出した言葉は、冷たい風に溶けていった。  あいつがどこで何を見たのか、それを掴
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第30話 初めての共同作業1

 ナックは、やっぱりいない。 まあ見つかればラッキー、ぐらいで探してるが……これって同僚の安否確認も業務のうちに入るのか?  俺は調査員であって保護者じゃないぞ。 それより、問題は謎の光だ。  東の街道で目撃された青白い光。  場所をもう少し絞っておかないと、また無駄足になる。 腹も減ったし、テッタのところで弁当をひとつ。「なあテッタ、例の光って、どの辺だったか聞いてないか?」「山沿いだったって話さ。けどねぇ、そっちの情報は、みんな酔っ払いみたいな顔してたけど」 「……はいはい、ありがと。山沿いね」 弁当を片手に東門へ向かう。  門兵にさりげなく声をかけた。「なあ、金髪で鼻水垂らして、情けない顔したやつ、見なかった?」 「……ナックのことか? 昨日出て行ったきりだな。まだ戻ってないな。おい、お前見たか?」 「いや、あの腰が引けてた奴だろ? 見てないな」 ……なんだ、ナック。お前って、案外有名人らしいぞ。 だが、昨日から? ただの光の調査で野営でもしてんのか。  いや、ナックのことだ。  道端で泣きべそかきながら、寝落ちしてる可能性の方が高い。 それでも――例の光を追ってるとしたら厄介だ。    仕方ない。  俺も山沿いを歩くか。  ◇ ◆ ◇  街道を歩きながら、すれ違う通行人に声をかけてみた。「すみません、金髪で、俺みたいな服装した男を見ませんでしたか?」 通行人は首を傾げてから答えた。「……明け方前に、山道で会った人かな。暗くて髪の色まではわからなかったけど、やけに怯えてましたよ。声をかけたんですが、悲鳴をあげて走り去っていきましたけど……」 「明け方前?」 「ええ。私はそのままペテルに向
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