All Chapters of こんなに好きなのに、伝わらないのなら――: Chapter 111 - Chapter 114

114 Chapters

特別番外編【兄貴の愛情の表し方9】

「兄貴?」 声をかけたのに無視したまま、顎に手を当てて考える始末。しっかり下半身がつながった状態でいるのは、正直なところ間が抜けていると思われる。(兄貴はイったばかりだから、復活するまでに時間がかかるのかもしれないけれど、僕だけ散々感じさせられて放置されるのは、ちょっとね……)「そっか。今まで辰之と一緒にイったことなかったな」 これまでの行為から導き出した兄貴の答えに、思わず吹き出してしまった。道理で間が抜けるはずだ。「辰之、そんなに笑うことないだろ」「笑いたくもなるよ。しかもこんな格好で、わざわざ考えることでもないだろうに」 言いながら腰を上下させると、兄貴は慌てて僕の動きを止めるべく両手で肩根を掴み、ベッドに押さえつける。「コラっ! 俺が差し入れしてるのに、おまえが動いたら意味がなくなるだろ」「だったらわかるでしょ? 僕が望んでることくらい」 兄貴の首に両手をかけて、力任せにぐいっと引き寄せた。抵抗せずに顔が近づき、僕の唇が塞がれる。「辰之が望んでること、もっと俺に教えてほしい。全部叶えてやりたいから」 触れるだけのキスのあとに告げられた言葉は、とても嬉しいものだった。「それじゃあ僕もそのお礼に、兄貴に差し入れしてあげるよ」「マジで?」「うん。だって兄貴は僕の願いを絶対に叶えてくれるでしょ? そのお礼をするとなったら、かなり大変そうだけどね」 クスクス笑いながら指摘した瞬間に、僕のナカにある兄貴自身が何のためらいもなく奥を突き刺した。「ひゃっ!」「俺を感じさせてくれる辰之の躰の全部を使って、差し入れしてくれよな」 ちょっぴり掠れた兄貴の声が室内に響いたと同時に、容赦なく腰を前後させる。さきほどよりも濃厚な行為に、あられもない声をあげながら兄貴にしがみつきながら絶頂した。一緒にイクことができた特別な夜は明け方まで続き、当然寝不足になったのだった。 *** 眠気をかみ殺しながら食卓テーブルにつくと、先に起きていた兄貴は眠気を感じさせない顔で、美味しそうに食パンにかじりついていた。こういうところで、体力の違いをひしひしと感じさせられる。(ベッドの中でくたくたになって動けなくなった僕の代わりに、兄貴が動いてばかりいたのに、どうして疲れを見せないんだろ?) しょんぼりしながら隣にいる兄貴を横目で見ていると、笑顔の義母が僕に声
Read more

特別番外編【兄貴の愛情の表し方10】

「濃くてにがぁいコーヒーに、ミルクと砂糖をたっぷりいれたヤツ」 意味深な流し目で僕を見つめる兄貴に、頬が熱くなってしまった。「あらあら、辰之はコーヒーが飲めなかったはずじゃなかった?」「あ、ぁ兄貴が淹れてくれたのは、結構美味しかったから。おかげで夜遅くまで頑張ることができたし」 しどろもどろに答えると、母さんからは見えないことを言いことに、隣から兄貴の手が伸びてきて、僕の腰をいたわるように撫で擦る。あたたかなぬくもりを布越しに感じるだけで、兄貴の思いやりが伝わってきた。「さすがは俺の弟だよな。最後まで偉かった」「ぶっ!」 飲みかけていたコーンスープを、思いっきり吹き出しそうになり、目を白黒させた。義母は目の前に駆け寄り、ふきんを手渡しながら声をかける。「ちょっと辰之大丈夫?」「大丈夫。兄貴に褒められると思わなかったから、ちょっとビックリしただけ……」「褒めるに決まってるだろ。また差し入れしてやる、頑張れよ」(まったく、ナニを頑張ればいいのやら――) 吹き出したものはなかったものの、義母がふきんを用意したこともあり、手持ち無沙汰を解消すべくテーブルをふきふきした。「だったら僕も、兄貴に差し入れしてあげるよ。なにがいいかな?」 このまま兄貴にやられるのも癪に障るので、動揺を隠すようににこやかに訊ねた。義母の手前、兄貴が卑猥なことを強請ることはないだろう。「そうだな、辰之が丹精込めて濃いめに淹れた紅茶に、ミルクをたっぷり入れたミルクティーがいいな。砂糖の代わりに愛情を込めて」「ぁ、愛情……?」 兄貴から強請られるものの大きさに、心底困り果てるしかない。僕はどうやって、愛情を示せばいいのやら。「宏斗と辰之は、本当に仲がいいわね」 顔を見合わせる僕らを散々眺めた義母は、キッチンに移動した。「兄貴、なにを強請ってるんだよ」 文句を言った瞬間に腰を撫でていた手が尻に移動し、卑猥なまさぐり方で触れる。昨夜の熱が再燃しそうになり、奥歯をぎゅっと噛みしめて表情に出さないように我慢した。「辰之のココ、スポーツをしていないおかげで、綺麗な形なんだよな。俺、結構好きなんだ」「食事中だよ、落ち着かないからやめて」「食事中じゃなかったらいいんだ?」 ニヤニヤしながら僕の顔を見つめる兄貴が、憎らしいことこの上ない! 問答無用でお触りする手の甲を抓
Read more

特別番外編【兄貴の愛情の表し方11】

「辰之」「なに?」「あのさ――」 いつも通りのやり取りだった。いつも通りすぎて肩透かしを食らった気分でいると、兄貴の顔が耳元に寄せられる。「おまえが好き」 吐息を含んだ愛の告白と同時に、兄貴の利き手の指先が僕の首筋の肌をなぞった。ゾクリとしたそれにドギマギを隠せず、うっと息を飲む。「辰之はやっぱり隙だらけじゃん」「なっ!?」「もの欲しげな顔、他のヤツの前でするなよ」「そんなのしてないよ」「してるしてる。辰之はストレートな言動に弱いってことを自覚してくれ」 首筋をなぞっていた手が頭に移動し、優しく撫でてから引っ込められた。その動きはまるで、恋人から兄弟の仲の良さにシフトしたみたいな感じだった。「おまえの兄貴としてリードしていくつもりだから、おとなしく従ってくれ」(兄貴としてリードって、恋人じゃなく? おとなしく従えって、なんなんだよ。いったい……)「辰之が俺を諦めないで追いかけてくれたろ。その手段が強引すぎて、呆れるところもあるんだけどさ」「だってそうしないと、兄貴が誰かにとられると思ったし」 呆れるという言葉で表現されたせいで、あの頃の複雑な心境をまざまざと思い出し、唇を少しだけ尖らせた。僕をまったく意識していないちょっと前の兄貴は、今とは大違い。ちょっとしたやり取りも甘いものが混ざるだけで、付き合っていることを意識させられる。「おまえのてのひらの上で踊らされるのは、もうたくさんだよ。今度は俺が辰之を縛りつける」 尖らせていた唇を元に戻し、挑むような眼差しを兄貴に向けた。「兄貴にそんなことができるの? 不器用なくせに」 僕を諦めさせるために若林先輩を介入させるという、大失態をおかしたのにね。「やるさ。辰之が他のヤツに行かないようにしないと」「昨夜だってたくさん兄貴が好きって言ったのに、僕の気持ちは伝わってなかったんだ」「だっておまえは――」 兄貴はなにかを言いかけて、唇を真一文字に閉じる。口の両端がやや下がり気味になっているのは、僕に言いたくないことを飲み込むためだろう。たとえば『だっておまえは俺以外と、関係を持ったことがあるから』なぁんていうセリフだったりして。「と、とにかく俺から目が離せないように、バレーの自主練に行ってくる……」「いってらっしゃーい! カッコイイ兄貴の姿が練習や大会で拝めるなら、たくさん応援
Read more

特別番外編【兄貴の愛情の表し方12】

音が出ないように椅子から立ち上がり、靴を履いている兄貴の背後に素早く駆け寄る。義母がいないことをしっかり確認してから、広い背中にぎゅっと抱きついた。「えっ?」「兄貴にいってらっしゃいのハグ、しに来ちゃった」「ハグだけ?」 振り返った兄貴は僕の顔を見てから、リビングに視線を飛ばす。母親がいつ来てもいいように、一応注意をしているらしい。「こっちを向いたら、キスしてあげてもいいよ」「そんなふうに強く抱きしめられたんじゃ、振り向けないって」「兄貴なら僕の力くらい、簡単にねじ伏せられるのに?」 上目遣いで訊ねた僕を兄貴は嬉しそうに瞳を細めて見つめつつ、素早く額にキスを落とした。こどもがするようなそんなキスでも、胸がドキドキしてしまったのは内緒だ。(結局兄貴を翻弄しようと画策して、僕のてのひらの上で転がしても、こうしてひっくり返されてしまうんだから、実際のところすごいとしか言いようがない)「辰之に見送ってもらえるとは思ってなかったし、こうやって抱きつかれるのも悪くないなと思うと、やっぱり振りほどけないんだ」「辰之なにしてるの?」 諦めた顔をした兄貴が告げた瞬間に、背後からやってきた義母。僕はそのままの体勢を維持しながら口を開く。抱きしめられた兄貴が僕から逃げようとしたので、腕の力を強めてその動きを止めた。「兄貴が行かないように、ここで足止めしていたんだ。母さんが替えのタオルを持ってくると思ってね」「マジかよ……」「よくわかっているわね」 義母が兄貴にタオルを差し出したので、肩を竦めながら解放してあげる。「毎日じゃないけど、兄貴にタオルを届ける僕の貴重な時間を考えてほしいよ」 兄貴とのふたりきりの時間がこうしてなくなり、こっそり落ち込んでいたときだった。青い何かが、僕の顔にぶつけられる。「んっ!?」「貴重な時間を奪って悪かったな。ついでにそれ、洗濯機に入れておいてくれ」 ぶつけられたものは使用済みのタオルだった。嗅ぎ慣れた兄貴のコロンがタオルから香り、落ち込んでいた気持ちがちゃっかり浮上した。「辰之、遅れるなよ。じゃあ行ってきます!」 爽やかな笑顔を振りまいた兄貴が、元気よく自宅を出て行った。義母と一緒にそれを見送る。(あーあ、兄貴とふたりきりになる時間って、本当に限られるよな。貴重すぎて大事に扱いそうだ……)「宏斗が言ったよ
Read more
PREV
1
...
789101112
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status