次の日の早朝、職場で斗真のデスクの周りに数人の社員が取り囲む。圭も心配な顔つきである。「斗真さん、やっぱり宙さん……」 一人の社員が電話を終えてきた。「やっぱりか……」「もう施工会社との打ち合わせも終わってるのに……」 中央のデスクには圭が手がけたデッサンもいくつか。 それは珠那の店のものである。「……ひどいな、横取りされちまったよ」「斗真さん、どうしますか……」 斗真はんんんっと唸って埒が明かないのかため息をついた。「斗真さん……」 圭がそう言うと斗真は目を逸らした。「あいつ、嫌がらせしてきた……俺からあいつに会いにいく」「嫌がらせ……僕がいるから」 圭は周りに聞こえないように言う。「海斗さんにも連絡したらあっちの仕事も切り上げたからここに帰ってくるそうだ。できるだけ奥の部屋で仕事してろ」「……はい……」 他の社員たちもオフィスの中を右往左往している。「他にもキャンセルが……多分宙さんの会社が関与してるかと」「……くそっ!」 斗真は声を荒げカバンを持ちオフィスを出ていった。「……」 圭の右手が震えた。 宙がまた追いかけてくる。 近くにいたが自分は守られてきたのだというのがわかった。 しかしとうとう仕事にまで手をつけてきたのだ。「それにしても珠那さん……」 圭は珠那のことを思う。 海外にいる圭たちの元に来て店のデザインを頼んできた。 宙と婚約破棄して家族と揉めて日本にいられなくなった彼女が何とかして掴んだ次のライフラインである店……。 デザインが完成した時に喜んでいた彼女の顔を覚えている。 メールを送ってみた。 完全に宙のデザイン会社に委託するのかと。 そして数分後に圭のスマートフォンが鳴った。 画面を見る。珠那だった。 騒がしいオフィスから離れて奥の部屋で出た。「……はい」 電話に出ると、向こうから少し疲れた声が聞こえた。『もうその話いったのね』「うん、それで今オフィスも大変で……」『……ごめん、もう私は止められないわ』 止められない……珠那も宙と接触してるであろう。 彼女も圭が逃げてから大変だったと言っていた。申し訳なさもあった。『多分あれやこれやと手を使ってそこのオフィスの仕事めちゃくちゃにするつもりよ』「そんな……それは僕がいるから?」 間が空いた。『……そうね…
Última actualización : 2026-10-11 Leer más