目を覚ますと、隣には海斗が眠っていた。 昨晩の疲れがまだ残っているのか、仰向けになったまま深く眠っている。 浴衣は少しはだけていて、胸元が見えていた。「……」 圭は思わずドキッとする。 起こさないようにそっと布団を引き上げ、海斗の胸元にかけてやった。 そして自分は静かに起き上がり、身支度を始める。 昨晩は何もなかった。 それが少しだけ嬉しく、そして安心した。 海斗は、そう簡単に人の身体に触れてくるような人ではない。 二年間、一緒に暮らしてきたからこそ、それはよく分かっている。 宙のことを思い出す。 気づけば身体を求められ、拒むこともできないまま関係を持っていた。 それが当たり前なのだと思っていた時期さえあった。 けれど、海斗と過ごしてきた二年間で、少しずつ分かってきた。 あれは普通ではなかった。 相手の気持ちや意思を無視して、自分の欲望を押しつけること。 それを愛情だと思わせること。 海斗は決してそんなことをしない。 そう思うと、圭の胸にあった緊張が少しだけほどけた。「……おはよう」 背後から声がした。 振り返ると、海斗が目を覚ましている。「おはよう、海斗……まだ眠いなら、もう少し寝ててもいいよ」「いや、起きるよ」 海斗は大きく伸びをすると、まだ眠そうに目を擦った。「早く朝飯食べて、ここを出たい」「そうだね。行きたいところ、たくさんあるし」 圭はテーブルの上に置いていたガイドブックを開いた。 そこには、いくつもの付箋が貼られている。 二人で「ここに行きたい」と話しながら貼っていったものだ。「……これ、全部回れるかな」 海斗が覗き込む。「無理かもしれないですね」「じゃあ、なおさら早く出ないとな」 二人で顔を見合わせ、笑った。 そのとき、圭はまた海斗の胸元がはだけていることに気づいた。「……海斗」「ん?」「浴衣……」「ああ」 海斗は自分の胸元を見下ろす。「そういえば、布団かけてくれたんだな」「えっ……」 圭は目を丸くした。「起こさないようにしたのに……」「少し意識はあったんだよ。起きるのも悪いかなと思って、そのまま寝てた」 海斗が笑う。「嬉しかったよ。ありがとう」「い、いえ……どういたしまして」 圭の頬が熱くなる。「さて、朝飯に行こう」「うん」 二人は身支度を整え
Última atualização : 2026-08-17 Ler mais