All Chapters of その番犬、狂暴につきまして。: Chapter 51 - Chapter 60

85 Chapters

episode51

「京?お前どうした?」「?!叶弥!な、なんでもないーそろそろ開会式だし、借り物走の選手は集合だろ?ホラ、行ってこい!」「?お前も行くだろ?てか何隠してんだ?」「別に何も!オレはちょっと用事できたからお前だけで行ってくれ。」「?わかった」オレはなんとか叶弥をかわすことができた。さて、時間は限られている。覚悟を決めるしかない。「よし......」と思ったオレの所に応援団に所属しているクラスメイトがやって来た。「お、無事衣装受け取ってくれたんだな。いやぁ、間際に推薦したかいがあったぜ」「......まさかお前が?」「悪く思うな!これも応援賞を手に入れるためだ。五十嵐いたら絶対妨害されるからな。上手いこと借り物走の空きが出てよかったぜ。さ、オレも手伝うから着替えに行こうぜ」そう言うと、オレはソイツに連れられて教室へと行った。そして、オレは着替え始めた、"チアガール衣装"へと。「な、なぁ。やっぱり変じゃね?男が着るもんじゃねぇって......」「......いや、ありだな、あり。そんじゃ最後にこのポニテのウィッグを被ってくれ!」「こんなんもあったのかよ......」オレは衣装だけだと思っていたので「騙された気分だ......」と呟いた。「人聞きの悪い。組の勝利のためだ。協力してくれ。午前中だけでいいからさ」「ハァ......わかった」「サンキュ!午後一の応援合戦はジャージに戻ってくれて大丈夫だからな!午前中に勝機を上げる作戦!」オレはこの言葉を聞いて安心した。五十嵐組の連中が来るのは仕事の関係もあり、午後からだと聞いていたからだ。少なくとも組の連中には見られないとの事だ。「五十嵐ヤツが見たらどんな反応すっかな?楽しみ(笑)」「......オレは全然楽しみじゃない」「でも引き受けてくれてたすかったよ。マジサンキューな!」メッチャいい笑顔で言われてしまえば否とは言えない。そう言えばコイツも同じ中学で、女子人気の高いヤツだったなと思い出した。「そう言えばなんでこんな物があるんだ?」「あ、衣装は学校にあったヤツで、ウィッグはいいのが無かったから趣味でコスプレやってるオレの彼女に借りたんだ」「......なるほど」いい趣味を持った彼女がいたものだ......。「あ、チア衣装だとまだ少し寒いだろ?オレので悪いけどジャージ羽織ってな」
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episode52

オレは着替え終えると、一緒に来た応援団のクラスメイトと一緒にグラウンドへと戻った。丁度開会式が終わったところらしく、生徒達はテントの中にいた。そして借り物走に出る生徒はスタートラインへと集まっていた。オレはテントの中に入ると、話しが仲間に伝わっていたせいか、周りから「早くジャージ脱げ!」「男を見せろ!」とはやし立てられた。そしてオレがジャージを脱いでチア衣装を披露すると、周囲はシーンとなった。やはり男のチアはなかっただろうと思った次の瞬間だった。「お前チア似合いすぎ!」「コレはイケる......」などと声が上がった。急に賑やかになったオレ達のテントに周囲は何事かと注目してきた。その騒ぎはスタートラインまで届いていたようで、こちらを見てきた叶弥と目が合ってしまった。すると叶弥は目を見開き、オレを指さしながら口をパクパクとさせていた。そしてこちらまで来ようとしたが周囲から押さえつけられてしまった。叶弥は第一走だったので、オレは応援団長から腕を引かれてテントの一番前まで来ると、ポンポンを渡され応援団長から「五十嵐の本気を出させるのはお前にかかってる!」と言われ、言われるがまま応援をするのであった。「赤組ファイオー!!」「ファイオー!」「フレフレッ、赤組!」「フレフレッ、赤組!」「ここでチアから一言!お願いしゃーす!」そう応援団長から振られるとオレは意を決して「赤組ー!ファイオー!!」と大声を上げた。次の瞬間、スタートのピストルが鳴ると、叶弥は断トツのスピードで走り、借り物の書かれた紙の元へと行った。そして何故だかオレ目掛けて猛スピードで向かってくると、オレの手を引き横抱きにしてゴールへと向かい無事1位でゴール。「1位は赤組です!借り物は何だったのでしょうか?!」放送委員がそう言うと、叶弥はオレを地面に下ろし、借り物の紙を彼らに渡した。「お題はぁー、美人な人!たしかに美人さんですねー!赤組のチアですか!先程から注目をあつめてましたねー。お名前は?」「......1年田河 京司です」「田河君!チアガール、大変お似合いです!赤組1位おめでとうございまーす!」その後、オレと叶弥は1位のハタの元へと行った。そこまで叶弥は無言でオレの手を引き歩いていたが、目的地に着くと、オレの肩をガシッと掴んできた。「オイ、京。オレは何も聞いてねぇぞ?」「.....
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episode53

それから午前の競技は赤組のぶっちぎりの高得点で終えた。応援団の皆からは応援団長を筆頭に「田河のお陰だ!」「出来れば午後もお願いしたかった......」と口々に声が上がった。オレは速攻でウィッグを取り、叶弥の手を引き教室へと戻った。そして人目を気にすることなく、チア衣装からジャージへと着替えたのであった。周囲からは「もったいない......」と言う声が漏れたのには聞こえないふりをした。叶弥は叶弥で写真部のヤツに「京のチア撮ったよな?いくら欲しい?ネガごと買い取ってやる」と意味不明なことをしていた。そこへドタドタと廊下から走ってくる音が聞こえてきた。......言わずもがな財前である。「京司さん!あの格好はなんなんすか?!ってもう着替えてる?!もったいない......」「財前、お前もか......」おれは財前にそう言いながら蹴りを入れた。「いやいや!だって京司さんの女装なんてレア過ぎて......」「もういい黙れ」「おい、財前。京の女装を見ていいのはオレだけだ」「......叶弥、お前も何意味不明なことほざいてんだ......」財前だけでなく、叶弥にも呆れながらオレは弁当を食べ始めた。それにならって叶弥も弁当を広げた。「いいなぁ、京司さんの手作り弁当......」「やんねぇぞ。これはオレの特権だからな。っておい、京、何玉子焼き食わせてんだよ」「別に良いじゃねえか。オレの弁当なんだし」「メッチャ美味いッス!」「京の弁当が不味い訳ねぇだろ」「...なんでお前がドヤってんだよ。ホラ、財前。早く昼メシ食いに教室戻れ」オレがそう言うと、財前は名残惜しそうに「...ッス」と声を漏らし教室から去って行った。「......いやぁ、それにしてもあのケンカ狂の財前先輩を意図も簡単にあしらうとは流石田河だな。五十嵐の妻なだけある。」「......おい、なんだ妻って」「え?だってお前ら夫婦だろ?」「お前......わかってんなぁ」夫婦扱いしたクラスメイトにオレは不服を申し出し、叶弥は感心した言葉を投げかけた。「オレらが夫婦ってことは、京の舎弟の財前はペットだな」「あんな手のかかるペットは飼いたくねぇ」「だからって子供にはしたくねぇな。お前のこと取り合いになりそうだし」「......ペットもさほど変わりなくね?」「それもそーだな......」
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episode54

午後は応援合戦からのスタートとなった。オレ達はハチマキを頭に巻き、気合いを入れ直してよさこいを披露した。踊り終えると、保護者席から凄まじい歓声が聞こえた。......五十嵐組の連中である。「若ー!京司さーん!イカしてますぜ!」「いやぁ、ウチの子らは何させてもサマになるなぁ」「組長!これは将来安泰ですね!」......いや、なんの話しをしているんだ?五十嵐組の連中はオレらの事になると頭がおかしくなってしまうようだ。テントに戻ると、オレと叶弥はため息をついた。「叶弥......オレはこれからの五十嵐組が心配だよ......」「仕事になれば皆マトモなんだけどな。......むしろ恐れられてるくらいなんだが......」「組対抗リレーが怖いな」「間違えなく熱くなりすぎるな」組対抗リレーは最終競技で花形競技だ。上級生からは毎年一番盛り上がる種目だから気張ってくれと頼まれていた。「そういえば叶弥、アンカーなんだって?」「おう。財前のヤツもアンカーらしいから、どっちが京に相応しいか......知らしめてやる」叶弥はそう言うと黒い笑みを浮かべた。それからオレ達の出番である組対抗リレーまで、他の競技の応援をしていた。応援団長からは、「またチアを...」と言われたが、頑なに拒否をした。応援団長直々の頼みだったが、オレは"No"を言える人間になりたい。そう思いながら断ったのだ。「なんだよ。断っちまったのか?」「出番までそう時間ないし、何より組の連中に見られたくない」「見ろよ。アイツらカメラ何台持って来てるだよ(笑)」「......チア着てなくて心底安心してる」そんなこんなで、体育祭最終競技の時間となった。オレはアンカー前の第3走。叶弥はアンカーの第4走。この組み合わせになったのは、一番信頼し合ってる方がいいと言うことでこの順番になった。そして、スタートのピストルが鳴らされた。序盤、白組がリードしていて、オレ達赤組はオレと叶弥の属するレーンが3位、もう一組が4位と出遅れていた。白組に1位、2位を陣取られオレ達はもどかしかった。オレはバトンを受け取ると、一気にスピードを上げ2位の白組を抜き、1位との差を詰め叶弥にバトンを渡した。「叶弥!任せた!」「おう!」そうバトンを渡すと、叶弥と財前の一騎打ちとなった。財前も足が速いが、叶弥は更に距離を詰めてほぼ並
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episode55

リレーの成果もあってか、体育祭は赤組の勝利で幕を閉じた。そして、なんと叶弥が最優秀選手賞を取ったのである。これには生徒よりも保護者席にいた五十嵐組の連中が盛大に盛り上がったのであった。「若ー!!最高です!」「叶弥ァ、良くやった!」「......うるせぇ......」流石祭り好きの連中だ。盛り上がりが尋常ではない。珍しくこれには叶弥も参っていた。そしてもう一人、こちらはとても落ち込んだ様子であった。「くっそー!リレーで若に勝てばオレにも京司さんを口説くチャンスがめぐってくると思ったのにぃー!!」「お、おい財前落ち着け!五十嵐が凄い睨みつけてきてるぞ......」「京司さんって"五十嵐組の番犬"だろ?お前、前にケンカ売ってボコり返されてたじゃねぇか。......たしかに美人だけど、これは諦めるしかねぇよ......」「くそ......くそぉ......!」「ダメだこりゃ」「あの日......オレが京司さんにケンカ売った日...夕日をバックに佇む血濡れの姿が綺麗で......美しくて......」「......なんか語り始めたぞ......」財前はどうやらクラスメイト相手に何やら力説しているようで、遠目から見てもその不振さは見てとれた。「おい、京。財前のヤローお前見ながらなんか言ってんぞ」「放っておけ。なんで男のオレ相手に......」「まぁ、財前の気持ちはわからなくはないけどな」おかしい。オレの周りの男共はどいつもこいつもイカれてやがる......。家でも、学校でも......。女のいない環境のせいか?組はオレが引き取られる前から叶弥の母親は亡くなっていていなかったし、学校は男子校だし、女教師も数少ない。百歩譲って、オレが女顔ならまだわかる。だが現実のオレはちゃんと男とわかる顔立ちをしている。......まぁ、華奢とまではいかないが、いくら鍛えたり、ケンカしたりしても筋肉はつかない体質で細身である。だからか、大抵の不良どもからは舐めて見られるし、普通の男からはゲイ受けしそうと言われている。「まぁ、財前の事は置いといて。叶弥、オレのタオル知らねぇ?なんか見当たらなくて......」「あ......あー......知らねぇな」「......叶弥」「言ったら怒るだろ......?」「内容による」消えたタオルの行方を叶弥に問うと歯切
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episode56

体育祭が無事終わり、クラスで簡単な打ち上げをしていると、リレーで活躍した叶弥はクラスメイト達に囲まれていた。「ウェーイ!兄貴!流石の活躍っぷりでしたねぇ!」「サンキュー。でも、それを言うなら京のお陰もあったからだな」「たしかに。田河の追い上げ凄かったよな」「バトンパスも上手かったよな。流石夫婦!」「......だから夫婦はやめろ。」「おーい、お前ら!保護者会からアイスの差し入れだぞー!あとジュースも追加してくれた」大森はそう言うと大量のアイスとジュースを持って入ってきた。「先生......もしかして......」「おう。大体五十嵐組の人達からだな!ほら」「京司さん!お疲れ様っす!」大森の後に荷物を持った若衆の姿があった。クラスメイトからは、「おぉ......モノホンのヤクザだ......こんな近くで見れるなんて......」「なんかこうして見ると田河、姐さんって感じに見えるな」「将来的にはそうなるんじゃね?」と口々に声が上がった。「おい!お前ら、聞こえてるからな?何が姐さんだ!」「いやいや、京司さん。オレらはいつも心の中で"姐さん"って呼んでますぜ」「......教育し直してやろうか?」「まぁまぁ、京。事実なんだし照れることはねぇぞ?」「照れてない!」「田河可愛いー」「田河顔赤いぞー」と教室中から言われ恥ずかしさと怒りが入り混じった感情を抱いた。「じゃあ若、京司さん!オレらはこれで!夕飯どうします?」「簡単な夜食でいい。お前らで先済ませといて」「わかりやした」そうやり取りすると、若衆の連中は帰っていった。「ヤクザって普段何食ってんの?毎日ご馳走?」「んな訳ねぇだろ。作るの一苦労だわ」「え?田河が作ってんの?」「オレだけじゃねぇけどな。まぁ、主だって作ってるのはオレだな」「京作だぜ?」クラスメイトと話していると叶弥かわアイスを咥えながらやって来て、「京、バニラでよかったよな?」と言いながらアイスを渡してきた。「ヒェー......。田河ハイスペじゃん。」「ハイスペ?オレが?」「だって、顔いいし、勉強も運動も出来るじゃん?それに加えて料理にケンカにヤクザまとめたり......」「最後ハイスペ関係ねぇな」「でもそれだけ凄いってことだよ」そう褒められては赤い顔を更に恥ずかしさで赤くしてしまう。オレは火照った顔
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episode57

体育祭の代休として、休みになった月曜日。オレは窮屈さに目を覚ますと、身体をガッチリホールドされているのに気がついた。その正体は言わずもがな叶弥である。オレはそのホールドを無理矢理とき、叶弥をベッドから蹴り落とす。「......痛ぇ......」「なんで毎日毎日オレのベッドに入り込むかな......」「恋人なんだし、良いじゃねぇか。それに休みだ。もう少しゆっくりしても......」「皆の朝メシ作らなきゃだし、オレもう行くな」「おい......」オレは叶弥を軽くいなして部屋を後にし、キッチンへと向かう。キッチンには当番の若衆も来ていて、「おはよう」と挨拶すると、「京司さん!おはようございます!」と朝から元気のいい返事が返ってきた。オレはエプロンを身につけ調理を始めた。しばらく若衆らと雑談しながら料理をしていると、キッチンに叶弥と凛太朗さんが顔を出してきた。「おはようさん。今日もいい匂いさせてんなぁ。京司、まるで若妻みてぇだな...。どうだ?今からオレの嫁さんになるか?」「おい、オヤジ。京はオレの嫁なの。変な目でみるなよ」「心の狭い男は逃げられるぞ?な、京司?」「......いや、凛太朗さんも冗談が過ぎますよ。叶弥も本気にすんなよ。って、二人してオレのケツ撫で回すのやめて貰えますかね......!」「「そこに良いケツがあったから」」「...ハァ...もういいです。もう少しでメシ出来ますから広間で待っていてください」オレはそう言うと二人をキッチンから追い出した。そして調理を終えると他の若衆らも呼び、料理を運ぶように指示を出した。そして広間に料理と若衆らが揃うと、朝メシを食べ始めた。「叶弥に京司。今日は何か予定あるか?」「いや、ねぇけど。な、京」「はい。今のところはなにも」そう言うと凛太朗さんは「それは丁度いい!」と言って言葉を続けた。「実はお前たちに頼みたいことが......」そう話しをしようとした次の瞬間、廊下からドタドタと走る音が聞こえてきた。「なんかいい匂いがするー!オレもたべるー!!」「「?!」」「おい、剛。こっちに来い」「?ハーイ!」凛太朗さんがそう言うとその子供を呼び寄せた。「オヤジ、そのガキは?まさか......隠し子?!」「んな訳あるか。バカが。こいつは剛。オレの年の離れた妹の子供......まぁ、甥っ
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episode58

剛は「たべるー!」と大きな声で返事をしたため、「お手伝い出来るかな?」と聞くと「できるぞ!」と元気よく応えたので一緒にキッチンへと向かった。あまりこの子はあの場にいない方が良いだろう。そう思ったからだ。先程まで剛の世話をしていた若衆にもついてきてもらったが、剛はそいつとオレを見比べるとオレの手をギュッと握ってきたのだった。「ん?どうした?」「名前!お前名前なんてゆーんだ?!」「オレは"京司"って言うんだ。」「けーじ?」「うん」オレはそう言うと余っていた玉子焼きを一切れつまみ、剛の口へと入れた。「ん!うまい!」「みそ汁もあるから、それとご飯も一緒に持っていこうな」「ハーイ!」オレが剛にそう言い聞かせると、ついてきた若衆はポカーンとしていた。オレはそれが不思議に思い「どうした?」と声をかけた。「い、いえ......剛坊ちゃん、オレらこ言うことはあまり聞かずに好き放題だったんで......」「お前ら子供の相手向いてねぇもんな」「おい!けーじ!はやくメシ食べたい!」「ハイハイ。おい、お前メシ運んでくれるか?」「わ、わかりました。」「けーじ、オレ自分で持てるぞ!」「お!偉いな。でも広間まで遠いから大人に運んでもらおうな?」「じゃあ、手!つないで!」剛はそう言うと小さな手をオレに向けて伸ばしてきた。まだこんなに小さいのにな......と思い、オレは剛の頭を撫でると抱き上げた。「おわっ!けーじ、すげー!力もちだな!」「剛くらいなら抱っこできるぞ?剛は今いくつなんだ?」「んーと......5!さい!」5才か......。オレが両親を亡くした時よりもだいぶ幼い。父親は亡くし、母親は行方をくらませる......。5才ならまだまだ親に甘えたい年頃だろうに......。「剛。お前父さんと母さんいなくて悲しくないか?」オレは思わずそんな事を聞いてしまった。剛はキョトンとした後、何故かニカッと笑った。「けーじ!これは"男の試練"なんだぞ!母ちゃんはオレが強くなった頃に迎えに来てくれるって!」「......剛は男前だな」「おう!......だ、だから......」「?」剛は何かモジモジとした様子を見せてきて、何か口をもごもごとさせていた。するとなかなか広間に戻ってこないオレ達の様子を見に叶弥がやって来た。なんとそのタイミングで、「け
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episode59

「...おい坊主。お前今なんて言った?」「な、なんだお前!」「オレは京の旦那だ。」「!!けーじはオレのだ!!」「いいや。オレのだ」叶弥は大人気もなく剛に食ってかかった。これは大変なことになりそうだぞ......。「叶弥、子供の言うことを本気にするのは......」「京。大人だろうが子供だろうが、オレのもんに手ぇ出すのは許せねぇんだわ」叶弥はそう言うと、オレに抱かれている剛に見せつけるようにキスをしてきた。それを間近で見た剛はカチンと固まったかと思うと、ふるふると震え始め顔を真っ赤にした。そして次の瞬間、剛は小さな両手でオレの両頬をつかみ、自分の方へ向けさせると剛までもがオレにキスをしてきた。「つ、剛?!」「オレだってこれくらいできる!けーじは絶対オレのものにしてみせるからな!」「......このガキ......」「まーまー!皆さん、メシにしましょう!ね?ね?!」存在を消していた若衆の言葉に、そういや朝メシの途中だったなと思い出し、「そ、そうだな!剛も腹減ったろ?」と問うた。すると剛の腹が"グー"っと鳴ったので叶弥に目をやると、「チッ...一時休戦だ、クソガキ。」と言い皆で広間へと戻るのであった。「おうおう。遅かったな、お前ら。...なんかあったか?」「い、いえ。なにも......」オレはそう言うと剛を床に降ろした。すると剛は凛太朗さんに駆け寄るとそれはもう元気よく、「おじさん!けーじをオレのおよめさんにください!」と堂々と宣言したのだった。その宣言の直後、メシを食っていたヤツらは思わずメシを吹き出したのであった。そして皆ゴホゴホと咳き込むと、黒いオーラを放った叶弥の姿を見て動けなくなってしまった。「オイ、ガキ。お前はメシ抜きだ。一生な。京のメシは食わせねぇぞ」「ちょ...叶弥、お前大人気なさすぎるぞ?剛。メシは食わせてやるから。な?だからさっきの宣言は無かったことにしよう。な?」「けーじ。男に二言はねぇよ!」ホントに5才か?と思うような言葉を放ち、「でもメシは食う!」と言うと剛はガツガツとメシを食べ始めた。「ハッハッハ!こりゃあ傑作だ!叶弥!うかうかしてらんねぇな?」「......京に相応しいのはこのオレだ」「おい、ガキ」と叶弥は剛を呼ぶと、オレと自分の左手薬指の指輪を見せつけた。「オレ達はこう言う仲だ。マセガキ
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episode60

「たく......。なんなんだあのクソガキは......」「......叶弥、そろそろ痛ぇんだけど......」叶弥は剛が口づけてきたオレの頬をゴシゴシと拭いながら剛が去っていった方へと睨みをきかせていた。「それにしても...オレに叔母がいるなんて知らなかったぞ」「わるいな。あいつ、高校卒業してから姿を眩ませたからな。オレもガキが出来てたのは知らなかったんだわ」「でも、なんで縁を切った実家に我が子を預けたんですかね?」「さぁな......」と凛太朗さんは食後のお茶を飲みながら遠くを見た。「でもホントにウチの血を継いでるガキなんか?ホントにその叔母のガキって言う証拠は?」「オレも最初は疑ったんだが、見れば見るほど妹...涼香のヤツに似ててな......。それに手紙と一緒に妹一家の写った写真が入ってたからな」「確実な証拠ですね」「それにしても......なんかやけに京に懐いたな。ほんの数分しか会ってないのに」「あぁ......。多分だが京司が涼香の雰囲気に似てるんだよ」オレは思わず「えっ...」と声を漏らした。たしかに成長するにつれ、凛太朗さんの俺を見る目がなんだか懐かしいものを見る目になってきていたのには気づいていた。成程。それが理由だったわけか。「そんなにその涼香さんに似てるんですか?」「纏ってる優しい雰囲気がな。あと、そんな中にもある姐御肌とかな」「凛太朗さん。オレ、女じゃないです」「ハハッ。悪い悪い。でもホント、オレも涼香の面影を感じることがあるからさ。出来なかった分、お前を甘やかしてやりたくなる」凛太朗さんはそう言うと、オレの頭を撫でてきた。オレはそれが擽ったくってついつい、「子供扱いはやめてくださいよ。」と言ってしまった。でも、オレの顔はふにゃふにゃになっていたらしく、凛太朗さんは「ガハハ」と笑いオレの頬をムニムニと弄んだのだった。それを見た叶弥は面白くないと言わんばかりにオレと凛太朗さんを引き離した。「オヤジ......京に手ェ出すんじゃねぇよ。京も京だ。オヤジに好きにさせてんじゃねぇよ」「何言ってんだよ叶弥。オレは将来の息子の嫁さんにスキンシップをとってるだけだ。なぁ?京司」「......凛太朗さん、だからオレを女扱いしないでくださいよ」「京司はホントに可愛いなぁ。五十嵐の女に近づいてきてるぞ?涼香もだし、亡き
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