その日のうちに全校集会が行われ、里倉の紹介がされた。里倉は物腰の柔らかい話し方で自己紹介をしていく。そんな姿を見ていると、どこか懐かしいものを感じてしまった。幼い記憶の中の母と面影が重なったのだ。そんなオレに気がついた叶弥が小声で「大丈夫か?」と聞いてきた。オレは思わずどもりながら「あ、あぁ」と返事をした。しかし、オレの内心は全くと言っていい程穏やかではない。里倉が話す度、動く度に母の姿がチラつくのだ。そんな事を考えているうちに集会が終わり、生徒達は教室へと戻っていく。「京。無理してないか?」「......え?してないしてない!オレなら大丈夫だから。な?」「......なら良いけどよ。それにしてもオレには甥が。京には叔父がって立て続けてだな」「あぁ......。」そうだ。今は剛の事も考えてやらなきゃいけない。オレには守らなきゃいけない存在が今では沢山あるんだ。オレはバカだ。母の面影を感じたからと言って心を揺さぶられてはいけない。どちらにせよ、凛太朗さんにはきちんと話しをしなければいけないな。と考えていたその時だった。背後から「京司!」と呼ばれた。呼んできたのは言わずもがな里倉であった。「......里倉先生。ここは学校です。名字で呼んでもらえませんか?」「あぁ!すまないね。京司の姿が見えたからつい......。考えたんだ。もし良ければ今日ウチに夕飯を食べに来ないかい?」「夕飯......ですか?」「あぁ!もし良ければ五十嵐君も」「オレも?」里倉は断られる事はない。了承してくれるはずだ。と謎の自信が感じられた。しかし、家では剛が今か今かとオレ達の帰りを待っている。「すみませんが里倉先生。オレは夕メシを作らなきゃいけない立場なんです。それに、オレを待っている子供もいます。だから......」「「子供?!」」子供発言に食いついたのは里倉だけではなく、クラスメイトもであった。「た、田河......お前とうとう産んだんか?!」「田河君......。おめでとう?」「違う違う!産んでないから!叶弥の甥っ子!5才!」「なんだぁ。驚かせやがって」「チェッ。つまんねぇの」「良かったぁ。高校生で子持ちは大変だからね」オレと叶弥がクラスメイト達から囲まれている様子を少し離れて見ていた里倉だったが、「うん」と頷くと、オレの元に近付いて来た。「今日
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