「ママから教えてもらったんです」と笑うと、壱と目が合った。 壱がニマニマして葵依を観察していた。「かっわいいな!」 頬の筋肉を膨らませて壱が笑った。「凄い」「可愛い」「天才」と連呼しながら、正面に座る葵依の頭を撫でた。 まさか自分の好みを言っただけでベタ褒めされるとは思わず、葵依は恥ずかしくてつい口を閉ざしてしまう。それから、壱が嬉しそうに見つめてくるので、心臓に悪い。撫でられて崩れてしまった髪の毛を手櫛で整えるフリをして、壱の顔を見ないで済むように俯いた。 「食べていい?」 俯いたままコクコク頷くと「いただきます」と壱の声が聞こえたところで、葵依はやっと顔を上げる。 自分が作った朝食を食べる壱を葵依は緊張の面持ちで眺めた。 こんがりきつね色に焼けた熱々のトーストに大きな口で齧り付く。半分のトーストを3口で食べ終わった壱は、皿へ一緒に盛ってあるカリカリに焼いたベーコンとウインナーを口の中に放り込んだ。ウインナーのパキッという良い音が響く。 目玉焼きの黄身を箸で突くと、膜が破れてドロリと流れ出す。白身をその黄身に漬けて、口に放り込み、レタスも同様。最後に黄身を一口で胃の中に入れた。 残った半分のトーストを手に取った壱がポカンとしている葵依に言葉をかける。「パンもサクッとしてて、目玉焼きもフワフワで、黄身のとろけ具合が最高に美味い」「パンはトースターで焼いて、目玉焼きはフライパンで焼いただけですよ……?」「人生でこれが一番美味い」 口を開けば褒めてくる壱に、タジタジになっていると一口トーストに齧りついた壱から視線を合わせられた。「食わないの?」「た、食べますっ」 褒められて、擽ったくてムズムズしていたら自分が食べるのを忘れていた。 少しだけ冷えてしまったトーストを更に半分に裂いて、裂いた半分をまた半分に裂いたトーストを食べる。バターとパンの甘味が口の中に広がって、葵依は少しだけ口角を上げた。 ──どうしてか、いつもよりパン生地が甘い気
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