All Chapters of ボスの密やかな秘密 ~冷酷なボスは私にだけ甘すぎる~: Chapter 31 - Chapter 40

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第031話

「うん。ちゃんと預けてくれたみたいですね。着いたらメッセージ転送します。」「……あ、はい。」道赫が言った十分どころか。その半分も経たないうちに、問題は解決していた。五分も経っただろうか。いや。朱夏がメールを送ってから、まだ三分も経っていない気がする。それなのに。道赫はメッセージの内容すら確認せず、結果を確信していた。もしかしたら、"十分では間に合いません"そんな返事かもしれないのに。そんな可能性など、最初から存在しないように。合井駅へ着くと。道赫は車を停め、朱夏へメッセージを転送した。コインロッカーの場所。ロッカー番号。暗証番号。必要な情報がすべて細かく書かれている。「急ぐなら、俺が取ってきます。」「いえ。十分間に合いそうです。今日はありがとうございました。」朱夏は軽く頭を下げた。その礼を受けながら。道赫は少しだけ妙な気分になる。これまでにも。自分へ頭を下げる人間は山ほどいた。それなのに。どうしてこんなに落ち着かないんだろう。……ご主人様だから、かな。そんなことを考えながらも。道赫は何も顔に出さず、いつも通り笑った。大したことじゃない。そう言うみたいに。「ありがとうございました……!」素静も慌てて頭を下げる。それでも。道赫の視線は最後まで朱夏から離れなかった。考えてみれば。二人きりの時だってそうだった。食事もろくに手につかないくらい。いつも彼女ばかり見ていた。「発表、頑張
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第032話

【発表終わった。今日は本当にありがとう。】【どういたしまして。ちゃんと帰れそうですか?荷物、多かったですよね。】【うん。全部提出したから、もう荷物ない。タクシーで帰る。】【気をつけて帰ってください。何かあったら連絡してくださいね。】朱夏は道赫から届いたメッセージを、何度も読み返した。"おじさん"そう登録した番号から、一日に何度も連絡は来る。それなのに。今日は少しだけ気分が違った。きっと。他人と接する道赫を見る機会が、今までなかったからだ。見た目のわりに軽い人なんだと思っていた。でも。今日の彼は違った。あんな話し方をするのは。自分に対してだけなんだ。改めて思い知らされた。薄々は気づいていた。でも。実際にこの目で見るのは、まるで別の話だった。知りたくないのに。少しずつ彼の中へ踏み込んでしまうような感覚。もっと知りたい。そんな気持ちが芽生えてしまいそうで。――危ない。また心の中で警鐘が鳴った。だから、というべきか。その日以降も朱夏は、何度か道赫へ細々とした用事を頼んだ。彼のことを知りたいと思えば思うほど。頼むことは、ますます些細になっていく。もしかしたら。そのうち彼のほうから離れてくれることを期待していたのかもしれない。けれど。道赫は朱夏が思っていたよりずっと大人しく。驚くほど言うことを聞いた。そんな彼に。朱夏も少しずつ心を許し始めていた。だから。次はどんな"ご褒美"をあげようか。そんなことまで考えるようになる。けれど。それが意
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第033話

道赫は少し考えた末。結局、車をホテルへ走らせた。以前、朱夏を連れて来たことのあるホテルだった。本家で料理を作っているシェフも、このホテルの出身だ。昔から家族ぐるみの付き合いがある場所だから、彼にとっては馴染み深い空間だった。顔を見て挨拶するスタッフたちを横目に。道赫はカードキーを受け取り、そのままエレベーターへ乗り込む。朱夏にはチェックインがどうとか言っていた。けれど。本当はそんな手続きなんて必要ない。今は道赫しか使っていないが。もともとは祖父と父が使っていた部屋が、このホテルの最上階に残っている。朱夏を連れて来た部屋も、そこだった。必要なものは何でも揃っている。誰にも邪魔されず。朱夏が作ってくれた弁当を食べるには、ちょうどいい場所だった。部屋へ入るなり。道赫は真っ先に弁当箱を開ける。可愛らしいというより。どこか素朴な弁当箱の中には。思っていた以上に、丁寧なおかずがぎっしり詰まっていた。……これ、本当に自分で食べるつもりだったのか?そう疑いたくなるくらい。思わず手で一つ摘まもうとして。はっと我に返る。そのまま電子レンジへ入れ、適当に温め始めた。待っていると。朱夏からメッセージが届く。【美味しかった。】その一言だけで。口元が勝手に緩んだ。どうしてなのか、自分でも分からない。馬鹿みたいに笑いが止まらない。……ああ。尾朱夏って、なんでこんな可愛いことするんだろう。別に、しなくてもいいのに。そんなことを考えていると。レンジの終了音が鳴り、意識が戻る。弁当を取り出し。気づけば写真を撮っていた。
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第034話

すぐに返ってきた返信を見て。朱夏はぶんぶんと首を振った。……返事まで、ちょっと可愛い。どうして。あんな大きな男がそんなことを言っている姿を想像して、可愛いなんて思ってしまうんだろう。彼の前では。ちゃんと気を引き締めなきゃいけない。そう思っているのに。それが全然うまくいかない。原因は、あの顔だった。いつだって自分を惑わせる。あの、とんでもなく整った顔。朱夏はスマホを伏せて置き、大きく息を吐いた。本当に期待しているのか。それとも、いつもの冗談なのか。それは分からない。でも。自分の胸は、確かに少しだけ高鳴っていた。……それでも。今回は自分の勘を信じてみることにした。彼の言葉は。案外、そのほとんどが本心なのかもしれない。   ◇「泰圭。」「はい、代表。」「今、運転できる奴いるか?」久しぶりに呼ばれた泰圭は不思議そうな顔をしたあと、「私が運転します。」と名乗り出た。最近の道赫は、いつも自分で車の鍵を持って出て行く。だから本当に久しぶりだった。もっとも。今日は朱夏に"車は置いてきて"と言われたからでしかない。そんな事情を泰圭が知るはずもなかった。「どちらまでお送りしましょうか。」タクシーで行くという手もあった。けれど残念ながら。本家まで来てくれるタクシーは存在しない。そもそも。道赫自身、タクシーで出掛けたことがない。帰りも門の前までは誰も来たがらないくらいだ。だから。少し困っていた。朱夏の大学名は言いたくない。近くで降りて歩くには少し遅れそうだし。
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第035話

「とりあえず、行こ。」道赫は返事もせず。先を歩く朱夏の後ろについて行った。案内された先は、屋台だった。客は一人もいない。静かで、ひっそりとした店。古びたプラスチックのテーブルと椅子が申し訳程度に並び。店番のおばあさんは、注文を何度も聞き返してくる。そんな場所だった。「焼酎、大丈夫?」「もちろん。」「こういう店、来たことなさそうって思ってた。」「まさか。」道赫は大人しく両手でグラスを持つ。両親から酒を注がれたことくらいはあるし。普段から目の前で組員たちがそうやって酒を受ける姿も見慣れている。真似をするだけなら難しくなかった。朱夏は何とも言えない気持ちで。両手で差し出されたグラスへ焼酎を少し注ぐ。顔だけ見れば。ワインかウイスキーしか飲まなさそうな男なのに。焼酎の小さなグラスまで妙に似合ってしまう。あんな高級ホテルへ当たり前みたいに出入りして。こんな屋台には、いつ来ていたんだろう。「会社の人たちが好きなんですよ。屋台。」会社の人たち。あの日。大学へ現れたスーツ姿の二人。そして。自然に年上へ命令口調で話す目の前の"代表"。朱夏が自分で酒を注ごうとすると。道赫は瓶をそっと取り上げた。黙って。彼が自分のグラスへ酒を注ぐ姿を見つめる。焼酎瓶についた水滴が。ぽたり、とテーブルへ落ちた。後ろでは。おばあさんが柄杓を置く音がする。妙に現実的で。なのに現実味のない光景だった。「俺がいるのに、なんで自分で注ぐんですか。」「……」朱夏は何も言わず。注がれた焼酎を一気に飲み干した。
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第036話

――何を考えてるの。そう聞かなきゃいけないのに。言葉がなかなか出てこなかった。もしかしたら。自分が思っていた通りの人なのかもしれない。もちろん。そんな意味じゃないことくらい、道赫にも分かっていた。普通とはかけ離れた人生を歩いてきた自分を。彼女は少しずつ見抜き始めている。誰が見てもそういう人間だとしても。それを口にされるのと、されないのとではまるで違う。だから。彼は長い間、何も言えなかった。「もうさ、変にごまかすのやめて。全部正直に話して。」朱夏はまっすぐ彼の目を見て言った。その視線から逃げたい。でも。逃げたくない。道赫は黙ったまま、その瞳を見返す。焼酎一杯で酔うような人じゃない。彼女の目は、驚くほど澄んでいた。彼は慎重に言葉を選ぶ。どこまでも。彼女を怖がらせない答えを探しながら。そんな道赫を。朱夏はじっと見つめていた。いつもなら笑いながら何でも答える彼が。こんなにも迷っている。その姿を見ているうちに。自分まで少し緊張してきた。「……ごまかそうとしたわけじゃありません。全部話さなかったのは……ご主人様に逃げられるのが怖かったからです。」思っていたより。ずっと正直な言葉が口をついて出た。そう言ってから。道赫はゆっくり焼酎を飲む。思っていたより苦かった。昔はよく飲んでいた酒なのに。朱夏と会うようになってから、ほとんど飲まなくなっていた。聖民のところへ行って以来。一度も飲んでいなかった気さえする。最近は酒を飲んだ記憶がなかった。
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第037話

「あっ……!」朱夏は石畳へ落ちて、画面が粉々になったスマホを慌てて拾い上げた。柱と幌だけで作られた屋台だから。足元は完全に舗装されていない石畳だ。無防備に落ちたスマホが無事で済むはずもなかった。「危ない。手、切りますよ。」道赫はすぐに壊れたスマホを取り上げた。ひび割れたガラスが。今にも彼女の指を傷つけそうだった。それが思った以上に嫌で。少し怖いくらいだった。「どうしよう……買い替えたばっかりなのに……!」「同じ機種、買ってきます。」「は?いいって。」「連絡取れなくなったら、俺も困るじゃないですか。完全に画面死んでるみたいだし。」そう言いながら。道赫は横の電源ボタンを何度も押してみせる。「……本当に?」朱夏は思わず声を張り上げ。そのまま頭を抱えた。「少し待っててください。」そう言い残し。落ち込む朱夏をその場へ残して、道赫は屋台の外へ出る。朱夏はこのタイミングでトイレにでも行くのかと思い、不思議そうに首を傾げた。だが。道赫は外で基燦へ電話を掛けていた。朱夏と同じ機種を用意して。直接持って来い、と。住所までは分からない。屋台が路地裏にあるせいで説明しづらく、目印だけを伝えた。「二十分だそうです。」「え?何が?」「新しいスマホ。」屋台の幌を片手でかき分けながら戻ってきた道赫は。何でもないことのように言った。朱夏は一瞬意味が理解できず。そのまま口をぽかんと開ける。「だから、いいって!」
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第038話

「車は。」「俺の車ですが……代表の車を持って来ましょうか?あと二十分ほど掛かります。」本家にいる者が車を持って来れば、そのくらいは掛かるだろう。その後は運転手を入れ替えるだけだから、大した問題ではない。基燦としては、できれば道赫の車を運転したかった。自分の車は誰かを乗せる前提ではなかったから、それほど綺麗でもない。それに。今まで朱夏が乗っていたのが代表の車なら、どうしても比べられそうで少し気になった。……代表を「坊や」と呼ぶ人を、自分の車に乗せてもいいものなのか。「もう少し飲みます?」だが。決めるのは、やはり基燦でも道赫でもなかった。道赫の問いに、朱夏が首を横へ振れば、それですべて決まる。「んー……ううん。もう十分かな。」「じゃあ、お前の車使おう。」基燦は、自分の運命を悟ったように静かに頭を下げた。「承知しました、代表。」-「あのホテル」がどこなのか。基燦に聞く必要はなかった。組織の大きな集まりは、いつもあのホテルで開かれていたからだ。白家の一族の集まりも同じ。酒に酔った組員たちも、よく利用している場所だった。それほど縁の深いホテルだった。「ありがとうございます。」「いえ。」礼を言われるほどのことではない。基燦は少し居心地悪そうに答えた。できることなら、自分は空気のように存在感を消していたかった。だからこそ。車内で朱夏と道赫の会話を聞いていても、ほとんど片耳から片耳へ流していた。頭には何一つ残っていないくらいだった。返事をしていいものか迷ったが。道赫は何も言わなかった。「行ってこい。」「はい、
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第039話

「じゃあ、横になって。」短く、淡々とした許可だった。道赫は静かにベッドへ横たわる。もう、この時点で妙な気分だった。誰かを待ちながらベッドで寝転ぶなんて。下になることと同じくらい、いや、それ以上に慣れないことだった。……こんなことを、俺はあれだけ楽しみにしてたのか。そんな考えはまだ頭の片隅に残っていたが。体はまたしても、主人の言うことを聞かなかった。「まだ何もしてないのに、もう勃ってる。」呆れた声ではなく。どこか楽しそうな声だった。それだけで、道赫のものはさらに熱を帯びていく。……ですよね。本当なら、そう軽く笑って返したかった。平然と振る舞うつもりだったのに。声は喉で止まったままだった。朱夏がこちらへ真っ直ぐ歩いてくる。あの日は、どうだったっけ。道赫は記憶を辿ろうとした。けれど最後まで思い出す前に。朱夏はもう目の前まで来ていた。「脚、開いて。」その一言が、やけに艶っぽく聞こえた。だが朱夏は。何のためらいもなく脚を開く道赫の方が、よほど色っぽいと思っていた。手だけで済ませたあの日も。本当は、こうして抱きたかった。一度言ったことを覆せなくて。結局できなかった、あの日の続き。朱夏は持ってきたローションを鞄から取り出す。早く始めたくて、たっぷりと掌へ絞り出すと。道赫がいたずらっぽく笑った。その目元には、妙な余裕が浮かんでいる。「嬉しい?」「楽しみなんですよ。」そんなこと、ある?朱夏は呆れてしまう。大人しくしている以上、文句を言う理由はない。それでも。抱かれる側なのに、こんなふうに笑ってい
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第040話

「だめ。」朱夏は晴れやかに笑って、きっぱり断った。そして。ふと彼の胸へ視線を落とす。道赫の体は全体的に大きい。けれど、大きいのは体格だけじゃなかった。性器も。尻も。もちろん例外なく、胸板も立派だった。……あとで触ろう。そんなことを考えながら。十分にほぐした場所へ、ペニバンの先端をそっと当てる。さすがに今度は緊張するかなと思って道赫を見ると。彼はむしろ、待ち構えているような顔をしていた。一度経験してしまったせいか。案外、性に合ってしまったのかもしれない。「入れるね。」わざわざ予告したのは。笑っているその顔が、一瞬でも強張るところを見たかったから。けれど道赫は、まるで表情を変えなかった。強いて言えば。――どうぞ。そんな顔。……あの日も、こんな顔をしていたんだろうか。そんなことを思わせる表情だった。けれど朱夏は覚えている。あの時、どうしようもなく漏れていた喘ぎ声を。「っ、ぁ……ゆ、ゆっくり……」もう十分だと言っていたくせに。押し込まれてくるペニバンに、道赫は小さく顔をしかめた。さっきとは違う。すぐには元へ戻せないほど、目元がぎゅっと歪んでいる。その表情を見て。朱夏の胸はじわりと満たされていく。……これが見たくて。酒まで飲んで来たんだから。彼の脚を両手で持ち上げ。本格的に腰を動かし始める。「ぁ……っ、ぅ……変、だ……これ&hel
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