『見ました? 昨日すごくお似合いだったので』「誰が勝手にこんなの送れって言ったの?」ブランドなんて詳しくない人が見ても分かる、有名ブランドのロゴだった。紙袋を開けた瞬間、昨日試着したワンピースだとすぐ分かった。着ていた時は、そんな高価なものだなんて思ってもいなかった。でも考えてみれば、あんな場所で高級ブランド以外の服を試着できるほうがおかしい。行ったことがなくても、それくらいは気づくべきだった。『お気に召しませんでしたか?』「そこじゃないでしょ」朱夏の声が思った以上に冷たくなったせいか、道赫はしばらく黙ってしまった。朱夏は返事を待たず、そのまま言葉を続ける。「私、買うなんて一言でも言った? 何で勝手に買ったのって聞いてるの」『……プレゼントくらいは、俺の好きにしてもいいんだと思ってました』ようやく絞り出した声には、隠しきれない寂しさが滲んでいた。それくらいの関係でもないんですか。そう問いかけているようだった。少し傷ついたような声を聞いて、朱夏は思わず息をのむ。プレゼントをくれた相手に、いきなり怒りすぎたかもしれない。「プレゼントするなって言ってるんじゃないの。坊やが勝手に決めてするなって言ってるの」道赫がデパートのVIPだろうと、お金が有り余っていようと、そんなことはもうどうでもよかった。それも含めて受け入れると決めて、この関係を続けることにしたのだから。でも、そのお金を彼の独断で自分へ使われるのは嫌だった。お金は、力でもある。プレゼントという名目で、自分の選ぶ権利まで失いたくはなかった。「私にはそういうことしないで。プレゼントって、もらう側が嬉しくな
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