All Chapters of 冷酷王の知られざる秘密: Chapter 81 - Chapter 90

103 Chapters

81・変わった献身

 全くもってセルクの言う通りで俺は無言で頷いた。 アーノルドの性格は俺達とは違ってかなり慎重だ。だから簡単に人を好きになることも無いし、そういう対象が居ても大抵は一線を引いて付き合っていたが、どうやらそういう理屈抜きにスノーの寝顔にやられてしまったらしい。「そうは言うけど二人共。まだほぼ初対面の人間にそういう目で見られるのは怖くない?」「既に見てるじゃないか」「そうだぞ。既にそういう目で見ていて挙げ句に夜中に4回も抜いてんだ。今更怖いも糞もあるか」「まぁ……そうなんだけどさ……はぁ……僕のイメージ……」「まぁしかしなんだ。きっとスノーの方も今頃サキュバスにでも相談してるんじゃないか? ロミさんから聞いた限り、スノーは相当に奥手だが本当に優しい子だと言っていたぞ。絶対に幸せになるべき子なんです! とな」「あの他人に厳しいロミさんが?」「そうだ。ロミさんは猫のように警戒心が強いが、スノーとサキュバスに関しては涙ながらに一生物の友人が出来たかもしれないと語っていたぞ」「ダリアも褒めていたのか?」 セルクからよく聞くロミという女は、それはもう自分にも他人にも厳しいと聞いている。夢が教師だというような娘だ。きっと理性の塊のような女なのだろうが、そんな女がダリアを褒めるのはいまいちよく分からない。「ああ。ロミさんが二人に興味を持ったのは、スノーの夢が学者になる事だと知ったからだそうだ。最初はサキュバスの事をあまり良く思っていなかったみたいだが、あいつのあの裏表の無さやあけすけな所が真面目な自分とは正反対で羨ましいと言っていた。何よりもサキュバスはああ見えて実は凄く優しくて友人思いだとも言っていたな」「なるほど。それはそうだな。何せ同僚を庇って死ぬような女だ。好き勝手やっているようで、いつだって自分よりも他人の事だ」「ああ、前世の話?」「ああ。あいつの技だって結局の所、相手への奉仕が大部分だ。もちろん、それを自分の為だと言い張るような奴だが。そ
last updateLast Updated : 2026-08-31
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82・策士、ロミ

「もちろん!」「ありがとう!」「いいよ。ロミちゃんは……」「もちろんロミさんも来て!」「いいですよ。それじゃあさっさと食べましょう」 そう言って私達は急いで朝食を食べてそのままスノーの部屋に移動した。 部屋に到着するとスノーは私達にお茶を入れてソファに腰掛け、両手で顔を覆う。「ど、どうしたの?」「あの、あのね!」「うん?」「その……昨夜初めて練習って言って宰相さまのお部屋に泊まったんだけど、そ、そういう雰囲気になった時って、その、どういう感じ……なの?」 突然のスノーの台詞に、ロミが飲んでいたお茶を吹いて咽た。「だ、大丈夫? ロミちゃん」「す、すみません。あまりにも予想外で驚いてしまいました」 ハンカチでテーブルを拭きながらそんな事を言うロミに思わず私も頷く。「えっと、宰相様とそういう雰囲気になったの?」「ち、違うの! あのね、ベッドが一つしか無いから一緒に寝たんだけど、宰相様はソファで寝るって。でも私がそれを止めて一緒に寝ることになって、それで——言いたいこと伝わってる?」「んー……何となく?」「支離滅裂とは正にこういう事ですね。つまり、今後の為に練習を兼ねて宰相様の部屋にお泊りをして、昨夜は一緒に寝る事になったとそういう事ですか?」「そ、そう」「なるほど。それで、手でも出された?」「う、ううん。宰相様は多分私が怖がらないようにって出来るだけ離れて寝てくれたんだけど、その、深夜に喉が乾いてお水を貰おうとしたら、その……お風呂がね、ちょっとだけ開いてて、その、一人でその……」「ああ、自慰してたんだ。痛い!」「はっきり言いすぎです」 まるでオズワルドぐらいのスピードで腕を抓られた私は、スノーを見て
last updateLast Updated : 2026-09-01
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83・囮という言い訳

「ロミさんは凄いのね……私、きっとそんな事考えてる余裕なんて絶対に無いと思う……」「まぁこれは願望です。スノーにこんな所は似合いませんから」「ロミさん……」「それはそう。でも私から言わせればロミちゃんもこんな所に居るべきじゃない人だよ。こういう所が似合うのは私みたいな奴だからね!」 胸を張ってそんな事を言う私にロミもスノーも曖昧に頷いた。「だから二人にはこんな所から早く脱出して夢叶えてほしいな」 これは本心だ。真っ当に育ってきたであろう二人が、こんなにも誰かを思いやれる二人がこんな所で夢を叶える時間を無駄にするのは嫌だ。 そう言って微笑んだ私を見て、ロミとスノーは顔を見合わせて口を揃えた。「あなたの夢は応援しませんけどね」「ダリアの夢は叶っちゃ駄目だよ! 叶えてもまだ当分先にしてね!」「はは! うん、これからはおばあちゃんになってからって付け加えるよ」「……お婆さんになってもこんな生活を続けるつもりなのですか?」「ダリア……一体いくつまで現役でいるつもりなの……?」「もちろん、死ぬまでだよ!」 カラカラと笑う私を見て二人はとうとう諦めたように肩を竦めて笑い出す。 スノーの顔がここへ来た時とは打って変わって随分明るくなっていて私もようやく心から笑うことが出来た。 ※ 俺達は城での引き継ぎや罠や準備を終えてようやくサロンに引っ越しをしてきた。しばらくの間忙しくてサロンに通う間も無かったが、電話で聞く限りダリアはちゃんと俺との約束を守って大人しくしていたらしい。 俺達がここへ少しの間移り住むという事は既にオリガから全員に通達があったようだが、このサロンで働いているような元貴族の子女達は決して自我など見せない。特に俺達には。 だからこそ今回のような事件を招いたのだ。 サロン
last updateLast Updated : 2026-09-02
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84・嫌がらせ

 尤もらしい理由をこじつけた俺の言葉に、二人は納得したように頷く。「それはそうだね。下手に身内や貴族を使うと後々厄介だ」「しかしサキュバスには少し荷が重くないか? ああ見えて人は良いし、何よりもロミさんの友だちなんだ」「だから離宮に移すと言っているんだ。ダリアは切り札だ。今の俺が唯一手を出すのがダリアで、スパイ達にもそれは恐らく周知されている。いつまでもこのサロンに放りだしていたら、その切り札さえ無くなってしまう」 ナイフの一件でもサロンの部屋が荒されていたのも、一歩間違えばダリアは殺されていた。その時点でダリアは敵国のスパイではない。それはアーノルドもセルクも分かっているはずだ。 俺の言葉にアーノルドは腕を組んで口を開いた。「分かった。それじゃあ離宮を再開しよう」「ああ」 こんな話を堂々と食堂でしたのが少し前だ。 この話は既にサロンの中に広まっているだろうとは考えていたが、思いの外色んな者達が小さな嫌がらせをダリア達に仕掛けてきているようだと情報が入った。「釣れるのは本物だけで良かったんだけどな」 そう言ってアーノルドは俺の部屋のソファに凭れて一冊のノートを机の上に置いた。その隣でセルクもまた大きなため息を落としている。「まさか俺達がここに来る事でこんな弊害があるとはな……誰も何も言ってこないからすっかり油断していたな」「国外からの敵にばかり注視しすぎたね。オズ、あの三人を呼ぼう」「そうだな。しかし遅いな。まだ食事をしているのか?」 この部屋を朝食を取る為に出たのがもう一時間ほど前だが、まだダリアが戻らない。「女子が集まると何でも時間がかかるものだ。俺が呼んできてやろうか?」 セルクの言葉に俺は首を振った。「いや、いい。ついでに罠を張ってくる」「分かった。行ってらっしゃい」「ああ」 それだけ言って俺は部屋を出た。 罠と言っても簡単なものだ。ダリアとの仲を皆に見せつけるだけなのだから。そ
last updateLast Updated : 2026-09-03
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85・ダリアの目論見

「そうよ。王はジャンヌ様を大切にしていたからこそ、わざわざこのサロンを作ったのでしょう? 生憎ジャンヌ様と添い遂げる事は出来なかったけれど、きっと王はその事で深い傷を負われているわ」「だとしたらその捌け口にされているあの方は惨めね」 ホホホと笑って淑女達は席につき、朝食をとり始める。そんな光景にイラっとした私は思わず立ち上がり、スノーとロミが止めるのも聞かずに彼女たちの元へと向かった。そして彼女たちを見下ろして笑顔で言う。「ねぇねぇ、良かったらあなた達の事、私から王に進言してあげましょうか?」 唐突な私の言葉に彼女たちは一斉に「は?」みたいな顔をしてくる。「だから、私からあなた達を紹介しましょうか? って言ってるの。だって考えてもみて? 王だってそろそろ良い歳だし、いつまでも私を捌け口にしてる訳にはいかないよね? このままだと王の花嫁になるのは城に居る側室候補の誰かになっちゃうよ? それならここで一度でもお相手をして気に入ってもらうのが一番良くない? そうでもしないと側室候補達を出し抜けないと思うんだけど」 笑顔でこんな提案をした私を見て淑女達が全員顔を見合わせた。その目は完全に獲物を狩る肉食動物の目だ。「ま、まぁそんなに言うのなら構わなくてよ? まずは私ね」「ちょっと待ってよ。どうしてあなたなの? 私でしょ?」 二人の淑女が睨み合う中、一番派手な衣装を纏っていた淑女がそんな二人を鼻で笑った。「あなた達の家は所詮伯爵家じゃないの。ここは侯爵家だった私が相応しいに決まっているでしょう? あなた、私を一番に紹介なさい」 その一言に他の二人は黙り込んで侯爵家の淑女を睨みつけているが、そんな事はどうでも良い。私は頷いて名前を聞き、席に戻った。「ちょ、一体何を企んでいるのですか!?」「そうよ、ダリア! そんな事勝手に決めたら王にお叱りを受けちゃうわ!」 席に戻って呑気にパンをスープにつけて齧る私にロミとスノーが声を潜めて攻め立ててくる。「大丈夫だよ、二人共。多分一回でもオズワルドの相手したら、もう二度とあんな事言えなくなるから」
last updateLast Updated : 2026-09-04
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86・セルクのプロポーズ

「良かったね、高位貴族さま」 まだ放心しているスカーレットに声をかけると、スカーレットはハッとしたような顔をして私を見て笑う。「良かった? どうしてそんなに上から目線なのかしら? 当然じゃない。私はあの方とはあなたよりもずっと前から面識があるの。婚約者の候補にだって上がった事があるわ。そんな私に向かって良かったですって? 身の程をわきまえなさい」 それだけ言ってスカーレットは席を立ち、何故か勝ち誇った顔をして食堂から出て行ってしまう。そんな後ろ姿を唖然とした様子で見つめていたのは私だけではない。残された二人の淑女もだ。「あなた達、あれと一緒に居て疲れないの?」 何気なく問いかけると、二人は何とも言えない顔をして私から視線を逸らす。その仕草が全てを物語っていた。相当疲れている、と。 席に戻った私は今度こそ本格的に食事をし始めた。相変わらずもりもり食べる私を見てロミは呆れ、スノーは楽しそうに微笑んでいる。「それでさっきの続きなのですが、どうして王にあの人を紹介したんです?」「私も聞きたいわ! ダリアは少しも嫌じゃないの? その、王が他の方とす、するの」「全然嫌じゃないよ。だって私もそうだし。あの人を紹介したのはね、ちょっとした仕返しだよ」「仕返し?」「うん。まぁ見てなよ。明日あの人このサロン出てくかもね」 オズワルドのモノを果たしてあの根っからの淑女が受け入れる事が出来るのだろうか? もしも出来たらそれはオズワルドにとっても嬉しい事だろうし、出来なければオズワルドの言うようにこのサロンを出ていくのだろう。 ニヤリと笑った私を見てロミとスノーは互いの顔を見合わせて首を傾げていた。 食事が終わって三人でオズワルドの部屋に戻ると、そこには何故か怖い顔をしたセルクと、困った顔をしているアーノルドが居た。「あれ、オズワルドだけじゃないんだ」「ああ。三人とも、座れ」 何だか物々しい雰囲気に私達は何事かと顔を見合わせソファに座ると、突然アーノルドが机の上にビリビリに破かれたノートを置いた。それを見てスノーが青ざ
last updateLast Updated : 2026-09-05
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87・とんでもない仕返しと嫉妬

「え? それはオズワルドに一突きしてもらったらきっとここ出てくだろうなって思ったからだけど? 痛い!」 さっきとは打って変わって今度は勢いよく打たれた私が思わず頭を押さえると、オズワルドは大きなため息を落として睨んでくる。「それで、俺はあの女を一晩抱けば良いのか?」「うん!」「そうか。では代価にお前は何をくれるんだ? もちろん褒美はあるんだろう?」「もちろんだよ! 月のものが終わったら思う存分付き合ってあげる!」 笑顔で言うと、オズワルドは少しだけ考えて首を振った。そして怖い声で言う。「駄目だ。それじゃあいつもと変わらない。そうだな……ああ、あれが良い。俺が王を退いたらいつか危険日にヤらせろ。どうだ? 条件を飲むか?」「どういう意味? そんなのいっつもヤッてるじゃん」「言っておくが、避妊はしないぞ?」「はあ!? それは困るよ!」 そんな事をして子どもが出来たらどうするのだ! そう思うのにオズワルドはおかしそうに私を見て言う。「では俺は今からあの女に断って来よう」 そう言ってオズワルドは立ち上がろうとしたので、私はそれを慌てて止めた。「……分かった。一回だけだからね! 絶対に一回だけだから!」「ああ」「うぐぅ……一回ぐらいなら大丈夫だよね……」「それはどうだろうな? 今から楽しみだ」 意地悪に笑ったオズワルドを私は下唇を噛み締めて睨みつけたが、その隣で何やらアーノルドとセルクがひそひそと話している。「お、おい、アル、今のって——」「セルク! それ以上は言わない」「あ、ああ……マジか……趣味がおかしいだろ、どう考えても……容姿は確かに可愛いかもしれんが、中身はサキュバスだぞ……」
last updateLast Updated : 2026-09-06
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88・傷を隠す猫

「俺はここへ茶を飲みに来たわけではない。さっさと準備しろ」 まるで以前の側室達にするような態度で言うと、娘は悲鳴を飲み込んで急いでベッドの支度を始めた。 いよいよ準備が整うと、娘は手を組んで祈るようにベッドに転がる。その態度を見て俺は心の中でため息を落とした。果たして勃つだろうか、と。 ベッドに転がった娘に近づくと、俺は娘に馬乗りになって顔を覗き込んだ。その目には恐怖しか浮かんでいない。 そんな娘に静かに言う。「先に言っておく。無理だと思ったら早めに言ってくれ。我慢をされてもこちらは何も気持ちよく無い。お前たちは自分が我慢さえすればそれで良いと思っているのかもしれないが、それは違う。互いが気持ちよくなってこそだ。だから、無理だと思ったらすぐに言え。俺はそれ以上はしない」「は、はい」 娘はゴクリと息を呑んで目を強く閉じたが、キスはしない。それはもうダリア以外には出来ない。 俺は服も脱がずに下履きの中から息子を取り出して自分で扱き始めた。そしてもう片方の手で娘の下着を脱がせて敏感な場所を弄ると、うっすらとだが膣から愛液が染み出してくる。それでも娘は無言だった。声を必死になって殺し、全ての主導権を俺に明け渡す。 以前はこれが普通だった。ダリアにも以前言ったが、淑女のセックスの知識などこんなものだ。 何となく勃ってきたので息子を娘の膣口に充てがうと、狭すぎる入口に先端を押し付けた。本来ならもっと解してやれば良いのだろうが、この女はここから追い出すのが目的だ。これ以上優しくする必要もない。 そして案の定先端がほんの少し入った時点で、とうとう娘は悲鳴にも近い声を上げて叫んだ。「お、お許しください、王! 無理! これ以上は無理です!」 それを聞いて俺はすぐさま娘の上から下りると、既に萎えている息子を下履きの中に直して言う。「そうか。では俺は戻る」 すると娘は今度は慌てたように俺の前に跪いて頭を下げてきた。「え? あ、いえ! も、申し訳ありません! もう一度、もう一度だけチャンスをください!」「60人だ」
last updateLast Updated : 2026-09-07
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89・危ない薬

 血の気が失せて意識が朦朧としてくる。どうせ意識を失うのであれば、大人しく薬を飲んでおけば良かった。そんな事を考えながらとうとう私はそのまま寝室に辿り着く前に力尽きたのだった。「——リア! ダリア! おい、しっかりしろ!」「んぅ?」 誰かに激しく揺さぶられてうっすら目を開けると一番にオズワルドの真っ青な瞳が飛び込んできた。どうやらオズワルドは倒れていた私を見つけて抱き起こしてくれたようだ。「大丈夫か!? どうした? 何があった!?」 何だか必死なオズワルドを見てちらりと時計を見ると、オズワルドが部屋からでてまだ一時間も経っていない。「……早くない?」「そんな事はどうでもいい。どうしてこんな所で寝てるんだ」 目を覚ました私にホッとしたのか、ようやくオズワルドは落ち着きを取り戻した声で言う。「寝てたっていうか、気を失ってたって言うか——いった……」 オズワルドの腕の中で思わずお腹を抑えた私を見て、オズワルドは眉根を寄せて私を抱えあげ、また寝室に運び込とナイトドレスのボタンを止めながらため息を落とした。「お前、どうして嘘をついたんだ」「嘘?」「ああ。動けなくなるぐらいだと言っていただろう?」「私もビックリしてる……久しぶりにきっついのが来て」 こんな話をしている間も痛みで冷や汗が溢れてくる。そんな私の汗をオズワルドはハンカチで丁寧に拭ってくれた。「本当だろうな? 毎度こうなる訳ではないのか?」「ならないよ……たまに、半年に一回ぐらいこんなのが来るだけ」「そうか。薬は? 飲んだのか?」「……飲んでない。あの薬、昏睡かよってレベルで効きすぎて怖いんだもん……」「昏睡? ここに支給しているのは単なる痛み止めだぞ? 見せてみろ」「私
last updateLast Updated : 2026-09-08
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90・予定調和

「そ、そうなんだ。それでどうしたの? あの薬」 そんなにヤバい薬だったのか。やっぱり一回で止めて本当に良かった。思わず胸を撫で下ろした私を見て、オズワルドはベッドに座って話し出す。「アルに任せてきた。こういうのはあいつの専門分野だ」「そっか」 薬が効き始めたのか、お腹と腰の痛みが随分と和らいできた。 私は深く頷いてオズワルドの膝に頭を乗せるが、そんな私にもうオズワルドは何も言わない。「それで、オズワルドはどうしてこんなにも早く戻ってきたの? 私の事が心配だった?」「いや、まぁ、いつもの事だ」「……泣いてた?」「ああ。先端を挿れただけで悲鳴を上げて号泣だ。結局何も出来なくて萎えたから帰ってきた。お前の計画通り、あの女は明日にはここを出て行くんじゃないか」「可哀想に!」「……全然そんな風に思っていないだろう?」「うん」「全く、酷い女だ」「うん、それも分かってる。ごめんね、オズ。嫌な思いさせて。終わったら一杯しようね」「ああ」「オズワルドには悪い事したなって思うけど、私だけで良いんだよ。オズとのセックスが気持ちいいって知ってるの。一生、私だけで良い」 オズワルドの膝におでこを擦り付けながら言うと、オズワルドが私の髪をかきあげて顔を覗き込んでくる。「だが俺が誰と寝ても構わないんだろう?」「良いよ。でも他の誰としても一番気持ち良いのは私が良い」「一体どんな思考回路になっているんだ」「単純だよ。私と他の女を比べて、私とのセックスが一番気持ち良いなって思ったら、もう私を手放せなくなるでしょ?」「……怖い女だな、お前は」「そうだよ。だってサキュバスの生まれ変わりだもんね。男を繋ぎ止めるにはそれしか無いんだって両親見てて学習したんだよ」 そう言って目を閉じた私の髪をオズワルドが慰めるように撫でてくれた。
last updateLast Updated : 2026-09-09
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