涼真の一言一言に重みを感じた凜華だった。 が――。「私だったら、好きな相手を冤罪で刑務所へ送ろうだなんて思わないわ」「それが守ろうとした結果でも……。冤罪で捕まって、私はすべて失ったの。刑務所での日々も毎日が辛かった。だから私はあなたのことを一生恨み続けると思う。消えない傷よ」 凜華は、出所してからはじめて冷静に涼真と向き合った。 涼真が自分のためを想ってとった行動は、許しがたいもの。 例え、直哉や唯衣から命を狙われていたとしても、もっと他に方法があったのではないかと感じた。「悪かった。本当に。一生をかけて償おう」「俺は諦めの悪い男だから、凜華が嫌だと言っても、まだまだ諦めないけどな」 昔からずっと一緒だった幼馴染の涼真。兄のように慕っていた。 憎い相手になったことは変わりない。しかし凜華の心が少しだけ、救われた瞬間だった。「桜庭直哉には気をつけろよ。あと、唯衣……。お前の義理の妹もだ。何かあったら連絡しろ」 社員寮へ到着し、凜華と日葵を降ろした涼真は、部屋へ帰る前に忠告をした。「あと、これはビジネスの話だ。もし考えてくれるのであれば――」 涼真と別れ、久しぶりに部屋へ入った。(病室の方がよっぽど綺麗ね。こんなカビ臭い衛生的に悪い部屋にいたら、また具合が悪くなってしまう)(私だけならまだいい。日葵の身体にも負担だわ) 久しぶりに帰ってきた部屋は、心地よく、安心できる部屋ではなかった。 湿気とカビ、どんなに掃除をしてもどこからか入り込むホコリにシミだらけの壁。(涼真、こんなにもたくさん日葵の物品を用意してくれたのね。私の服とかもあるけど) 涼真は降りる時、かなりの日用品を凜華の部屋へ置いて行った。 袋に入っており、中身が何かわからなかったが、開けてみるとすべて自分たちに必要な物だった。(これ、私が好きだったブランドの服じゃない? もう着ることはないと思ったのに) 凜華が昔愛用していたブランド服まで入っている。(私のこと、よく見てくれていたのね) 嬉しくはない、だけど嫌でもない、そんな複雑な感情を凜華は抱く。 夫である直哉は凜華のことには無関心で、きっと愛用していたブランド一つも答えられないだろう。(もう一度、この服が似合うような女性になることはできるのかな) 服を広げ、見つめる。シンプルなホワイトのワンピース
Terakhir Diperbarui : 2026-08-15 Baca selengkapnya