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All Chapters of All World My hands: Chapter 11 - Chapter 20

52 Chapters

第11話 「ハンドメイド作家・双鹿」

 さて。あれから数日。「んー……」 皇は現実世界の市役所に居た。その理由は簡単だった。 ……バイトを探しているのである。AWM内でどれだけ稼ごうとその半分はヘルアに流れていってしまう。つまり、うま味がない。だけど、金がないのも困る。 と言うことで、ヘルアに流れていかない現実世界でしばらくの間お金を稼ごうと市役所の求人を見に来たのである。(給料の相場が分からんな……) 皇は生まれてこの方なにぶん才能がなさ過ぎて働いたことがなかった。できることと言えば、…………なんだろう。 遊城家のお金を食いつぶし、親のすねをそれはもうマッハで齧ってきた故に給料の相場が分からなかった。 ちなみに市役所に来た理由は簡単なモノだった。市役所なら所謂闇バイトは紹介されてないだろう、という目論見だ。(んー……) そうして、市の求人の電子目録を捲ること数十分。「お」 その求人は一際皇の目を引いた。別に特に派手とかそう言う訳ではない。だけど、その職種に目を引かれたのだ。「ハンドメイド作家のお手伝い……」 業務内容も作品の発送や、ホームページの更新、作業中の作家のお茶くみと皇でも問題なく行えそうな業務内容だった。 しかも、給料もそこそこに高い方で。 皇はその求人の応募ボタンを押すのだった。--------------------------------------------------------------- ———数日後。 その日はアルバイトの面接の日だった。 あれからメールでいくらかのやり取りをして今日の面接に至る。「緊張するな……」 服装は私服で構わないと言われたから私服で来たが&h
last updateLast Updated : 2026-07-08
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第12話 「意外な共通点」

 あれから。平日の日中は大体双鹿の元でのアルバイト、夜はAWMにログインしてソロ活だったり、アザカと共にゲームをする日々だった。 そして、今日ももちろん皇は双鹿の元でのアルバイトに打ち込んでいた。---------------------------------------------------------------「んッ……ん———……」 双鹿が肩をバキバキとそれはもうびっくりするぐらいの音を鳴らしながら伸ばす。(あ、あれは……) 皇は双鹿の元でのアルバイトでなんとなく行動の癖が把握できてきたころだった。ちなみに、今のは作業がひと段落した、ということだ。「双鹿さん、なにか甘いもの出します?それかカフェラテかなにか……」 ちなみにどれも味の間違えようがない買い置き・インスタントだ。バイト初日に皇が昼飯を振る舞って以降、食事は作らせてもらえなくなった。「……羊羹。あと緑茶」「かしこまりました」 双鹿からオファーを受けて、皇は台所にいそいそと向かう。そして、電気ケトルでお湯を沸かしながら、冷蔵庫から冷えた羊羹を取り出し、それを切り分ける。 それらを配膳しながら会話をするのだ。「午前中に言われたことは軒並み終わりましたけど……この後はなにかありますか?」 そう双鹿に問いかけると、双鹿は目がしょぼしょぼするのか目を何度か瞬きしながら皇が運んだ羊羹をフォークで切り分ける。「……買い物を頼むわ。ちょっと摘まめるお菓子の補充とインスタント飲料の補充」「はい」 そうして、粉末の緑茶をマグカップに入れ、電気ケトルからお湯を注いで、緑茶を作り終えれば、それを双鹿の前に置き、自分もその対面に座る。「はー……使い勝手のいい下僕のいる生活ね&h
last updateLast Updated : 2026-07-09
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第13話 「おかしなステータス」

「トウチシャ……?」 頭の中で一瞬言語が正しく変換できずにカタコトになる皇。だが、そんな皇を見て、双鹿はちょっと驚いた顔をする。「……もしかして、統治者も知らない?」「知らないな……」「本当の本気でビギナーなのね……」 そんな双鹿の呆れ顔。なんか特に罪悪感なんて感じる必要はないのに若干の申し訳なさを感じて。「簡単に説明してあげるわ。文字の通り、ワールドを統治するプレイヤーのことを統治者って言うのだけれど……まあ、なにかをする訳ではないわね」「え?」「一応、ワールドを発展させる義務はあるのだけれど……そんなもの好き勝手やってれば基本的に勝手に繁栄していくものだし。だから、私は自分の店のことしかそんなにやってないわ」(わあ、デキる人間の言葉だ……) 多分、双鹿はこう言いつつもなんだかんだ器用にアレソレをこなしているのだろう。なにをやっているかは分からないけど。 デキる人間はこうしてなんて事のない風に全てをこなしていくから怖いものだ。「まあ、そんな訳だから一応有名プレイヤーって訳」「はえー……」「でも、そうね……」 双鹿はなにか考えるそぶりをすると、自分のリムレットを操り始める。そして———。 ———てぃろん。 なにかを皇のリムレットが受信した。それを開けば、そこにはAWMのフレンドコードが表示されていて。「折角だもの。案内してあげるわ、私のワールドを」--------------------------------------------------------------- ———夜。
last updateLast Updated : 2026-07-10
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第14話 「レアモンスターと戦闘童貞」

「ああ、そういえば———今日の仕事を忘れていたわ」「ああ、発送か」 思い出したように双鹿が空中で指を動かし始める。システムウィンドウを操作しているようだ。 ヴィクトはまだこれがマクロであることを受け入れられずに、黒猫と戯れている。(ふわふわなんだよなあ……) 暖かくて、ふわふわで、もふもふで。(マジで生きてないとか信じられん……) 人類とは猫に癒される生き物なのである。なんて思いながら黒猫と戯れていれば、双鹿が「あ」と声を上げる。「ヴィクトくん、ちょっといいかしら」「あいよ」 腰を上げれば、黒猫が「え?辞めるの?」なんて視線を向けてくるのでちょっと心苦しくなる。(ごめんな、雇用主の方が上なんだ) そんな視線を黒猫に送りながら、双鹿の前に立つ。「ヴィクトくん戦闘経験はあるかしら?」「いや、まだ……」 ヴィクトがそう言えば、双鹿はにこりと笑ってヴィクトの耳にその薄い唇を寄せる。「じゃあ、ヴィクトくんのハジメテ、私に頂戴?」 その囁きはなんかちょっと勘違いをしてしまいそうになるぐらい甘美な響きを持っていて。双鹿の性格を分かってなかったらガチ危なかったまであった。「俺のハジメテって……」 ゆっくりと双鹿が離れていく。微妙に熱くなった頬を気取られなくてセーフ。「私の店は装備屋なのだけれど、とても珍しい素材以外は店の方で準備しているの。そのストック素材がもう尽きかけていて……そんな強敵に挑むわけでもないから丁度いいと思ったのよ。脱童貞は早い方がいいわよ?」「いや、あの俺童貞では……」「ああ、そうね。性病にかかってるものね」「あの、マジで勘弁して……」 まあ、でも。AW
last updateLast Updated : 2026-07-11
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第15話 「ボーナスゲームと罰ゲーム」

 双鹿はこういうときふざける人種ではない。それは分かっている。故に、双鹿の様子の変化にヴィクトは息を呑んで目の前のドラゴンと対峙する。「どう、不味いんだ?」 まだ、ドラゴンにアタックをしていないからヘイトは引いていない。知っていることを聞くなら今しかない。「アレは———ボスレアモンスター・デッドレウス。さっき話したでしょ、レアモンスターは強い、って。この部屋にいる本来のボスの10倍は強いのよ。アレ」「初陣でヤバいのに当たったってコトだな……」「しかも、死ぬか倒すまでこの部屋からの脱出は不可能よ。……ごめんなさい、普段あんなもの出てこなかったから……油断したわ」 双鹿の心からの謝罪。「いや、レアモンスターが出るかは分からねーし、普段は出ないんだろ?なら仕方ない」「でも……」 双鹿を背に剣を握る。このアザカがプレゼントしてくれた蒼い透き通った剣に恥じるような真似はできない。「援護を頼んだ。———あいつは、俺が倒す」 そうして、ヴィクトは地面を蹴った。--------------------------------------------------------------- 戦いのセオリーと言うものは正直ヴィクトには分からなかった。 だけど、体がこんなにも軽いのだから相手より速く動けることは明白で。 ヴィクトは剣を片手にデッドレウスの足元に滑り込む。すると、流石に近づいたからヘイトを買ったのか、デッドレウスがヴィクトを踏みつけようとして。「少しいてぇぞ?」 ———その足裏を、ヴィクトが切りつける。 降り注ぐ血、そして、足元から脱出をすればその胴体に斬りかかる。 ———ギャオオオオオオオオオオッ。「ッ
last updateLast Updated : 2026-07-12
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第16話 「幻視・契約の瞬間」

 そこには掠れて透けているが、過去のヴィクトが居た。〝スメラギ……お前に、頼みたいことがある……〟〝なぁに?〟(あれは……!) 幼い。まだ何も知らなかった頃のヴィクト。そして、その幼いヴィクトの目の前に居るのはいつも悪夢で見るローブの男だった。 いや、今はローブをしていない。だけど、確信を持って言えたあの声はまさしくあの男だ、と。〝世界を救ってくれ……そして、世界を救うためにこの世界と契約を……〟〝分からないけど……そうすればみんな幸せなんだよね?〟〝ああ……〟〝じゃあ、契約するよ、俺。××にも、おっちゃんにも幸せで居て欲しい!〟 一瞬音にノイズが走る。(誰だ、俺は……一体、誰に幸せでいて欲しいんだ……)〝契約をして、時が来たら……神器の欠片を集めるんだ……不味い!〟 ローブの男がなにかを察したのか、ハッ、と顔を上げる。そして、幼いヴィクトの背中を押して言うのだ。〝行け、お前にしかできないことがある〟 そんな男の言葉を皮切りに、男も幼いヴィクトも光の粒子のように消えていくのであった。「……くん、ヴィクト!」「はっ、はい!」「……なに呆けてるの?」「え?」 ヴィクトは視線をぱちくりと瞬きをする。「え、今……幼い俺が……」「なに言ってるの?灯りを付けた途端呆けて。それじゃあ、剣を構えてる意味がないじゃない」(双鹿には見えてなかったのか?) だけど、あれ
last updateLast Updated : 2026-07-13
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第17話 「初めて見た綺麗なモノ」

「ん……」 意識がふわふわと浮上する。暖かく柔らかい布団。その布団からは仄かに太陽の香りがして。もう少し寝ていたいという誘惑。 その誘惑に従って意識を底に落とし込むように意識をする。 そして、柔らかく暗い意識の縁で考える。(今日の薊のメシはなんだろう。双鹿さんのバイトの暇な時間今日はなにしてよう) そこまで考えて———。(あれ、俺の布団って……こんなに柔らかかったっけ?) そう思った瞬間、ヴィクトはガバッ、と起きた。「っ……びっくりしたわね……」 ベッドの横には椅子に腰かける双鹿。「あれ、俺……」 混乱する脳みそで意識を失うまで、というかどうやって此処まで辿り着いたかを確認しようとするが、まず、意識は森の中で途絶えていて。「ダンジョンから脱出したまでは覚えてるわね?」「あ、ああ……そこで、凄い意識がぐちゃぐちゃになって……」「その後、気絶したのよ。で、私が転移アイテムでヴィクトくんを聖ユリアの首都まで運んで、適当な安宿に放り込んだ。此処までOK?」「安宿……」 そう言われて、ヴィクトは周囲を見回す。どう見ても手入れの行き届いている家具。ベッドの上の布団はふかふかで太陽の香りがして。おまけに、なんかいい香りのルームフレグランス……。「あの1泊おいくら万円……?」「え、500万ネントよ。安く泊まれてよかったわ」「安くない、安くない、絶対に安くない!」 ヴィクトの現在の所持金1万ネントに比べてとんでもない額であることは確かで。(きっと、リアルマネー換算とんでもない金額だぞぉ……)「ま
last updateLast Updated : 2026-07-14
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第18話 「突然の殺害予告」

 ———3日後。 あの日双鹿から出された条件は神器の欠片というか統治権を渡すにふさわしい難易度をしていた。〝3日後にマザーグースでオルドデウス主催のイベントが開かれるわ〟〝イベントの名前は「我々は不思議の国の夢を見るか?」〟〝そのイベントの上位報酬、黒星海の万年筆と交換でどうかしら?〟 正直、イベントの難易度とかそう言うことは一切分からなかった。だけど、あの双鹿が欲しいと思うものなのだ、それはそれは高価もしくはレアリティが高いモノなのだろう。〝確かにそれなら統治権と見合うな〟 そう納得をしたヴィクトはお菓子の国・マザーグースのイベント「我々は不思議の国の夢を見るか?」に挑むこととなった。--------------------------------------------------------------- イベントはマザーグース全体を使って行われる。だが、平等性を保つために参加者は全員マザーグースの中央広場に集まりゲーム開始時にランダムに転移させられることとなっていた。 ヴィクトは緊張をしながら、イベントのルールを読み込んでいた。(えー……イベントは街中にポップするボスとのレイド戦で……) 周囲の人間は和気藹々と4~5人で固まっている人間が多いせいで、浮くこと浮くこと。 ヴィクトは成人式のぼっちのトラウマを想起しては深呼吸を深くした。(レイドボスへの与えたダメージでポイントが加算されていって、イベント最終段階での所持ポイントを元にランキングを集計……) なんというか分かりやすいお祭りイベント、という気がした。そして、同時に双鹿は絶対に主催しないタイプのイベントだな、と。(今の装備でどこまでやれるかだなー……) 現在の装備はアザカから貰ったアウリュッド製の装備。だが……レアリティは☆5と最大レアリティ☆13に比べれば
last updateLast Updated : 2026-07-15
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第19話 「癒着する神器の欠片」

 それは突然の殺害予告。ヴィクトは半歩後ずさった。だが、クロムも半歩近づいてくる。 直感する。逃げなければヤバい。でも、逃げても背中から斬りつけられる。 そんな絶体絶命の状況に息が詰まる。 殺されてもAWMに24時間ログインできなくなるだけ、そんなことは分かっている。 だけど、あの剣にだけは絶対に切られてはいけない気がした。 クロムとヴィクトのにらみ合いが続く。だが、次の瞬間だった。「ぐっ、がっ、ぁっ……」 クロムが苦しみだす。剣を杖代わりに立っているのもやっとな状況で。そして、クロムは黒い靄となって消えていくのだった。「な、なんだったんだ……」 呆然としながらヴィクトは零す。そんなヴィクトの頭上からは実況解説役の声が響いた。『ゲームはあと1分!悔いのないようにポイントを集めろぉぉぉおおおおおッ!』「ヤバっ」 ヴィクトは駆け出す。ブロークンクロウのラストアタックを取れなかった。これがどう大きく響くか分からない。 ヴィクトは屋根に飛び乗り、他のモンスターたちを探す。だが、大分遠くに何体か見えるだけで、もう近場には存在しなくて。 ヴィクトが焦って駆けだそうとした瞬間だった。『ゲーム終了だぁあああああああああ!』 そんな実況解説の声と同時に、フィナーレの花火が上がった。「そんな……」 自分がどれだけポイントを取ったかはまだ分からない。また、どれだけ倒せばいいかも正直目途はついていなかった。 故に、後は祈るしかなかった。---------------------------------------------------------------「あ~~~~~……」「ちょっと、落ち着きなさいよ」 あれからカラリエーヴァに戻ってきたヴィクトは必死に黒猫を撫でながら平常心を保とうとしていた。
last updateLast Updated : 2026-07-16
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第20話 「ハジメテの夜」

 ———カラリエーヴァ2階・双鹿私室。 カラリエーヴァの2階。2階以上はどうやら生活区域になっているらしく、あのアトリエのマンションより生活感が滲み出ていた。 双鹿はシャワーを先に譲ってくれた。 そうして、入れ替わるように双鹿もシャワーを浴びに行った。〝逃げるんじゃないわよ〟 そんな言葉を残して。最早、どっちがこの行為で得をするのか分かったものじゃない言葉に苦笑をしたのが記憶に新しい。 装備を外してバスローブでベッドに座る。 何回も言うが、ヴィクトは童貞と言う訳ではない。でも、やはり……ノリで行う訳ではないセックスにはなかなかの緊張感があった。 そうして、落ち着かないこと20分ぐらいだろうか。部屋の扉が開いた。「お待たせ」 先ほど自分が使った甘いはちみつの匂いのするシャンプーと同じ匂いを纏った双鹿が部屋に入ってくる。 バスローブ姿の双鹿は酷く妖艶だった。大きな胸はもちろんのこと、普段装備や洋服で見えない下半身もしっかり出るところが出ていて。 こんな女性とこれからセックスをする。その事実だけでちんぽに熱が集まるというもの。「ヴィクトくんは……女に見境ないタイプだと見たわ。性病にかかるぐらいだし」「人のことを猿かなにかだと思ってるな?」「ええ。だから、現実ではなかなかお目にかかれないモノを見せてあげようかと思って」 そう、双鹿が来ていたバスローブを開く。 ヴィクトは息を呑んだ。「こんなに綺麗に全剃りできるの……現実じゃ無理でしょう?」 そう双鹿は言って自身の全ての毛を剃ったであろう、パイパンまんこを見せつける。元の毛が生えている状態を知らないのではあるが、毛のなくなった双鹿のそこは肉厚で、今まで抱いたことのある女とは毛色が違った。「あら、声を失っちゃったのかしら」 そうバスローブの前を開けた状態で、ヴィクトの隣に腰か
last updateLast Updated : 2026-07-17
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