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All Chapters of All World My hands: Chapter 41 - Chapter 50

52 Chapters

第40話 「リザの提案」

 奇妙な沈黙が場を支配する。ヴィクトが身構えれば、リザはヴィクトを上から下、下から上と見て言うのだ。「どの子か、気に入った子はいるかしら?」「へ?」 リザが背後の踊り子たちに視線を向ける。背後の踊り子たちはおっぱいがちっぱいな子からばるんばるんな子、ちょっと骨ばってて体が薄い子からデブではないが肉厚な子までしっかり取り揃えられていて。「元大旦那様の趣味はこの子かしら?」 そうリザが指し示したのは、おっぱいは大きく程よく肉づいていて、まあ、趣味と言えば趣味な女の子だった。(というか……) なんだ。その一言に尽きた。こんな機嫌のいいリザなんて見たことがない。というか、その機嫌のよさが逆に怖いぐらいだった。 そんなリザの機嫌に恐怖していると、リザは笑みを浮かべて言うのだ。「今度のイベント、元大旦那様の望むハーレムを提供してあげるわ」「はぁ?」 ガチのマジで意味が分からない。なんでそんなことをする必要が、される必要がある。 ヴィクトが一歩後ずされば、リザが一歩詰めてくる。逃がしてくれる気はなさそうだ。「……なんで、俺なんかに構うんだ……」 うんざりとした問いかけ。そんな問いかけに、リザは「ふぅ」と息を吐き出せば、しゃがんでヴィクトに視線を合わせて言う。「元大旦那様にはこのオアシスのコマーシャルプレイヤーになってほしいの」 コマーシャルプレイヤー……つまりは、このオアシスの広告塔になってほしい、と。ふむふむ。「……コマーシャルって……俺にそんな影響力があると思っているのか?」 これは自負だが、ない。ランカーになっている訳でもないし、荒稼ぎした訳でもない。そんな普通にいち、パンピープレイヤーがコマーシャルだなんてそんなの土台無理な話だ。 そう、思っていると。「えー」「あら、あま
last updateLast Updated : 2026-08-06
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第41話 「夜の会議in嬉嬉軒」

 とりあえず、囚われのお姫様よろしく奪還を果たされたヴィクトは双鹿の提案で、このような誘拐をもう一度されないために一旦ゲームからログアウトをして、現実世界で落ち合うことになった。--------------------------------------------------------------- ———某県某市・路上。  普段なら自転車で行く距離なのだが、残念ながら自転車が2台ないため、皇と薊は徒歩で嬉嬉軒まで向かっていた。 嬉嬉軒集合なのは、現在愛鹿のアトリエが繁忙期に入り滅茶苦茶とっちらかってるからだ。 まあ、現在時間21時。嬉嬉軒も丁度良くしまった頃合いなので、姫沙羅が快く場所提供をしてくれたのだ。「てめぇ、マジであの元カノになにかされてねぇだろうな……!?」「されてない。つーか、される寸前で薊たちが助けに来てくれたんだよ。ほんと、ありがとうございます」 このままでは乱交童貞が奪われていたに違いない。女性多数に大して男1人の乱交、魅力的でないと言ったら嘘になるが、流石に瑠奈の口ぶり的に危機を感じた。……そう、テクノブレイクの危機を。 そんな言葉を交わして歩くこと30分ぐらい、駅の通りからちょっと抜けたところに嬉嬉軒はある。 皇と薊は暖簾は仕舞ってあるけど、店の電気だけがついている嬉嬉軒に堂々と入っていく。「姫沙羅、いるかー?」「皇~、あーっと、双鹿せんせじゃなくてえ……」「愛鹿でいいわ」「愛鹿も来てるよ~」 店の中にはとっくに愛鹿も来ていて。まあ、当然だ。野郎2人が住んでいるアパートより嬉嬉軒と愛鹿のアトリエの方がはるかに近い。最近、アトリエで寝泊まりしてるって言ってたし。 しっかし。(似合わねえな……) 1人苦笑する。普段、あの綺麗なアトリエでお茶を飲んでいる姿をデフォルトで想像していると、
last updateLast Updated : 2026-08-07
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第42話 「本当の思惑」

 さて、あれからログイン時間を示し合わせてログインするようになった皇。オアシスでのイベントまであと数日と言うところまで日程は迫って来ていた。 まあ、それはそれ。なにも皇の生活はゲームだけで成り立っている訳ではない。相も変わらず、嬉嬉軒でお昼を食べて愛鹿のところにアルバイトに行く日々。 今日は、愛鹿のところでのアルバイトはないが、折角貰った15%オフクーポンの期限が切れてしまいそうなため、皇は嬉嬉軒で昼食を取っていた。 時間もあったため、歩きで来ていた皇が嬉嬉軒で昼食を取り終わり、歩くこと十数分。 ……青いスポーツカーが皇の横に止まった。 そして、静かに運転席側の窓が開く。嫌な予感が皇の背中を伝う。そこに乗っていたのは瑠奈だった。 正直、またお前かという気持ちで胸がいっぱいになる。瑠奈に関わると碌なことがない。だから、避けるためにゲームでは薊たちとログインしていたし、警戒もしていたのだが。「乗りなさい」 瑠奈は静かにそう言えば、隣の助手席をぽふり、と叩いた。相変わらずセクシーな胸を見せびらかすような洋服で目のやり場に困ってしまう。「なんで」 皇は視線を逸らしながら問うた。「私はもっとたくさんの利益を元大旦那様に提案できるわ」 薊や愛鹿、姫沙羅は分かっているようだが、やはり、皇には瑠奈が此処まで皇に執着する理由が分からなくて。でも、流石に、そろそろウザいと思ってきた。(ここら辺で追い払っておくか……) そんなことを思いながら、皇は青いスポーツカーの助手席に乗り込んだ。---------------------------------------------------------------「はい」 瑠奈が未開封の水を運転しながら差し出してくる。それを受け取れば、瑠奈は満足げに微笑んで言うのだ。「そもそもなのだけれど」「ああ」「私と協力するってことは船寺の家とパイプを作れるって言
last updateLast Updated : 2026-08-08
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第43話 「思い出した吹いたら飛ぶ小さな約束」

 その後、しっかり酔っぱらった皇は一応健康のことを気遣って、薊を連れて2軒目ならぬAWM飲みに興じることとなった。--------------------------------------------------------------- ———AWM・砂上の楽園・オアシス。居酒屋。 「っも~~~~~~ほんっとーに意味わからんて……」 ダル絡み愚痴酒。最悪である。そんなヴィクトを苦笑しながら、見守るのがアザカだ。アザカはなにか思うようなことがある顔をしながら、ヴィクトの杯にアルコールを注ぐ。 なんか、最初の方にこのお酒の説明はされた気がしたが、ヴィクトはど~~~~でもよすぎて忘れてしまった。なんか、蒸留酒って言ってた気がする程度。「お前からさぁ!お前からさぁ!声かけたんじゃん!」 何周目か分からないこの切れ方。素面だったらヴィクトもアザカに対してよく付き合ったな……なんて零してしまうぐらい今日のヴィクトは絡み酒だった。「なのに俺は隣の県の川沿いに捨てられてよ~~~~~~あ~~~~~~俺可哀想~~~~~~~」「それを自分で言うあたりがてめぇだよな」 一方、アザカは上品な飲み方をしていた。ヴィクトみたいな醜態は一切晒さず涼しい顔で。いや、アザカが隣にいるからこそ、店主も次々頼まれるアルコールを出してくれているであろう側面があった。「意味わからねえ、な~~~~教えてくれよ、アザカはなんか知ってるんだろ~~~~~?」 もう直球の問いかけだった。アザカなら教えてくれるという甘え。そんな甘えを知ってか知らずか。アザカは苦笑して言うのだ。「今のてめぇに言っても意味わからなくて更にてめぇがイラつくだけだぜ?」「分からねぇ方がイラつくだろ~~~~~~~」 ヴィクトが机に突っ伏する。おつまみの皿がガタン、と揺れてカタカタと小さな音を立てる。そして、ヴィクトが動かなくなったのを見て、アザカが鼻から息を軽く吐き出して、苦笑する。
last updateLast Updated : 2026-08-09
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第44話 「ヴィクターズ」

 あのアザカとのAWM飲みの日から、リザに謝ろうとオアシスの中を彷徨ってみるも、リザに会うことはできなかった。 リザが駄目なら現実世界の瑠奈に、とも思ったが船寺家のセキュリティに止められて終わりだろうことが明白だったので———これは分かりやすい詰みだった。 それでもヴィクトはリザに向き合う気持ちだけは捨てなかった。 そんな中。イベント当日。---------------------------------------------------------------『こんばんにゃんこ~~~~!ついに始まる、砂上の楽園・オアシスでのオルドデウス社主催イベント!〝千夜億夜物語〟!実況はこの私あらにゃんこがお送りしますゥー!』 イベント当日。ヴィクト、アザカ、双鹿、銃姫の4人はイベント参加者エリアに居た。イベント参加者エリアは多くの参加者で賑わう。「あら、オアシスのイベントの割には……」「参加者多いね。やっぱり、オルドデウス主催だからかな?」「いや、商品のせいだろうなァ……」 ヴィクト以外の3人は口々に感想を口にしていく。だが、そんな中でもヴィクトはきょろきょろとリザを探していて。 それにいち早く気づいたアザカが肩に手を掛けてくる。「元カノ探してんのか?」「ああ、此処まで全く会えなかったからな」 傍から聞けば未練たらたらの危ない男なのだが。その実はただ謝罪したいだけなのだから許してほしい、そんなヴィクトの心情。「イベントが終われば嫌でも表に出て来なきゃなんねェんだ。てめぇが優勝すれば間違いなく言葉が交わせるだろうよ」「だな。リザが嫌って言ってもあいつも統治者だからな」 無理矢理引きずり出すようで悪いが、それしか手段はなかった。じゃないともう、2度とリザに会えない気がしたから。だから、ヴィクトはこのチャンスをものにしないといけない。『えーっ、今回の優勝賞品は——&mdash
last updateLast Updated : 2026-08-10
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第45話 「踏み込んだ一閃」

「……と」 ヴィクトが瞼を開けば、そこは薄暗いレンガ造りのダンジョンの通路のような場所だった。そして、目の前にはアザカが大剣を構えて、銃姫が銃を引き抜いていた。 いきなり戦闘か?と身構えようとすれば、隣の双鹿が「ふぅ」と小さく息を吐きだす。「とりあえず、周囲に人影はないわ。臨戦態勢解除」 双鹿の足元の影が揺れる。 そこで、ヴィクトは1人納得した。双鹿の影が偵察をしていて、その間の隙をアザカと銃姫が護衛していてくれていたのだ、と。「悪い、なんか俺だけ目が覚めるのが遅かったか?」「個人差あるからね~、仕方なし。不調とかはない?」 そんな銃姫の見上げる視線に手足を動かして親指をグッとサムズアップする。「そう、問題ないのね。じゃあ、リーダーに報告」 双鹿の声が挟まる。いつのまにリーダーにされたんだ。「索敵ついでに私の影をかなり広範囲まで伸ばして、地形を探ったのだけれど……探りきれなかった、正確には頭の理解のキャパシティを超えたわ」「てェと……つまり?」 双鹿の声にアザカが疑問を投げかける。「多分、かなり広いわ。これまでのイベント用エリアの比にならないぐらいのリソースがつぎ込まれて作られたかなり大規模なダンジョンと見るべきね。しかも、ただ広いだけならいいんだけど……」 そう、双鹿が区切った時だった。「ぎゃあああああああ……」 誰かの悲鳴が遠くで聞こえた。その悲鳴はどんどん小さくなっていきやがては聞こえなくなっていく。「モンスターも、罠も沢山あると見るべきね。このステージを作ったクリエイターの顔が見たいわ。きっと醜悪な顔をしていることだから」 そんな双鹿の説明の間にも四方八方から悲鳴が聞こえてきて。早速ビギナーの死んでいっている音がした。「なるほど。かなり趣味が悪ぃみたいだな」 ヴィクトもそう言えば、蒼律
last updateLast Updated : 2026-08-11
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第46話 「Re:邂逅・元カノ」

「てて……」 かなり、かなり長い時間落下した気がした。正直落ちている最中は、このまま死んで此処で終わるのか心配したがそれは杞憂だった。 落下した先の床は柔らかい植物が敷き詰められていて、ちょっとの衝撃を食らうだけでヴィクトは済んだ。「大分落ちたな……」 ヴィクトは頭上を見上げる。光が遠いどころではない、見えない。「おーいッ!アザカ!双鹿!銃姫!」 そう叫ぶ。すると。「……どういうことだ?」 音が上まで通っている気がしなかった。反響というのだろうか、をしている気配がなく、まるでちょっと上に天井があるような。そんな不思議な穴を見上げる。「……落ちている最中に転移させられたか?」 そう考えるのが妥当だった。あの穴の途中に転移のゲートのようなものがあって、その出口が此処だったのでは、と。 皇は試しに頭上の暗闇に手を伸ばしてみる。 だけど、手が揺らぐこともなく普通に見えて。どうやら、転移ゲートはもう少し上の方にあるようだ。 皇は手を下ろして考える。胡坐をかいて考える。「……いや、此処から戻るのは無理だろうな」 向こうからこっちの転移ゲートの出口が此処だっただけで、逆も然りとはいかないだろう。 つまりは真っ当に階段なりなんなりを探して上がる方が安全だ、と。 そう決断を下した皇が立ち上がろうとすると。「きゃああああああああああああああッ!」 転移ゲートの中から声が聞こえてくる。皇は釣られて上を向いて———。「っつ!」「いた……!」 何かと頭蓋が当たった。今度こそ死んだのでは?という痛みに目を白黒させる。「痛いッ……!」 そして、隣、いや、胡坐をかいたヴィクトの膝の上から
last updateLast Updated : 2026-08-12
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第47話 「これから始まる物語」

 ヴィクトはそのリザの諦めたような声を聴いて反射的に声を張り上げた。「友達から始めませんか!」 それは本当に反射的に出た声だった。何の意図も思惑もない、純粋な言葉。そして、ヴィクトは。(……なに言ってんだ俺ェ!) 自分で自分にツッコみを入れていた。でも、確信があった。このまま、このままリザと別れたら多分ヴィクトは一生後悔するようななにかを抱えることになる、と。 そんな後悔を抱えるぐらいだったら、行動したかった。自分のために、なにより、きっとリザもまたその重たい後悔を抱えることになると思ったから。 そして、間が、気まずい沈黙が訪れる。その沈黙を打ち消すようにヴィクトはしどろもどろに喋り始めた。「友達からなら、その、……ほら、それならコマーシャルプレイヤーにも協力してやれ……します……やらせてください……」 それはヴィクトなりの償いだった。蔑ろにした、思い出すのが遅かった、全ての罪への償い。そんな不器用な償いの様子に……リザは。「ぷっ……はは、あははは、あはははははっ」 思い切り笑い始めた。リザは歩きながら楽しそうに笑う。すると、暗いレンガ造りのダンジョンの奥に白い光が見えて。多分、この転移ゲートの出口だろう。 ここを出たら、ヴィクトもリザもそれぞれのパーティーに帰る。 でも、リザの最初の宣言通りにはならない気がした。これが、最後ではない気がして。 リザは逆光を浴びながら言うのだ。「じゃあ、まずは友達から。……あ、どうせならセフレから始めましょう」 リザのその言葉にヴィクトは「ぶっ」と吹き出す。「リザさん!?!?!?!?何故セフレ?!?!?!なんでェ!?!?!?」 ヴィクトの大混乱する様を見てリザは更に楽しそうに笑う。人が困る様子を見て笑うのはどうやらリザの性分なようだ。大分、
last updateLast Updated : 2026-08-13
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第48話 「懐かしい匂い」

 そんなこんなのイベント終わり。表彰もしっかりされたリザのパーティーとヴィクターズ。2パーティーは優勝者控え室に通されていた。 リザの取り巻きの踊り子衣装の女の子たちはやいのやいの騒ぎながら。 ヴィクトは双鹿やアザカにお小言でせっつきまわされて、銃姫に笑顔で怒られながら。 そんな穏やかな時間が過ぎていた。 そんな、面々の司会の端にシステムウィンドウがポップする。 システムウィンドウはすぐのタッチを促して、全員が同じ動きをしていることから、今回の「千夜億夜物語」の優勝関連だろうな、というのは予想がついた。 ヴィクトも例に漏れず開けば、そこには「優勝景品の願い事の御送信をお願いします」と書かれていた。 ヴィクトはなんの躊躇いもなく、「今現在感染しているサイバー強盗のウイルスを取り除いてください」と書き込んで、送信ボタンを押そうとしたとき。「ヴィクトはなにを書いたのかしら」 そうリザがヴィクトの隣のイスに腰かけてくる。それに双鹿たちが「あっ!」と声を上げるがリザの取り巻きたちがいい感じに宥めてくれて。 そして、リザはヴィクトの願い事を覗き込んで目を丸くした。「……ヴィクト」「んだよ。お前も性病性病いうのか?」「それ、私が命令して感染させたのよ」「はぁ!?」 そんな驚きの事実にヴィクトの声が控え室に響いた。「おま、おま、え、……じゃあ、ヘルアって……」「私の部下」 人って、驚きすぎると声が出なくなるらしい。「その願い事書き直しなさい」 リザのその言葉に首をぶんぶんと振る。「いや、いやいやいやいや、俺はこれでガチ困ってるから。ていうか、なに、そんなに金集めてどうすんの?」 拝金主義ではなかったと言ったことを撤回しかける。やはりあってたのではないだろうか?「……そのことに関しては現実世界で話させて頂戴
last updateLast Updated : 2026-08-14
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第49話 「瑠奈の神器の欠片の行方」

 ———嬉嬉軒。 午後14時頃。嬉嬉軒のランチタイムの営業が終わり、夜の時間まで一時閉店、という時間に皇たちは集合することになっていた。 皇と薊はいつかのように2人で歩いてきて、嬉嬉軒の暖簾の降りた引き戸を開けた。「おーっす」「ちわーっす」 そんな声をあげながら、入店すれば女子組———愛鹿、姫沙羅、そして、瑠奈が揃っていて。「お、俺たちが最後か」「女性を待たせるなんて偉くなったものねぇ、皇」「遅刻常習犯のお前には言われたくねえよ」 瑠奈とそんな軽いやり取りをすれば、皇と薊も愛鹿と瑠奈が座るテーブルに椅子を1つ足して座って。「はいはーい、全員揃ったね!」 姫沙羅が半分に切った味玉を大量に皿に乗っけて机の上に置いてくれる。(くう、またビールが恋しくなるものを……!) そうして、最後に姫沙羅が席に着けば愛鹿が口を開いた。「で、司会進行皇くんどうぞ」「どうも。えー、つー訳で。まずひとつ目、俺の性病問題が解決した」「字面にするとエゲつねェな」「薊、俺泣いちゃう」 マジで。まあ、実際は性病じゃないし!ただのサイバー強盗だし!「でも、実際ヘルア……あー、俺に性病を掛けた女な。ヘルアを差し向けたのは瑠奈なんだろ?ていうか、俺だけがターゲットって訳じゃないよな?」 そんな皇の質問。サイバー強盗の性質上、皇1人にサイバー強盗のウイルスを感染させても吸い上げられるお金は雀の涙。あれは大勢にかけて、少額を大勢から吸い上げるシステムだと見た上で質問する。「答えはイエスよ。皇には私怨で感染させたけど、ターゲットは別に誰でもいいのよ。ほいほいセックスする馬鹿なら男だろうと女だろうとねぇ」「俺のこと今遠回しに馬鹿って言ったな?」(ほいほいセックスするは……そうだよ!据え膳食わず
last updateLast Updated : 2026-08-15
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