Semua Bab All World My hands: Bab 81 - Bab 90

102 Bab

第80話 「ラフィとの再会」

 その声が部屋に落ちれば、双鹿はこくりと頷いた。「ちょっとぉ、2人だけで通じ合ってるの普通にムカつくから説明なさぁい」 そんなリザの声にヴィクトは咳払いをした。咳払いをして喋り始める。「そもそも、全員聖ユリア王国は認識してるよな?」 そんなヴィクトの問いに、双鹿以外の全員が各々頷いてくれる。「チュートリアルの街ですよね。最近通ったばかりの場所なので覚えています」「それだけじゃないわぁ。ヴィクトが幼い時に行っていた異世界」「で、クロムの元居た世界?確かに、きな臭いって言われればきな臭いね……」 そんなレインブラ、リザ、銃姫の言葉に強くヴィクトは頷いた。とりあえず、前提の認識がされているようで安心した。その上でヴィクトは言う。「これは……あまりないと思って、言ってなかったんだが……。俺はマザーグースを攻略していた時に、不自然な聖ユリア王国への転移を一回経験してるんだ。そして、そのとき……その時は過去の記憶だと気づかなかったが、過去の記憶を見た」 ヴィクトは水を一口飲んでから再度口を開く。「聖ユリア王国だけは誰が統治しているかも分からないし、俺も神器の欠片は持っていない。恐らく、統治者が要らないんだと思う。あそこはAWMの入り口で、みんなすぐに他のワールドへ飛び立っていってしまう場所だから。だからこそ、俺は聖ユリア王国になにかがあると思う」 正確には思いたい。そうでなかったらまた、0から全てを洗い直しだ。だから、多少こじつけ臭くても全てを検証したいのが本音だった。 一刻も早く、アザカを助け出すために。 そして、そんなヴィクトの言葉を受けて4人は顔を見合わせて、そして喋り始める。「ちなみに、双鹿さん的にはどうですか?私の中で割と双鹿さん右腕感あるんですけど」「辞めて。使いパシリにされてるだけよ」「あらぁ、でも、辞めてとは言わない辺りその称号が心地いいのよねぇ」「リザ、今あなた
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-15
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第81話 「クロムの残した教え」

 そうして、一歩を踏み出した瞬間だった。 ヴィクトの脳みそが軋むようなちょっと痛むような感覚。その感覚に奥歯を噛み、こめかみを押さえて、目の前を見れば。「……また、なにかを思い出すんだな」 ヴィクトは聖ユリア王国の王宮の鍛錬場に居た。さっきまで、聖ユリア王国の外に出ようとしていたのだから、これは確実に脳が見せている幻だと言えた。 そんな中で、幼い声がした。「鍵?剣……?」 そんな疑問を呈するのは幼い日のヴィクト、いや、この姿なら皇と言う方が正しいだろう。幼い皇は地面に座って、剣のにーちゃん……いや、クロムの腰についている銀色の、鍵の形をした剣を見ていた。「鍵であり剣これはその両方なんだよ」「へー……」(幼い俺……!) 幼い皇は正直分かってない顔をしていた。ピンと来てない。その様子にクロムも苦笑しながら、でも、クロムはその剣を腰から外して幼い皇に見せながら言うのだ。「近衛騎士には次元渡りの剣が与えられるんだ。俺には大層なものだけどね」「たいそう?」「滅多に使わないということさ。でも、普段はこの剣は普通の剣と変わらない」「え!?変わらないの!?」「変わらない。必要な時や次元を跳躍しないと勝てない相手が現れた時のみ、この剣はその真価を発揮するんだ」 そんなクロムの言葉に、幼い皇はまた、ぴんと来てない顔をして。我ながらその間抜け面に後頭部をひっぱたいてやりたくなる。「必要なとき以外、抜いちゃいけないんだ」 クロムは真剣に次元渡りの剣を見つめる。その瞳は、願いのようなものが揺蕩っていて。あのときは分からなかった。でも、今なら分かる。その願いが。(……そんな時が来ないことを願うよな) そして、クロムの姿が遠のいていく。今、次元渡りの剣はクロムの手の中にではなく、ヴィクトの手の中にある、その意味
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-16
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第82話 「決戦・クロム その1」

 落ちていく。空間の裂け目に、入ってきた穴は遠く、というかもう閉じている。ヴィクト以外は緊張した面持ちだ。でも、ヴィクトには不思議と緊張感や恐怖心なかった。強いてこの感覚に名前を付けるなら懐かしさだろうか。 よく見知った親戚の家に行くみたいな感覚。この裂け目に入った当初は温かさすら感じた。だが、落ちていく度に……その温度が少しずつ下がっていき、懐かしさが薄れていく。「みんな!地面だ!」 そして、ヴィクトたちは白い地面に電子コードが漂う空間に放り出された。ただただ空気が冷たく、痛い。 それぞれに受け身を取り、立ち上がる。そして、周囲を見回すのだ。「あれはぁ……」「コンソールかしら?」 そんなリザと双鹿の声にその視線の先を見れば、白いヴィクトの腰ぐらいの高さの石柱があった。「ちょっと待っててくれ、俺が確認してくる」 そう言って、ヴィクトがコンソールに近づく。コンソールは本当に石柱のようで、そして、それを触ろうした瞬間。「ヴィクトッ!」 銃姫の声、そして。背後になにかが着地する音、そして、荒々しい殺気。 ヴィクトが振り返れば、そこにはクロムが居た。もちろん、黒いクロム。 ヴィクトはコンソールに触ろうとする手を引っ込め、次元渡りの剣を構える。「何故……何故……此処、へ、此処」 クロムがゆらゆらと剣を抜く。その額を押さえる様子は、まるで痛む頭を押さえるようで。 やはり、クロムへの支配は完全でないことを知る。「此処へ、此処へ、きてしまっ、た、ら、ぁああああああああああああああああッ!」 ヴィクトが咄嗟に剣でガードするように構えれば、気づいたらクロムの剣を受け止めていた。見えなかった、とても、とても速い剣。 そのクロムの表情は泣いていた。歯を食いしばって、勝手に動く体を否定したくてたまらないのだろう。-------------------------
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-17
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第83話 「決戦・クロム その2」

 ———謎の電子空間・後方。  双鹿が分析をしている。銃姫とレインブラがすっ飛んでいった。そんな状況で、リザは内心ため息をついていた。(馬鹿ばっかぁ) 多分、双鹿が分析に回ったのはこの空間に影というものが存在しないせいで、なにもできないからだろう。必死に、この部屋がなんなのかを分析している。 まあ、銃姫もレインブラもリザみたいなことをやるような人間じゃないことはなんとなく分かっていたので。(はぁー、私の役目はこれって訳ねぇ) リザは剣を片手に舞いを始める。……ヴィクトたちへのバフ、そして、クロムへのデバフだ。 AWMにおいてバフデバフは数値が変動するようなものではなく、あくまで体感早くなったり遅くなったりするもの。 しかも、厄介なのが持続時間何分とかではなく、踊り手……つまりリザが舞える限りしか続かない。だから、リザは舞い続けなければいけない。勝つまで。(一番キツい役やらされてるわぁ) しかも、多分バフを振られている側は調子いいぐらいの認識だろうことが本当に腹が立った。でも、でも。 だが、いくら味方側にバフを振ったところでクロムの技術でいなされる。それを確認して、リザは肩で息をしながら方針を変える。「ちょぉっと手酷いの行くわよぉっ!」 そう叫んで、舞いを変える。その舞いは究極のデバフの舞、流石にこれを食らえばクロムでも、ヴィクト相手に五分以下になるだろう。 その代わり味方側へのバフがなくなる。だが。(やってみなさぁい!ヴィクトッ!) リザは笑う。ヴィクトなら絶対にやってくれると信じて。--------------------------------------------------------------- ———謎の電子空間・コンソール付近。 (リザさんからのバフが途絶えた&hel
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-18
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第84話 「決戦・クロム その3」

「……剣のにーちゃん……」 口からポロリと零れたのは懐かしい呼称。剣のにーちゃん、そう呼んだヴィクトの顔はいつもより僅かに幼さをこの場に居る全員に感じさせた。 すると、クロムが目を開ける。その瞳にさっきまでの獰猛さはなく、穏やかな雰囲気が漂っていた。「ちょっと恥ずかしいな。俺のことはクロムって呼んでくれ。異界の」 ヴィクトは泣きそうになった。そのヴィクトへの接し方はあの頃からまるで変わっておらず、これが本当の再会なのだということをヴィクトに教えた。「じゃあ、俺のことも……此処ではヴィクトって呼んでくれ」「ああ、ハンドルネームという文化だな」 そう言う知識あるんだ!そんなツッコみがついつい出そうになってしまう。だが、とりあえず、ヴィクトがクロムに手を差し出せば、クロムはそれを取って立ち上がった。 そして、4人が僅かに警戒をしながら近寄ってくる。そんな4人に安心して欲しくてヴィクトはクロムに話を振った。「支配は解けた、ってことでいいんだよな?」「ああ。ヴィクトが立ち切った数字の羅列、あれが俺の魂を支配していたんだ」「そういうことだったの」 そう声をあげたのは双鹿だった。双鹿は言う。「ずっと考えていたわ。単純にこの空間がテクスチャを張るほどの意味のない空間だからコードが剥き出しなのか、それとも意味があってコードが張り巡らされているのか」 双鹿は空を見上げる。黒い空間に無数のコードが泳いでいて。「あれらのコードは繋がっていない。1本1本が独立してる……つまり……」「優秀なブレーンがいるんだね、ヴィクト」 クロムは罪悪感の滲む目で拍手をした。一方ヴィクトはなんで、クロムがそんな表情をしているか分からなくて、双鹿を見た。「あそこに浮いているコード、全てが恐らくクロムさんが今までにAWM内で殺した人間の魂を電子化して縛っている」 そんな双
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-19
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第85話 「目覚め」

 ヴィクトが口を開こうとしたその瞬間だった。 ———パリンッ。 そんなガラスが割れるような音がいたるところからしだす。その音に顔をあげれば、見えない天井がひび割れていて。「不味いな。神器の欠片を俺から譲渡したからワールドが成立しなくなっている」 そんなクロムの声にいち早く声をあげたのは双鹿だった。「それってつまり……脱出しないと不味いってワケよね?」「ああ」 でっすよねー!えーとえーと。「馬鹿ヴィクトぉ。さっさと来た時と同じように道を切り開きなさぁい。文字通り」「お、おう!」 リザに指摘されるまで、その手段を忘れていたのはナイショだ! ヴィクトは大急ぎで、次元渡りの剣で目の前の空間を裂いた。そうすれば、すぱっとまた空間が捲れて。次元渡りの剣がちゃんと機能してくれたことに安堵しながら言うのだ。「早く入ってくれ!俺が殿を務める!」 と言うか、多分ヴィクトが入ったらこの裂け目が閉じてしまう。そして、全員がいそいそと次元の裂け目に落ちて言ったのを確認してヴィクトも中へ飛び込んだ。 アザカの魂である宝石を握りしめて。--------------------------------------------------------------- ———聖ユリア王国・王都の外。 「よっと」 次元の裂け目から放り出されるように脱出し、着地をする。ヴィクトが着地したのを見て、銃姫が人数を数えた。「うんうん、全員居るね」 そんな銃姫の安心顔に気を緩ませていると、レインブラが辺りをきょろきょろと見回す。「此処は……どこでしょうか?」 それに釣られてみれば、そこは一面の草原。真緑の草原だ。すると、クロムが周囲を見回して「ふむ」と言った後口を開いた。「此処は王都から少し歩いた
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-20
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第86話 「一番の大親友様」

 アザカが目覚めて。色々を話そうとするヴィクトの頭をはたいたのは双鹿だった。「まだ安心するには早いわ」「意識がちゃんと体に帰るか確認してから喜びなさぁい。こんなこと前例がないんだから、ちゃんとログアウトできるまで気を抜けないわぁ」 そんな双鹿とリザの促しにより、とりあえず、一旦全員ログアウトすることになるのだった。--------------------------------------------------------------- ———薊と皇のアパート。 「っ……!」 AWMからログアウトした皇はガバッ、とベッドの上から起き上がった。起き上がって、即座に電話をかけるためにリムレットを立ち上げようとした瞬間だった。リムレットが着信する。相手は、紅華が紹介してくれた病院。 皇は呼吸が止まりそうな思いになりながら、震える手で応答ボタンを押した。「もしもし」『皇さんの電話であっていますか?私、八東病院のものになります。緊急のご連絡です』「はい」 心臓が、口から出そうだった。この一瞬の間が何秒、何十秒にも、何百秒にも引き延ばされるような感覚。頼む、無事であってくれ。無事で。『……甲斐堂薊さんがお目覚めになりました』--------------------------------------------------------------- 気づいたら走っていた。リムレットをいつ切ったかなんて覚えていない。気づいたら鞄を持って走っていた。駅まで走って、もう終電を終えていることに気づく。 それに気づいて、皇は金額なんて気にせずにタクシーに乗り込んだ。 この時間に病院へ向かっているという事実にタクシー運転手の人もなかなか速度を出してくれていて。 皇は、タクシーの中でそわそわとしながら思い出す。女性陣に連絡していないことに。そして、リムレットでグループメッセージに『薊が
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-21
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第87話 「帰ってきた現実」

 そんな会話をしていると、薊の病室のドアがノックされた。薊が軽快に返事をすれば、スライドドアが開いた。そこには、愛鹿たちが立っていて。 愛鹿も姫沙羅も瑠奈も起きている薊を見て、どこかホッとした表情を浮かべて病室に入っていく。 唯一、初対面の悠理だけがドアの後ろにちょこんと隠れていた。勢いで来たのだろう。でも、初対面故にどう接したらいいか分からない。うん、可愛い。 そして、薊と女性陣が話してるのを横目に、悠理に声をかけるために席を立つ。「悠理」「兄さま……感動の再会に私水差してないでしょうか?」 そう眉を下げる悠理に皇は苦笑する。「大丈夫だよ。悠理も薊を助けたんだ。ドヤ顔して、〝貴方を助けましたけど?〟って態度で何食わぬ顔で立ってればいいんだよ」「私、そんな厚顔ではありませんよ」 でも、そんな皇との会話に踏ん切りがついたのか、悠理も病室に一歩足を踏み入れて。「お」 薊が気づく。じゃあ、あとは皇が潤滑油になるだけだ。「俺の義理の妹で、薊を助ける時死ぬほど頑張ってくれたうちの1人だ」 そう皇が言えば、悠理はぺこりと頭を下げた。「遊城……の姓は捨てたので、悠理とお呼びください。兄さまのお友達さんなんですよね?」 そんな悠理の笑みに、薊ははっと笑った。「ああ、一番の大親友の甲斐堂薊だ。こいつの妹っつーことは……俺の妹とも同義だなァ」「同義じゃねーよ、調子に乗るな」 お兄ちゃんポジションは渡しません!そんなことを思いながらツッコんだ。「いや、悠理はなんていうかみんなの妹だから……」 姫沙羅の言葉にびっくりする。え、その共通認識いつ生まれたの?「そうね、義妹さんももう遊城の姓を捨てたのなら……全員の妹と言っても過言ではないわね」 過言だよッ!「悠理、私のことは気軽にお姉さまと
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-22
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第88話 「なんでもない日常」

 薊の退院は思ったよりすんなりと通った。3日間ぐらいは検査漬けだったようだが、目覚めて半日後には「腹減った」と言っていたらしく、目覚めて翌日の夕飯からは普通に固形食を食べていたとか何とか。 検査をしても異常は見つからず、そんな健康優良児を病院も長く置いておく気はなかったのだろう。目覚めて1週間ぐらいで解放された。 これは薊から後から聞いた話だが、紅華も薊の元を訪れたらしい。薊曰く、〝なんかこまごまと聞かれたぜ?〟とのこと。 まあ、そんなこんなのようやく帰ってきた日常だった。---------------------------------------------------------------「クソ……なんで、俺が作るのよりふわふわして美味いんだ……」 皇は薊の作ったふわじゅわのだし巻き卵に舌鼓を打っていた。口に乗せればふわっとし、噛めばお出汁がじゅわじゅわ出てくる。薊の残したレシピに従って皇も作ったがこうはならなかった。一体、何が違うんだと首をかしげてしまう。「はっ、それをレシピ見ただけでマスターされたら俺みたいな料理人はいらねェんだよ」 そう、みそ汁を啜る薊が笑う。それはそうなんだが、悔しいものはある。「でよォ、てめぇは今日はどんな感じだ?」「んー、今日は愛鹿のところでバイトだけだな。薊はこの時間にいるっつーことはオープンじゃない……夜勤務か?」「いや、今日は昼だけで短めだな。店長が、目覚めたばかりだからって気ィ使ってくれたんだよ」「あー、いい人だ」 そう言いながら、白飯を食べる。そして、咀嚼して飲み込んで言うのだ。「じゃあ、帰り嬉嬉軒に集合しようぜ。薊にも食べて貰いてーんだよ、姫沙羅の親父さんが作る料理。ほんと美味くて」「それは俺の料理とどっちがうめェんだよ」「妬くなよ。俺は薊と一緒に食いてえの」 そんな会話をしていれば、薊は一足先に朝食を食べ終えて、食器を下げる。「俺出るまで時間ある
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-23
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第89話 「1通のメール」

 それはその日の朝、皇のリムレットに届いていた。受信時間は、午前05時頃。 ……と言っても、正確には皇のリムレットに届いていたわけではない。デメテールからメールが転送されていたのだ。つまりは、メールの差出人は皇ではなく、ヴィクトに用がある。 そして、そのメールの差出人は……七界院《しちかいいん》 秋峰《あきみね》、オルドデウス社の社長の名前だった。 メールを開けば、なんか季節の挨拶とかこまごま礼儀正しく書いてあったが……中身を要約するとこんな感じだった。〝君の集めてきた6つの神器の欠片を12億で買い取らせてほしい。その為の要望のすり合わせをしたいので、AWM内オルドデウス社専用ワールドで話し合いをしたい〟 とのこと。指定された日付は5日後。 そして、同時に皇は思った。(多分、此処を逃したら……オルドデウス社の社長、いや、ゲームマスターに接触することなんてできない) 薊には即座に報告だけした。でも、もう止めなかった。 それは皇の覚悟を受け止めたから。--------------------------------------------------------------- ———翌日・嬉嬉軒。  翌日、その日は嬉嬉軒が定休日だった。なので、その場を借りた。そこにはいつも通りのメンバー……に、加えて。紅華とクロムも居た。皇が呼び出したのだ。 各々自由に座りながら、皇の話を聞いてくれる構えだ。そして、皇は切り出した。七界院 秋峰から届いたメールの話を。 一番最初に声をあげたのは紅華だった。「……罠ね。オルドデウス社の自社ワールドなんてなにが仕込まれているか分からない」 紅華の鋭い眼光が皇を見る。言わんとしていることは分かる。クロムを操っていた会社だ。どんな非人道的な行為に出てくるか分かっ
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-09-24
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