ライブから数か月後。『魔法のシャーベット』は、以前よりも多くの人に愛されるユニットへと成長していた。それでも――。朝になれば、琴子と真帆子は白衣に袖を通す。「おはようございます。」「おはよう!」患者を迎え、歯を守り、笑顔を支える。何も変わらない日常。でも、その日常は以前より少しだけ輝いて見えた。診療を終えた夕方。四人は、いつものスタジオへ集まる。玲司が新しいライブ企画書をテーブルへ置いた。「次は全国配信ライブだ。」雅臣が笑う。「夢は一つ叶えたら終わりじゃない。」「また次の夢が始まる。」琴子と真帆子は顔を見合わせて笑った。「忙しくなるね。」「うん。でも……。」「すごく楽しみ!」その時だった。スタジオのチャイムが鳴る。届いたのは、一通の手紙。差出人には、名前ではなく一言だけ書かれていた。『あなたたちに勇気をもらった者より』琴子が封を開く。そこには丁寧な文字が並んでいた。『四十五歳です。』『もう遅いと諦めていた保育士の勉強を始めました。』『ライブを見て、「挑戦するのに遅すぎることはない」と思えました。』『ありがとう。』真帆子は次の手紙を開く。『六十二歳です。』『退職してからピアノを始めました。』『夢を持つことを思い出させてくれてありがとう。』さらにもう一通。『看護学校に挑戦します。』『あなたたちの歌が、私の背中を押してくれました。』静かな部屋に、涙をこらえる音だけが響く。真帆子がそっと微笑んだ。「私たち……。」「ちゃんと届けられたんだね。」玲司は優しく頷く。「夢は、誰かへ受け継がれていく。」雅臣も笑った。「だから夢には価値がある。」琴子は窓の外を見上げた。あの日。歌うことが怖かった自分。夢を追うことに迷っていた自分。全部、無駄じゃなかった。真帆子が琴子へ手を差し出す。「これからも一緒に歌おう。」琴子はその手を握り返した。「もちろん。」玲司は琴子の隣へ歩み寄る。「これから先も。」「仕事も。」「夢も。」「君の隣で支えていく。」琴子は照れくさそうに笑う。「よろしくお願いします。」その様子を見て、雅臣が真帆子の肩を軽く叩いた。「俺たちも負けてられないな。」「真帆子。」「これから先も、ずっと一緒に夢を追いかけよう。」真帆子は満面の笑みで頷いた。「は
Last Updated : 2026-07-30 Read more