「知英ちゃん、顔真っ赤だよ」「翼さんのせいだから//」「これでも我慢してるのに」すると桐生が私を優しく抱き締めた。「知英ちゃんは僕が守るよ」「ありがとう」こんなにも、誰かに愛されたことは初めてだ。桐生は私に初めてを沢山くれる。桐生と出会わなければ、あの日、私はどうしていただろう。信じていた人に裏切られた日、私は雨に打たれながら、生きる気力さえ失っていた。私は親の顔を知らずに育った。物心がついた頃には、既に施設で暮らしていた。だから、幸せな花嫁になることが小さい頃からの私の夢だった。私は幸せな家族を作りたかった。だけど、その夢は脆くも崩れ去った。恋人になった以上、桐生に私の生い立ちを話さなければならない。桐生のような立派な家柄の人と、私が釣り合うとは思っていない。それでも桐生が私を受け入れてくれるのなら、私はもう一度、人を信じられる気がする。「あのね、翼さんに話さないといけないことがあって……」「なに?」「私、両親の顔知らないんだ。施設で育ったから」「うん」桐生の反応が予想と違った。私の話を聞いても全く驚く様子がなかった。 「知ってた」 「え……?」「ごめん。知英ちゃんのこと調べた」「どうして?」「僕には敵が多いんだ。好きになった人でも、僕の敵じゃないか調べないと近づけない。そういう世界で生きてるんだ」「それでどうだった?」「知英ちゃんは素敵な女性だってことが分かった」桐生は私に微笑んだ。どうして、桐生はいつも私が欲しい言葉をくれるのだろう。不覚にも涙がにじんでしまった。「知英ちゃん、泣かないで」「翼さんが泣かせるから」桐生は私が流した涙を優しく指で拭った。こんな風に優しくされたら、私は桐生から離れられなくなってしまう。「僕は知英ちゃんだからいいんだ。これまで大変なことも沢山あったと思う。でも、これからは幸せなことしか起きないから。だから僕と一緒に居てほしい」桐生が私をまっすぐ見つめた。運命があるとするならば、それは桐生との出会いだったのかもしれない。「ありがとう。私、翼さんに釣り合う女性になれるように頑張るから」「今でも十分、素敵なのに?」「翼さんがすごく格好いいから/」「ん?なに?」「聞こえてたでしょ/」「ううん。だからもう一回言って?」桐生はずるい。そんな顔されたら断れない。私は恥ずかし
Última actualización : 2026-08-07 Leer más