「ねぇ、分二……?」「……もうダメだ。これ以上は言えん。來は知りたいかもしれんが、もう話せん」「どうして……無理しなくていいよ。だったら、また今度でも」「今度も、その次も……言えん!!」 分二の声が、弾かれたように荒くなる。「……そう。じゃあ……二人が別れたこととか、そこには触れないよ。そこまで声を荒げられたら」 來が少しだけ距離を取ろうとする気配に、分二は慌てたように首を横に振り、來の手を強く握った。「違う、來。そうじゃない。……仕事で無理してたのも、過酷なことを続けてたのも、お金のためだけじゃなかった。俺たちを……仲を引き裂くためだった。 也夜が同性愛者だってこと、同性と付き合ってるってこと……それが外に漏れないようにって、事務所が」「……」 酷い……その言葉は喉の奥にまで出かかったのに、來は結局飲み込んだ。 自分も同じ偏見を向けられてきた。あの痛みを知っているからこそ、簡単に「酷い」と切り捨てられなかった。「今の事務所社長が也夜のことを知って……前の事務所から逃してくれた。 だけど、その条件は……僕が也夜から離れることだった」「……」 來の胸に、冷たいものが落ちた。 あの社長が二人を引き裂いた……信じがたい。 自分と也夜の関係は、同性愛者同士でも受け入れ、むしろ守ってくれたはずなのに。「僕は……それが也夜のためになるならって、離れた。同性愛だからって理由じゃないって言われたし……社長は海外でモデルの勉強をさせるって。 也夜は戸惑ってたけど……結局、決意して……」 分二の声は、どこか上ずっていて、呼吸まで乱れているのがわかった。「そしたら、彼はもう……すっかり立派なモデルになって。社長の腕もあるんだろうけど……也夜は自分の殻を破って、アイドルだった頃とは別人みたいに……」「それから、会ったの?」 來が問うと、分二は電流でも走ったように体を震わせ、言葉を飲み込んだ。「無理なら、もう言わなくていいよ」「……ううん。もう言う。言わなきゃ……」「分二……」 分二は來に身を寄せるようにして続けた。「会わずに……見守ろうと思った。もっと稼いで、彼の活動を支えようって……匿名でファンになって、ずっと支援してた。……まぁ、事務所にはすぐバレたけどね」「……僕らが付き合ったことを知った時は?」「……そうか、そうなのかっ
最後更新 : 2026-08-12 閱讀更多