学校のホールは人で埋め尽くされていた。全員の視線が、私・周防結衣(すおう ゆい)に向けられた嫌悪と蔑みで冷え切っている。誰かがひそひそと言った。「よく卒業式に顔出せるよね。私なら恥ずかしくて死んでるわ」「本当に。親の金に物を言わせてやりたい放題ってわけか……」罵声が耳に入り、言葉に含まれる軽蔑が、今にも私を押しつぶしそうだった。新井奈央(あらい なお)の学術研究を私が盗用したという噂が広まると、みんなの見る目は一変した。誰も疑おうとしなかった。奈央はずっと彼らにとって、才女という位置づけだったから。それに彼女は人当たりも良かった。一方、私は金持ちという身分を盾に、奈央を目の敵にして盗作まで働いたクズ扱いだ。それもこれも、彼氏の瀬尾陽介(せお ようすけ)にとって、奈央が忘れられない初恋の人だからだ。突き刺さるような非難を浴びながら、私はポケットの中のUSBメモリーを強く握りしめた。言い返そうとした矢先、陽介と奈央が二人で近寄ってきた。奈央が周りに向かって微笑みかける。「ねえ、周防さんも一時の気の迷いだっただけよ。同級生なんだし、もう責めるのはやめてあげて?」庇うふりをして、私を犯人に仕立て上げるなんて、本当にしたたかな女だ。陽介が奈央を心底心配そうに見つめ、吐き捨てた。「奈央は優しいな。結衣、これはれっきとした犯罪だぞ!泥棒に弁明の余地なんてない」陽介の冷たい言葉に、胸がえぐられるように痛んだ。私の傷ついた表情を見て、陽介が眉をひそめて吐き捨てた。「おい結衣、その気持ち悪い目で見るなよ。さも俺がお前を傷つけたかのような顔しやがって。裏切ったのは俺じゃなくて、お前だ。お前が奈央を裏切ったんだ!付き合いが長いのに、そんな化けの皮を被っていたなんて知らなかった」その言葉が、追い打ちをかけるように胸を貫く。周囲の野次なら無視できる。でも陽介に言われると、心がどうしても割り切れない。私たちは幼馴染で、長い時間を一緒に過ごしてきた。お互いを知り尽くしていたはずじゃないの?これ以上彼らの顔も見たくなくて、踵を返そうとした。でも私が振り向くより先に、陽介が大きな声で呼び止めた。「結衣。舞台に上がって奈央に今すぐ謝罪しろ。さもなくば……」呆れ果てて見ていた先に、奈央の腰に手を回している陽介の姿が
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