先ほど広間へ乗り込んできたときの、勝ち誇った態度も自信満々な様子も、もう莉乃には残っていなかった。子どもは取り上げられ、自分はもう必要ない。御堂家が言いたいのは、そういうことではないのか。このときになって初めて、莉乃は周囲から向けられる軽蔑と嘲笑の視線に気づいた。あれほど策を巡らせたのに、結局すべてが無駄に終わった。御堂家の弱みを握ったつもりでいたが、実際には、そんなものは御堂家にとって何の痛手にもならなかったのだ。宗一郎は莉乃をじっと見つめた。深い皺に埋もれた目には、冷え切った怒りが宿っていた。昼間、莉乃が誕生日会を台無しにした時点で、宗一郎はろくな女ではないと見抜いていた。そこで会社の古参に連絡を取り、御堂テクノロジーが倒産した本当の理由を調べさせたのだ。技術革新の波に乗り遅れ、競争に敗れたわけではない。会社を潰したのは、莉乃という欲深く愚かな女だった。愚かな女一人が、どれほど大きな災いをもたらすか。宗一郎は、そのことをよく理解していた。彼は歴史物を好み、女に溺れた権力者が身を滅ぼし、国や家まで傾けた話をいくつも知っていた。宗一郎が本気で激怒したのも、それが理由だった。莉乃は御堂家の基盤にまで手をかけたのだ。「お前は御堂家の人間ではない。ゆえに、わしがお前の親に代わってしつけ直す筋合いもない。だが、お前が卑劣で品性に欠け、怜央のそばに置けば災いしか招かん女だということは、よく分かった。今回のような破廉恥な真似も、これが初めてではあるまい。今後も人には言えぬような手を使い、男を思いどおりに操るつもりなのだろう。怜央に少しでも分別が残っているなら、お前のような女は二度と近づけぬよう、遠ざけるべきだ」宗一郎は怜央へ視線を移した。「怜央、ここで答えろ。この恥知らずで卑劣な女を、完全に切り捨てる覚悟はあるのか。海外へ追いやるだけでは足りん。二度とお前の前に姿を現させぬと、今ここでわしに誓え」宗一郎の言葉には、交渉の余地など一切なかった。怜央にも分かっていた。莉乃がこんな真似をするまで増長したのは、自分が甘やかし続けたからだ。どれほど救いようのないことをしても、どれほど大きな問題を起こしても、怜央は一度も本気で責めなかった。だからこそ莉乃は、御堂家にまで乗り込んで騒ぐほど大胆
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