莉乃は全身を震わせ、目に涙をためていた。これほど見下されたことなど、一度もない。ほどなく、莉乃は窃盗の疑いで逮捕された。警察車両に連れていかれる間も、半狂乱になって叫び続けた。「怜央くん、刑務所なんて嫌!行きたくない!私を捨てないで。18年前、私はあなたを見捨てなかった。だから、あなたも私を捨てないで!御堂怜央、あなたに出会ったことを後悔してる!大嫌い!……怜央くん、愛してるの。私とこの子を裏切らないで!」ようやく騒ぎは終わった。食事をする気にもなれず、紗和はそのまま帰宅することにした。ところが、車が走り出してしばらくすると、運転手が1台の車に尾行されていると告げた。確認するまでもなく、怜央だと分かった。相手にする気はなかった。だが、今はまだ九条征臣との関係を知られるわけにはいかない。紗和はトンネル内の待避所に車を止めさせた。怜央もすぐ後ろに車を止めた。紗和は追い払うために止まっただけだったが、怜央には自分を待ってくれたように見えた。怜央はぱっと顔を輝かせて近づき、思わず抱きしめようとした。紗和は素早く身をかわした。顔には、はっきりと警戒の色が浮かんでいた。「どうして私の車をつけてくるの?もう帰って」氷のように冷たい言葉を浴び、怜央は戸惑った。先ほどの式典で起きた騒ぎ、とりわけ莉乃が自分の子どもを妊娠したと明かしたことに腹を立てているのだろうと思った。怜央は慌てて説明した。「紗和、俺は自分から裏切ったわけじゃない。あいつに嵌められたんだ。絵里香に自殺すると嘘を伝えさせ、駆けつけた俺に薬を盛った。思い返せば、その前も同じだった。莉乃は、俺がお前と結婚したせいで重いうつ病になり、死ぬつもりだと言った。海外まで会いに行ったら、ブランデーを2杯飲んだあと……薬を盛られたんだ」それが真実かどうか、紗和には分からなかった。だが、もはや確かめる気もなかった。薬を盛られたにせよ、自分から望んだにせよ、莉乃のもとへ出向いたのは怜央自身だった。一度目は自ら海外へ飛び、莉乃の看病をした。二度目も、大怪我をしていたのに病院を抜け出し、莉乃のいるホテルへ向かった。結局、不貞を働き、身体まで裏切った事実は変わらない。しかも、その結果として二人の子どもまでできた。今さら何を弁明したいのか、
Read more