征臣とビデオ通話をつないでいたボディーガードは、申し訳なさそうに報告した。紗和が裏口か職員用の出入口から外へ出たか、来院したときと同じように車で帰ったものと思い込んでいたのだ。だが家政婦からは、まだ帰宅していないと連絡が入り、心当たりのある場所を探しても姿はなかった。紗和が病院の中から忽然と姿を消した――そう気づいたボディーガードたちは、全フロアをくまなく捜索し、ただちに征臣へ連絡した。征臣の表情は、ボディーガードたちがこれまで見たこともないほど険しかった。すぐにハッカーへ指示を出し、放射線科周辺の防犯カメラ映像を集めさせた。最後に紗和の姿が確認できたのは、近くの更衣スペースだった。その後、エレベーターにも階段にも姿は映っていない。征臣の指がゆっくりと握り込まれ、拳に力がこもった。「誰の仕業だ。紗和の携帯の電波が最後に途切れた場所は特定できたのか」「い、今調べています!」部下は怯えた様子で、恐る恐る答えた。「紗和に何もないことを祈っていろ。もしものことがあれば、お前たちの家族もただでは済まない」凍りつくような視線を向けられ、一同は顔を青ざめさせながら何度も頷いた。そこへ勲が入ってきた。「会長、プライベートジェットの手配が整いました。船もまもなく接岸できます。到着しだい空港へお送りし、すぐに望月さんのもとへお戻りいただけます」征臣は頷いた。一刻も早く戻らなければならない。「船長に、可能なかぎり急いで引き返すよう伝えろ。こちらの件が片づきしだい、俺も船で会議へ向かう」「承知しました」勲はただちに手配に取りかかった。……その頃、郊外の寂れた自動車修理工場では、紗和が朦朧とした意識の中で目を覚ましていた。両手両足を縛られ、口にはテープを貼られている。頭はひどく痛み、意識を失う前に何か薬品を嗅がされたことを思い出した。周囲に人影はない。拉致されたのだ。意識を失う直前の光景が、脳裏によみがえる。放射線科を出たところで突然背後から羽交い締めにされ、薬品の臭いが染みついた布で口と鼻を塞がれた。相手はかなり力の強い男だった。そのまま近くの車へ引きずり込まれ、しばらく押さえつけられたあと、意識が途切れた。紗和は手首の縄をほどこうとしたが、きつく縛られていてびくともしない。あたりを見回すと、床
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