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第101話  光の街へ

崩れ落ちる廃工場を背に、夜気の冷たさをまといながら、美佳たちは走り抜けた。 出口を飛び出した瞬間、胸を満たしたのは、鉄と埃の匂いではなく──澄み切った空気だった。 振り返れば、工場の屋根が大きく崩れ落ち、土煙が立ち上っている。 それでも不思議と恐怖はなかった。 まるで建物自身が「役目を終えた」と告げて、眠りについたかのように思えた。「……終わったのかな」 ユリが肩で息をしながら呟く。 美佳は答えず、都市の方へ視線を向けた。 そこには、見慣れたはずの藍都学園都市が広がっていた。 けれど、いつもの夜景とは違っていた。 街路樹に沿って小さな光が帯のように流れ、ビル群の窓が一斉に明滅し、遠くまで続く光の網が都市全体を覆っていた。 まるで都市そのものが呼吸をしているように、柔らかな明滅を繰り返している。「これ……LAPISが……?」 玲が言葉を飲み込む。 東郷は無言で夜景を見つめていた。彼の瞳に映る光は、どこか感慨深げで、そして寂しげだった。「俺たちが選んだ答えを……都市が受け取ったんだろうな」 純の低い声が響く。 美佳は胸元に触れる。 彩音から託された鍵が、まだ温もりを残していた。──ほんとうに、これでよかったのかな。 わたしたちの選択は、誰かを傷つけることはなかった? 問いが胸の中に浮かんでくる。 だが、同時に胸の奥で小さな確信も芽生えていた。 誰かが問いを投げかけ、誰かが答える。 その繰り返しが未来を形づくるのだと。「……行こう」
last updateLast Updated : 2026-08-24
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