All Chapters of 料理の時間~Cooking Showdown Begins!~: Chapter 21 - Chapter 30

57 Chapters

第20話「STAY GREEN ~未熟な旅はとまらない~」

さあ、影光&フレイヤと影時のチーズ料理対決、両者最後の一手である。影光はチーズドリア、そして影時はやはりチーズタッカルビ。フレイヤがちぎったパセリをパラパラと乗せ、影時が細かく切った大葉と刻み海苔を乗せ…両者、料理完成である!さあ、審査員実食!――――――――――まずは影光のチーズドリア、命名して『白銀の海』から、審査員たちが食べ始める。審査員A曰く:「…うん!美味い!その一言だ!下層のバターライス、中層の海老と帆立のホワイトソース、上層のチーズが見事な調和を醸し出している!それぞれが主張しすぎず、しかし存在感をしっかりと示し、味を作り出しているのだ!見事というしかない!」審査員B曰く:「うほー!スプーンを入れるとチーズとソースがトロリ!そして各層だけでも美味いのに、合わさったこの味はたまらん美味さだ!チーズ、海鮮ソース、そしてライス!まさに白銀の三角形!私は今、白く輝く砂浜と熱く迎えてくれる海を感じている!」審査員C曰く:「ふふふ、かつて高級料亭に勤めていた私だが実はドリアが大好物でね。そしてこのドリア…これは美味い!濃厚かつ芳醇、この味わい深いバランス…見事と言うしかない!ぜひあとで作り方を確認させてくれたまえ!」審査員D曰く:「ラーメンじゃないので0点」審査員たちの反応は上々だ。影光もグッと手を握るが…すぐに気を取り直す。相手は影時。問題行動はあるにせよかなりの腕の持ち主だ。さて、その影時の料理…影時流チーズタッカルビ、命名して『The "OVERDRIVE"』。どうも影時はこの手の命名方法らしい。…とにかく、審査員実食!審査員A曰く:「う、うわっ!熱い!辛い!だが美味い!先ほどの『白銀の海』と違い鶏肉、タレ、チーズがそれぞれ主張しすぎて喧嘩している!だがそれが旨味をより高みまで持っていっているのだ
last updateLast Updated : 2026-07-21
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第21話「DEVI」

さてさて、新体制で経営をスタートさせた『町食堂 かがやき』。役割分担も決まり、リリス復帰まで五人でやっていこうと励んでいたのであるが、うっかり繁盛してしまったせいか、また厄介な客が訪れたのである。…いや、地上げ屋のおじさんじゃなくて。――――――――――「ちょっとこの料金はおかしくない?この麻婆豆腐定食、なんで800円も取るの?原価でいえば200円もしないでしょうが」昼の忙しい時間帯、テーブル席の方からそんな声が聞こえてくる。影光とフレイヤがそちらを覗いてみると、どうやら中年のおじさんが影羅に文句をつけているようだ。内容から察するに、材料費に比べて値段が高い…そんなところだろうか。同じく様子を見ていた丸坊主の影時が呆れたように呟く。「ああ~原価厨ですねありゃ。初めて見ましたよ、いるんだ本当に」原価厨…俗な言い方ではあるが、簡単に言えば料理やサービスの値段に対して材料費や仕入れ値だけを見て『値段が高すぎる』という人たちである。もちろん料理の値段には材料費以外にも人件費や設備費に光熱費、その他もろもろの諸経費に利益を含めての値段なのだ。あのリリスがそこまで考えて値段設定をしたかはちょっと怪しいが、その主張は的外れにもかかわらずこの手の人間は独善的な考えで動くものである。やれやれといった一同だが、その中でサイラスだけは含み笑いをしてそれを見ていた。「これは面白い。この世界であんなことを言い出すとは。さてはあのおじさん、別世界から異世界転生でもしてきたな?…どれ、ここは大人に任せておきなさい」――――――――――さて、影羅に文句をつけ続けているおじさんだが…サイラスが近寄ると今度は彼に文句をつけ始めた。やれ値段が高すぎるだのボッタクリだの、その割に建物がボロいだの。一通り文句を聞き終わった後、サイラスは腕組みをして静かに笑いながら彼に言う。「建物がボロいのは否定しない。だがそれ以外の発言は見過ごすには余りある。…では私と君で勝負をしよう。料理勝負だ」「は、はあ!?なんでそうなるんだよ!?俺はただ値段
last updateLast Updated : 2026-07-22
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第22話「血と汗と涙の裏側のハッピー」

さあサイラスと原価厨おじさんの料理対決も終盤、あとは握るだけである。丁寧に悪魔のおにぎりを握るサイラスに対し、分量も考えず、大量のイクラと雑に切ったマツタケを混ぜ合わせて握る原価厨おじさん。もう勝負は見えたようなものではあるが、両者最後の瞬間まで料理を作っている。その中で影光は、一つの疑問を持っていた。「サイラスさん、なんで豆板醤一気食いなんて敗北条件を突きつけたんだろう?」そう、影光にはそこが疑問だったのだ。サイラスとは一度戦ったことがあるからわかるが、技術では影光やフレイヤを圧倒的に凌駕していた。勝てたのが不思議なくらい…というか、サイラスが意図的に負けたとしか思えない勝負だった。彼ほどの人間ならば相手の力量を見抜くことなど造作もないだろうし、多少のことならば笑って済ませそうな優しい人間だ。なんせ無給で『町食堂 かがやき』を手伝っているわけだし。それほどの人間がなぜ豆板醤一気食いを提案したのか、やはりお坊ちゃまである影光には理解できなかったのだ。「やっぱ原価厨が気に入らなかったんじゃない?料理人の腕なんて無価値って言ってるようなものだから」「単純に性格悪いだけじゃないっすか?そーゆー顔じゃないっすかあの人」などとフレイヤや影時は言うが…影光には、その裏に何か隠された意図があるような気がしてならなかったのである。――――――――――さあ、両者の料理が完成する。サイラスの『Onigiri des Teufels』。対するは原価厨おじさんの『会社で横領した俺が異世界転生して超豪華おにぎり作っちゃいました』。(最悪)まずはサイラス側から…審査員、実食開始!審査員A曰く:「おおおっ!美味い!天かすの歯応えが活きてめんつゆの旨味とマッチしている!さらに白ごまの風味が…うう~む、香る!これほど濃厚な旨味なのに後味がサッパリしているのだ!
last updateLast Updated : 2026-07-23
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第23話「LOVE TRACE」

――さて、病院へのお見舞い、その帰り道。サイラスの愛車である真紅の『クラウン クロスオーバー』にて町食堂に戻っている影光とサイラス。午後四時を回っているものの、まだ夏のため外は暑い。いや、むしろ熱い。冷房がガンガンに効いている車の中でなければ正直耐えられない暑さだ。(フレイヤさん、病院に泊まるのはともかくこの暑さで明日帰って来るの大変じゃないかなあ)などと影光が考えていた時だった。「影光、さっきの話の続きだが…。ほら、なぜ私が豆板醤一気食いを条件にしたか、という話だ」赤信号で車を止めた際、サイラスがふと思い出したかのように影光に告げる。そう、あの時サイラスは何かを言いかけて、途中で言葉を遮った。二度と来てほしくない、それ以外には何の理由があったのかと影光が尋ねるが…。サイラスは前を見ながらこう言った。「やつ…オーディンが言ったことを覚えているか?技術、材料、想い…それはすべて人間の領域。魔餉気の前では通用しない…と」「ええ…覚えています。確かにあいつはそんなことを言ってました」「私は、あの原価厨が言っていたことはそれに通じるのではないかと思った。原材料費のみで料理を判断するのは、料理人の存在を無に等しいものとして扱うことになる。いや料理人だけではない。市場の人間や運送業、農家や畜産家、他にも中間に介在する無数の人間の努力や想いを無視しているのではないか。そう思ったら自分でも珍しく腹が立ってしまってな」信号が変わり、サイラスは車を進める。影光が思うに、サイラスの言うことは正しい。彼は原価厨のおじさんに対してではなく、その思想に含まれていたオーディンの影に怒りを感じたのだろう。―だがそれ以外に、もう一つ何かがあるような気がした。おそらくサイラスは、オーディンに敗れ味覚を失ったリリスを思い出し、オーディンの影にさえ怒りを感じたのではないだろうか。まあ二人がどういう関係なのかは知らないし、どう思っているのかは知らないが
last updateLast Updated : 2026-07-24
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第24話「SWEETEST[a]SLEEPER」

さて次の日。リリスが味覚を取り戻し始めている、という報告を聞いたサイラスが、朝のうちに病院に向かった。フレイヤの迎えも兼ねて容態を確認しに行く…と嬉しそうに告げて。そんなわけで今『町食堂 かがやき』では影光、影羅の二人が開店の準備を進めている。TVから流れている『料理法違反で逮捕された男』を見て、これ昨日の原価厨のおじさんじゃない?と談笑しながら。ちなみに影時は今日は…いや今日も寝坊。まあいつものことである。リリスの入院後、現在『町食堂 かがやき』に寝泊まりしている者はいない。影光、影羅、影時、サイラスは花宮町に滞在するようになってから、近隣のビジネスホテルを長期で借りて生活している。フレイヤも十六歳の女の子を一人暮らしさせるのは危険ということで、同じビジネスホテル暮らしだ。まあ、不審者が現れても『料理勝負だ!』と叫べば観客たちが湧いてくるのだが。そして費用は、影光や影羅の実家である闇食倶楽部が全員分(影時を除く)を出している。ともにオーディンおよびG.O.D.に戦いを挑む同志だということで、気前よく出してくれたらしい。影時?影時は自分の給料からである。――――――――――「Ms.リリスとMr.サイラス。どういう関係かは知らないし詮索もしないけど、こんな朝早くから会いに行くなんてずいぶんと情熱的ね。なんだか羨ましいわねえ」二人の間柄がほほえましいのか、影羅は少し楽しそうだ。影光としてはあまり姉の交際遍歴は知らないし立ち入ることもないが、結婚願望はあるようで時折『どっかにいい男いないかしら』とぼやいている。姉はそもそも闇食倶楽部を継ぐつもりはないと明言しているし、内部の人間とそういう関係になるつもりも一切ないようだ。影時でよっぽど懲りたらしい。父の暗黒食王や弟の影光あたりは『影真あたりどうか』と勧めたりしたことはあるものの、姉は『影真とか絶対あり得ない』と断固拒否する有様である。ちなみに後日それを聞いた影真はちょっとショボーンとしていた。自分の知らな
last updateLast Updated : 2026-07-25
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第25話「在中国的戦闘」

さあ、チーム戦第一試合、闇食倶楽部側の選手影光が前に立つ。テーマは『スープ』だ。対戦相手はアジア系老人男性…その名を『チョンチー(窮奇)』というらしい。彼は影光の顔を見てニタリと笑うと、妙に甲高い声で挑発をしてくる。「ヒョヒョヒョ、若いネ~ボウヤ。若いヨ。『初生之犢不畏虎』  …後悔するがいいネ」どうやらチョンチーは中国文化に通じた老人のようだ。彼が言ったのはこういう意味である。『生まれたばかりの仔牛は虎を恐れない。すなわち、経験の浅い者ほど怖さを知らずに無鉄砲なことをする』中国といえば料理大国、油断することはできない。ましてや相手はG.O.D.の幹部衆『甘味三魔人』の一人なのだ。しかし、影光も負けずに言い返す。「中国のことわざですか?僕もいくつか知っていますよ。返しにピッタリな言葉はこれですね。『燕雀安くんぞ鴻鵠の志を知らんや』」『小さな鳥に大空を羽ばたく大鳥の志はわからない。すなわち、小人物に己の心など計り知れるものではない』という意味である。それを聞いたチョンチー、ヒョッヒョッヒョ!と大笑いする。どうやらやる気になったようだ。「面白いネ、ボウヤ。夜郎自大の木偶じゃないことを願うヨ!」さあ、両者は己の調理場に戻る。そして…調理タイム開始!!――――――――――――さあ影光とチョンチー、まずは鍋に湯を沸かす。そしてチョンチーは部下に指示して何かを持って来させている。おそらく持ち込みの材料でスープを作ろうというのだろう。甘味三魔人ほどの相手なら、この対決に向けて食材を用意していてもおかしくない。いやむしろ用意してない方がおかしい。何を作るのかはわからないが、おそらく最高の材料でスープを作るのだろう。だが、それは影光も同じ
last updateLast Updated : 2026-07-26
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第26話「鳥児在天空飛翔 魚児在河里游泳」

さあ影光とチョンチー、二人の料理を審査員が眺める。まずはチョンチーの料理…『絶佳紅豆湯』を手に取る。特に明確な理由がない場合、先に出された方から食べるのがルールだからだ。…しかしチョンチーはそれを確認した瞬間、心中で勝ちを確信した。何はともあれ…審査員、実食!審査員A曰く:「はううっ!甘い!甘いっ!しかしなんて上品な甘さだ!さらりとした紅豆湯が舌を優しく素晴らしき甘味で包む!そこに香るは陳皮と桂花!さらにココナッツミルクがもう一段味と香りを押し上げている!こ、これはまさに最上級…絶佳の甘味スープだ!」審査員B曰く:「はおっ!好吃!!好好吃!!ただでさえ美味い各々の素材が鍋という舞台で混ざり合うことにより、とてつもない物語を作り出している!これぞまさに甘味の三国志、スープの春秋戦国時代、味と香りの水滸伝だ!!美味い!」審査員C曰く:「かつて高級料亭に勤めていた私だが、香りと甘味がぶつかり合い失敗する様は何度も見てきた。だが、これは違う!極上の甘さが一切の下心なくそこにただ在る!これが甘味三魔人の腕か!その名に違わぬ仕事だ!」審査員D曰く:「ラーメンじゃないので0点」審査員の絶賛ぶりに、観客も称賛の歓声を上げる。やはりG.O.D.幹部『甘味三魔人』の一人、その腕は確かだ。これに打ち勝つためには並の料理では太刀打ちできない。だが、影光の強さも観客たちは知っている。彼が作るのも普通の料理ではないだろうと期待するが…。――どうしたことか、審査員が影光の料理を前に少し悩んでいる。観客もいったいどうしたのかとざわざわしはじめるが…。「う、ううむ。舌が強烈な甘味に慣れ過ぎてしまった…。こ、この状態でまともな審査ができるのか…」と審査員長であるAが言っている。それは確かに道理だ。強い味、特に甘みは舌に残り、次の料理の味を阻害する。もちろん審査員たるもの
last updateLast Updated : 2026-07-27
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第27話「Winter,again」

さあまずは影光の勝利、そして一気に闇食倶楽部側の王手である。次の勝負が肝心要…決着するか、最終戦に移るか。ここは甘味三魔人も絶対に落とすわけにはいかない。しかし…負けたチョンチーは、さっぱりとした表情で自陣に戻って来た。G.O.D.に負けは許されない。いついかなる時でも、何をしてでも絶対に勝たなければいけない。チョンチーもそんなことは骨身に沁みて知っているはずだが…。「ヒョヒョ、ごめんネ、ボス。負けちゃったヨ」そう言った彼の表情は妙に晴れやかだ。まるで負けて悔いなしとでもいうように。ラミアはズレたサングラスを直しながら、チョンチーに問いかける。「ずいぶんと嬉しそうじゃない、負けたっていうのに。G.O.D.から追放されるかもしれない…そうは考えないのかしら?」その問いにチョンチーは少し考えながら…フッと笑い答えた。「そうネ…そうかもしれない。G.O.D.はワタシに利権も金も対戦相手も与えてくれたヨ。恩も感じているネ。 でも…あのボウヤと戦って、なんだか思い出した気がするヨ。料理って、楽しいモノなんだってことをネ」吹っ切れたような顔のチョンチーを見て、ラミアは思案する。そう、あの少年と戦ったマキシマも絆され、リリスをかばい魔餉気の直撃を浴びた。そしてこのチョンチーもどこか清々しい表情だ。…闇食倶楽部の人間はみんなあの少年のように純粋なのだろうか。それとも、彼が特別なのだろうか。(まあ、それは戦ってみればわかること…か)そう考えたラミアは顔のサイズに合っていなかったサングラスを外し、胸元にしまう。「チョンチー、あなたの処分はロキ様のお気持ち次第。沙汰を待つことね。 …それは置いておいて、次は私が出るわ。この一戦を落としたら私たちの負けが決まってしまうのだから」そして、次の勝負の舞台に立
last updateLast Updated : 2026-07-28
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第28話「REVOLVER」

さて少し場所を離れ、ここは病院から町食堂へ帰っている途中の真紅の車『クラウン クロスオーバー』。運転しているのはリリスのお見舞いに行ったサイラス。昨夜病院に泊まったフレイヤも一緒だ。「サイラスさんはさあ、なんでママと結婚しなかったの?」「そ…そういうことはストレートに聞くものじゃないと思うぞ」とは言いながらも、サイラスはG.O.D.所属時代のことを簡単に話し始めた。本人にとっては別に隠すことでもないらしい。サイラスもリリスも幼少から料理の腕に秀でており、中学校卒業後二人ともすぐにG.O.D.や闇食倶楽部、その他多くの料理会社や組織にスカウトされたこと。給料など待遇面からG.O.D.を選んだこと、仕事はそこそこきつかったが友もでき、意外と充実していたこと。だが自分たちが二十歳を過ぎたあたりから少しずつG.O.D.や総帥のオーディンがおかしくなっていったこと。そしてそれから数年後…今から十年前にリリスがフレイヤを連れG.O.D.から逃亡したこと、自分は内部からリリスをサポートすると決めたこと。しかしそれがきっかけで自分は閑職に落ち、耐えながらも三年前ついに自分もG.O.D.を辞めたこと。「そうか…私が辞めてからもう三年も経つのか。降格する前はG.O.D.内部では結構偉かったんだぞ、私も。『ルシファー』などという名前をつけられたりな、ふふふ。当時は『アトラス』という好敵手もいたが…今は何をしているのかな」楽しそうに昔のことを語るサイラス。彼の中では今のG.O.D.は忌むべき組織であるが、その当時の記憶としては決して唾棄すべきものではなく、むしろ楽しかったものなのだろう。だがフレイヤが知りたかった答えは特に聞けなかったようである。「とりあえず、今からでもママと結婚したら?」「…あのな、だからそういうことは…む?なにやら人が集まっているようだな…?」呆れたサイラスだが…目の前の町食堂に人だかりができてい
last updateLast Updated : 2026-07-29
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第29話「SCREAMING」

さあラミアの料理を食べ終わり、次は影羅の料理へ。影羅曰く、名付けて『夏の日』。いざ、審査員実食!審査員A曰く:「ふおっ!?風が吹いたぞ!鮎の清涼感が今私の中を突き抜けていった!この涼やかさと煮汁の甘露がとめどないハーモニーを紡ぎ、しかしはらわたの苦みが私の目を覚ます!とどめに青梅の若き酸味…なんという清涼感!これは私が子供の頃の夏を思い出させる!」審査員B曰く:「ふぅっ、ふううう!!思い出す!今は亡き父と鮎釣りに行った日のこと!夏休みの朝、ラジオ体操に行ったこと!遠くへ引っ越したあの子と海に行ったこと!おお、この料理の味は私の青春の夏を思い出させてくれた!嗚呼、私の心は夏模様…」審査員C曰く:「かつて高級料亭に勤めていた私が言うが、こ、この料理は反則だ…うう、人の心、童心に訴えてくる…これは味を食べているのではない、子供の頃の思い出を今ひとたび食べさせてくれた…技術ではない、心に響くのだ…うう、こんなものを出されたら…」審査員D曰く:「ラーメンじゃないので0点」なんと、大絶賛である。五分五分、あるいは負けもあるかもと思っていた影光やサイラスもこの評価には驚いてしまった。いや、それ以上にラミアが驚いている。まさかここまでの評価だなんて…と。「ふふふ、うまくいったようね。…勝てたのはあなたのおかげ。本当に助かったわ」影羅はそう笑いながら、食材に用いた鮎を見る。一見普通の鮎のようだ。いや、普通よりやや大きいようだが…?しかし、その鮎を見たサイラスが、あっ!と声を上げる。「あ、あれは彗星鮎!月海鮭クラスの幻の神食材だ!!」その発言にどよめく観客だが…サイラスはコホンと咳払いをして彗星鮎の解説をする。――――――――――彗星鮎とは!?…鮎は本来、川から海へ、そしてまた川へ戻り産卵して命を使い果たし、わ
last updateLast Updated : 2026-07-30
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