All Chapters of 料理の時間~Cooking Showdown Begins!~: Chapter 41 - Chapter 50

57 Chapters

外伝①「advent」

さて、料理のうまい方が偉いというこの狂った世界だが、一応義務教育は存在する。小学校の六年間から中学校の三年間という、現代日本でいう義務教育とまったく同等である。もちろん高校や大学、専門学校も存在するが、『料理こそすべて』なこの世界では、それらの学校への進学率は我々の世界ほど高くはない。専門職に就く人間たちはともかく、一般人は料理さえできればなんとでもなるからである。もちろん進学した彼らは普通の高校生活を楽しんでいるのであるが。さて、本編の登場人物は、というと…まず、主人公の影光やその姉の影羅、同年代の影真、影時は闇食倶楽部内での独自カリキュラムでその辺はキッチリ教えられていた。教師役の影天ほか闇食倶楽部の人間がしっかりと指導していたのである。ここで影光たちはしっかりと教えを受け、料理に関していえば一人前の知識や技法を身に着けたのである。ただ影真と影時は『お前らは甘やかさないからな』と影天たちからスパルタ教育を叩き込まれたが。ただし、料理勝負に関することだけはあまり詳しくは教えられなかった。闇食倶楽部内では料理勝負を禁止していたからである。料理勝負により組織内の序列がひっくり返っても困るというのが大きな理由であった。なにより教えていたらこの物語が始まらなかったかもしれないし。サイラスとリリスも中学卒業後すぐにG.O.D.にスカウトされたが、当時はまだ社会性が未熟だった彼らも、G.O.D.内部での生活によって少しずつそれを身に付けてきた。当時の料理人統括長であるアトラスが実力重視主義であったし、たまにナメた上司や同僚がいても持ち前の料理の腕で全員黙らせてきたのである。ただ、フレイヤだけは違った。彼女だけはリリスと一緒に逃亡したあと普通に義務教育を送り、中学校卒業後は高校に進学することもなく『町食堂 かがやき』を手伝うことにしたのである。逃亡後の生活は不便だったが、この辺はサイラスが裏で手を回し金銭面、生活面でいろいろ便宜を図っていた。中でも戸籍に関しては結構手を尽くしたようであるが…この辺は本編に関係ないので詳細は省略する。
last updateLast Updated : 2026-08-10
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料理戦争編・第1話「A new beginning」

これは、遠い未来か遥かな過去か、はたまたこの現代か、地球ととてもよく似た宇宙のどこかの星のお話。もしかしたら地球かもしれない。――――――――――料理の腕がほぼすべてであるこの星において、日本料理界を支配する二大組織があった。一つは闇食倶楽部。千年続いている料理組織であり、都内の山奥に巨大な和風の城を構え、暗黒食王と言われる頭領を始めとして、多くの料理人を擁する組織。名前と金遣い以外は別にそれほど悪くない組織である。もう一つは『Genesis-Of-Dish』。略してG.O.D.とも呼ばれる。こちらは二十五年前に結成された、日本近海の孤島に西洋風の城を構える悪の超ブラック企業。総帥のオーディンを始めとして、その子たちや従者の料理人を使い、暗躍する料理組織であった。不倶戴天の宿敵同士であるこの両組織が、日本中の料理人を巻き込みついに雌雄を決すべく開催された料理大会…それが『料理戦争』である。そして闇食俱楽部の御曹司であり、本編の主人公『影光』も紆余曲折の末ついにその大会に参加することになったのである。第二部は、彼が予選に進むところから始まる。――――――――――時は十月半ば。料理戦争の予選開始日まで、ついにあと三日となった。影光&フレイヤは、舞台である北海道札幌市へ向かうため、お昼の少し前に羽田空港に着いていた。いつ行っても、とにかく人でごった返している羽田空港。影光は父母や姉に連れられ何度も来たことがあるが、フレイヤは初めてである。というか、飛行機に乗るのも初めてである。ワクワクしながら空港を見回しているフレイヤに、見送りに来ていたサイラスが心配そうに飛行機の乗り方を教えていた。「まずはチケットの発行からだな。これはすぐに済ませておいた方がいい。財布やスマホ以外の荷物ももう預けてしまった方がいいぞ」「空港にはいろいろあるが、遅くとも三十分前には保安検査場に行くんだぞ。ゲート向こうにもいろいろお店
last updateLast Updated : 2026-08-11
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料理戦争編・第2話「Egos and Lies」

料理戦争札幌会場。それは、札幌駅のド真ん前の広場である。国家や自治体と連携して、そこを交通整理して借り切ったという。なんともやることのスケールがでかいというか、この世界で料理が娯楽としてどれだけ人気があるかを示すような出来事である。まだ開始前だというのに、周囲の人々も集まり熱狂しているようだ。「おおっ!影光とフレイヤがついに来たぞ!これで参加選手は全員揃ったな!」「札幌は予選でも最大の激戦区だ!どういう勝負になるのか楽しみだ!」「なんといってもロキと影羅、影光が同ブロックだからな!」なんというか、知らないこと以外は全部知っている観客がいつものように解説している。えっ、自分たちが最後だったの?と思いつつ影光は周りを見るが…なるほど、確かに他の参加者たちはもう来ているようだ。まずは、姉の影羅が笑顔で影光とフレイヤに手を振り、挨拶をしてくる。「ちゃんと間に合ってほっとしたわ。とにかく、どんな組み合わせでもお互い頑張りましょう。私が相手になっても、手加減はいらないわよ」そんな姉の激励に、影光は笑顔で強く頷く。そう、姉と対戦する可能性もあるが、それはその時考えればいい。どうあろうと、全力を尽くすのみだ。…が、そう考えていた影光に、ある男が近づいてきた。金髪の長身男性…かつて影光に惨敗を味わわせた男、ロキである。彼は不敵な笑顔を浮かべ、影光に声をかけてくる。「よー、小僧。俺のお情けでちゃんとここまで来れたか。俺に負けた時から少しは上達したか?他人から奪った招待状で参加するんだ、自信があるんだろ?」…言葉を聞いた限り、やはりロキは影光が来ることを想定していたようだ。とはいえ、完全にただの挑発であるが…。そんなロキの挑発を聞いた影羅が、しっしっと追い払うようなそぶりをして言い放った。「何しに来たの?呼んでないし、邪魔なんだけど」「お前には言ってねえよ。話しかけてくんな」「だったらそっちも話しかけて
last updateLast Updated : 2026-08-12
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料理戦争編・第3話「Unknown…Despair…a Lost」

さあ、札幌予選一回戦第一試合、ロキ対チョンチーの戦いが始まる。テーマは…『炒飯』!「ヒョヒョヒョ!炒飯は私の得意分野よ!如魚得水!もらったねロキ様!」「うるせえな、さっきから。だから誰なんだよお前は」叫ぶチョンチーと、まったく興味がなさそうな様子のロキ。さあ…調理タイム開始!まずはチョンチーが中華鍋に油をひく。鍋が温まるまでの間、彼はそのまま温かい白飯に溶き卵を入れ簡単に混ぜる。そして、ネギを細かく切り始めた。「おおっ!あれほどの動作を一気に進めるとは!」「さすがチョンチー、甘味以外でもすさまじい手さばきだ!」「うむむっ、さすが元甘味三魔人にしてG.O.D.初期メンバー!」やはりチョンチーの裏事情さえ知っている観客たちが口々にそう騒ぐ。一度でも誰かが説明すれば、観客たちには公知の事実なのである。そして…それを聞いたロキが、ああ、と思い出したように呟いた。「甘味三魔人…ああ、そういえば部下にそんな奴らがいたな。確かラミアと…あとの二人は思い出せねえが、それがあいつか。フン、俺に反逆しようってことか。まあまあ面白いギャグだな」どうやらロキは、自分の部下であったチョンチーのことを本当に忘れていたようだ。やっと彼のことを思い出したのか、そのままニヤリと笑い腕を組んだ。「ハハハ…そんなカスなら、まともに相手してやる必要はねえか」そして…腕を組み不敵に笑いながら、ただその場で動かずジッとしていた。――――――――――さあ、調理タイム後半。チョンチーは中華鍋に飯と卵を投入し、ヘラでしっかりと混ぜていく。さらに刻んだネギと白胡椒を入れ、さらに炒める。調理過程もほぼ後半のようだ。しかし…ロキは動かない。いや、調理タイム開始から、ずっと動いていない。ずっと不敵に笑い腕を組んでいるままだ。いくらなんで
last updateLast Updated : 2026-08-13
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料理戦争編・第4話「VIRTUAL FAKEMAN」

ロキの圧勝に終わった第一試合…ロキはそのまま部下の車に乗り、試合会場を後にした。そしてロキに敗れ、ショックで倒れて動けなくなったチョンチーを病院に運び…我を取り戻した審査員が第二試合を始めることになった。ちなみにチョンチーが作った料理はフレイヤが全部タッパーに詰めている。『だって食べないともったいないじゃん!』とのことらしい。さて、第二試合。審査員が箱から紙を一枚取り出し…ナンバーを告げた。「第二試合!まずは…ナンバー33!」「僕たちだ!…行ってきます!」そう、『33』は影光のナンバーである。本当は78だったのだが、いつの間にかチョンチーにすり替えられて33になった。前に出る影光、そしてフレイヤも一緒に出る。影光とフレイヤは、二人で一つ。もはや誰にも文句は言えない公認アシスタントである。アシスタントは二人まで認められているのは、料理戦争でも同じようだ。そして審査員がもう一枚の紙を引く。影光としては、影羅やマキシマとは当たりたくないなと思っていたが…当たったのは意外や意外、なんというか…よくわからない人物だった。「次…対戦相手は、ナンバー53!」「『SO-LEGACY』でござるな!…行って参るでござる!!Hi-Yah!!」意気揚々と声を上げるナンバー53。そのまま彼は側転や宙返りを繰り返し…調理場まで出ていった。そして呆然としている影光&フレイヤの前でクルクル回転し…大きく見栄を切った。「SO-LEGACY、姓は『羅美麗栖』、名は『芭明日』と申す者!チャキチャキの忍者MANでござる!!いざ!尋常にSHOW-VIEW!!」「え…あ、はい…」「なにこの人」呆然としたまま影光が返事をし、フレイヤが当然の疑問を呈した。
last updateLast Updated : 2026-08-14
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料理戦争編・第5話「THE MORNING GLOW」

さあ、怒り冷めやらず、といった様子の審査員Dが試合会場に戻ってきた。どうやら怨敵の羅美麗栖・芭明日は取り逃したようである。気を取り直して…第三試合、抽選開始!「え、えー…第三試合、まずは…招待状、ナンバー12!」「私ね」審査員長Aの発表したそのナンバーに、影羅が手を挙げた。彼女は長い亜麻色の髪を揺らして、調理場へ進んでいく。そんな影羅を見て、影光は心の内でエールを送った。(ついに姉さんの出番か。頑張れ、姉さん。姉さんならどんな相手でも後れを取るはずがない)影光と影羅は9歳の違い。影光が生まれた時から、自分を護り、指導してくれた姉だ。常に優しく、理不尽に怒られたことは一度もない。それだけに影光は影羅の強さを知っており、またその勝利を信じていた。フレイヤも同様である。出会ってからまだそれほどは経っていないが、『町食堂 かがやき』での影羅はとても頼もしかったし、ありがたかった。主に注文取りをお願いしていたが、その料理の腕は一切の疑いがなく、こんなところで負けるわけがないと思っていた。…そして、審査員長Aが対戦相手のナンバーを読み上げる。「えー、その対戦相手…おっ、これは…ナンバー96!」この料理戦争の参加者は百名。そのうち四名はシードだ。そのため一般参加者は九十六名となる。つまりナンバー96とは、一般参加者の最後尾…最後の参加者である。「へー、ナンバー1とナンバー96…。最初と最後の参加者が札幌予選にいたんだ」影光が感心したようにそう呟く。…そして、呼ばれたナンバー96の人物が前に進み来る。年のころは四十代中盤の男性だろうか、紺のスーツを着ており、やや後頭部の禿げを隠すようなオールバックで、黒縁の眼鏡をかけた痩せぎすの男性。しかし眼鏡の奥の瞳は暗く光っており、痩せこけた頬で笑みを浮かべながら調理場にゆっくりと歩いて行った。
last updateLast Updated : 2026-08-15
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料理戦争編・第6話「ANOMIE」

さて勝負が終わりホテルに帰った後、影光はロビーでフレイヤと作戦会議する。別のホテルに泊まっていた影羅も集まり、それに加わることになった。「次の相手がロキか、ジャスティス仮面だとして…。ロキは言わずもがな最強の敵だけど、ジャスティス仮面も不気味だ。マキシマさんを倒すなんて、並の腕じゃない」「でも、マキシマさんなんか動きが悪かったよ?影光と戦った時より、ずっと動きが鈍っていた。なんだか…重りでもつけられたみたいに」「私達みたいな超能力系必殺技かしら?だとしたら困ったものよね。正体がわからない以上は対策の練りようもないから」残ったのはロキ、影光&フレイヤ、影羅、ジャスティス仮面。このうち誰が誰と当たるかわからない。いっそロキがジャスティス仮面と当たり敗れれば痛快だろうが、まあ可能性は低いだろう。それはそれで面白そうだが…。ホテルのロビーで、さてどうしようかと三人が話していたところ…。そこに一人の男が近づいてきた。先ほどジャスティス仮面に敗れたマキシマである。影光が呼んでいたのだ。彼は、影光に手を振りながら気さくに話しかけてきた。「悪いな、影光。あんなやつに負けちまったよ。本当はお前にリベンジしたかったんだが」そう言いながらマキシマはロビーの椅子にどっかりと座り…何が起こったのか話し始める。――最初は、特に違和感もなかった。だが勝負を進めるにつれ、途端に体が重くなった。抗えない眠気が襲ってきたのだ。必死に睡魔と戦うも、料理勝負どころではなく…あまりにも不本意な仕上がりになってしまった。そこを、まがりなりにも料理を完成させたジャスティス仮面に敗れてしまったのだ――「なんで眠くなっちまったのかはわからねえ。今までそんなことはなかったし、前日だってしっかり睡眠はとってた。酒だって一滴も入っちゃいねえ」悔しそうにマキシマが言う。そこから推測されること…可能性は一つしかない。ジャスティス仮面が何らかの手段でマキシマに睡眠薬を盛ったのだ。「でも&h
last updateLast Updated : 2026-08-16
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料理戦争編・第7話「世界の理と共に」

さあ、ついに札幌予選本戦出場を賭けて戦う四人が集う。それを確認して…審査員長である審査員Aがまた箱を持ってきた。「この中には、四枚の紙が入っている。それぞれ『A』『B』と書かれた紙が二枚ずつ。それを各々の選手が引いて…」「A同士、B同士が戦うってことか?くだらねえな、時間の無駄だ。…まあ、少しは乗ってやるけどよ」と、ロキが審査員Aの言葉を遮る。そしてそちらに歩み寄り…箱から一枚、紙を引き周囲に紙を見せる。…その紙には『B』と書かれていた。「Bか。これは、第二試合ってことか?」「う、うむ。Aが第一試合、Bが第二試合だ」「フン。さっさと終わらせて帰りたかったんだが。まあいい、前座の見物でもしてやるか」ロキと審査員Aがそんなやり取りをしている。次いで近くにいた影光が箱から紙を引こうと歩き向かうが…。ロキはそれを制止して、言い放った。「待て、小僧。お前らが引く必要はねえ。おい審査員長、今回だけでいい。対戦相手は俺に決めさせろ。主催者一族特権だ、文句は言わせねえぞ」「う、いや、それは…」何かを言いたげな審査員Aを無視して、ロキは『B』の紙を握り潰し、そしてそれをある人物に投げつけた。その相手は…やはり影羅だった。「俺の相手はお前だ。お前以外に俺の相手が務まる奴は、まだここには居ねえ。それに俺は、売られた喧嘩は全部買う主義だ…昔からな」そして影羅も、ロキが投げた紙を受け止めニヤリと笑う。「あら、先に喧嘩売ってきたのはそっちでしょ。昨日私に返り討ちにあったのが、そんなに悔しかったの?…でもまあ、もとより私もそのつもりよ。今度は泣きべそかかせてやるわ。子供みたいにね」ロキ対影羅。対立組織の長子同士の、この因縁の対決。観客も大盛り上がりである。「いいぞ!っていうか、それ以外にもう組み合わせはねえだろ!」
last updateLast Updated : 2026-08-17
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料理戦争編・第8話「HOLD OUT 2021」

さあ、『叩き潰す』と決意表明した影光と、激昂してギャーギャー喚いているジャスティス仮面に、料理のテーマが告げられる。今回のテーマは…『スープカレー』!「おおっ、スープカレーか!ここ札幌が発祥とも言われているぞ!」「サラッとしたスープにゴロッとした具!くぅ~たまらん!」「影光がどんなスープカレーを作るのか楽しみだ!ジャスティス仮面の方は別に…」相変わらず何でも知っていそうな観客が詳しく説明してくれている。まあいつものことだ。テーマ発表後、影光とフレイヤは即座に動き出す。ここは札幌、スープカレーがテーマで出るかもしれないというのは二人とも想定しており、その際の動きはすでに決めていたのだ。まずフレイヤがじゃがいも、たまねぎ、舞茸などの野菜を切り始める。そして影光は…どこから取り出したのか、毎度お馴染みの幻食材『月海鮭』の切り身に塩を振り、焼きだした。幻だがお馴染みの食材である。これは、今朝のうちに闇食倶楽部が影光に渡していたものだ。いや、野菜やカレーのスパイスもすべて闇食倶楽部が持ち込んでいた。なんと彼らは本当に一日で東京から札幌まで食材を持ってきたのだ。ちなみに選ばれた者にしか切れないという謂れがある月海鮭だが、この勝負のために都内にいた父の暗黒食王がわざわざ切って用意したらしい。相変わらず子煩悩である。(鮭のスープカレーか。しかも月海鮭とは、なんとも贅沢だな。いや、野菜もスパイスも闇食倶楽部が用意した一級品だ。それをここまで自在に、楽しそうに操るとは…末恐ろしい十六歳たちだぜ。こりゃあ、もし俺が当たってても勝てなかっただろうな)影光たちを護るように仁王立ちするマキシマが、二人の調理を見て諦めたように笑う。そしてまだ地団駄を踏んでいるジャスティス仮面に振り返り…睨みながら呟いた。「麻酔針でもピストルでもICBMでもなんでも撃ってこいや
last updateLast Updated : 2026-08-18
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料理戦争編・第9話「Devil'N Angel」

マキシマの豪快な悪党撃破が終わり、影光&フレイヤの料理『砂丘の月』が審査員の前に運ばれている。その間、のびているジャスティス仮面のマスクをマキシマが剥ぎ取る。そして、その顔を見て首をかしげながら言った。「あん?こいつ見たことあるな。確か、料理法違反で罰金食らってたやつじゃなかったか?」その発言に影光とフレイヤもジャスティス仮面の顔を覗き込む。それは彼ら二人にも見覚えのある顔であった。もっとも、どこで会ったのかは思い出せないが…。「どこかで見たことあるような…でも誰だっけ」「TVで見たことあるかも?ニュースとかで」…それがかつて『町食堂 かがやき』に来た原価厨のおじさんであることには一切気づかずに、二人も首をかしげていた。――――――――――さて、気を取り直して影光&フレイヤの料理…審査員、実食開始!審査員A曰く:「うう~ん、美味い!流れ込むようなさらさらスープ、スパイスの複雑な辛味に、鮭の濃厚な旨味がしっかりとマッチしている!そしてこの野菜も見事なこと!白眉はこの舞茸!食感もさることながら、カレースープと鮭の旨味をガッチリ吸収してアピールしているのだ!」審査員B曰く:「砂丘に浮かぶ月、とはよくいったものだ!じゃがいも、玉ねぎ、舞茸と、ともすれば彩りとしては地味な野菜だが…それが逆に月海鮭の身を美しく輝かせている!なるほど見渡す限り続く砂丘を美しく照らす月!ふふふ、なんともいいセンスだ!おっと、もちろん味も素晴らしい!」審査員C曰く:「かつて高級料亭に勤めていた私だが、実はスープカレーはあまり食べる機会がない。しかし、この料理は美味いな!米と合わせても良し!単品でも良し!見事だ!実に、実に美味い!」審査員D曰く:「ラーメンじゃないので0点」審査員、絶賛!Dはまあいつものことなので。もはや影光の本戦進出にケチをつける人間はどこにもいないだろう。これにより、晴れて影光は予選突破が決まったのである!
last updateLast Updated : 2026-08-19
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