LOGINこれは、遠い未来か遥かな過去かはたまたこの現代か、地球にとってもよく似た宇宙のどこかの星のお話。もしかしたら地球かもしれない。 主人公の少年『影光』は父を超えるべく家出した先で、様々な料理バトルに巻き込まれる。そして彼はいつしか大きな陰謀に巻き込まれ始め、それは料理界を揺るがす大きな渦に…。 お粥を正拳突きで米に戻し、急にどこかから幻のトンデモ食材を取り出し、音速の包丁で空を切る料理人たちのバトル!料理バトルというか少年漫画バトルかもしれない。 「いくらなんでもそれはないだろう」と言われたいハイパー料理人たちの常識を投げ捨てた荒唐無稽な料理バトルが今始まる!
View More唐突に現れたフレイ、その「俺と手を組もうぜ」の直後…。「なんだ貴様アアァァァァァ!!影光様に無礼を働くつもりか許さんぞ!この野良犬め!」不意にそんな叫び声が上の方から聞こえてくる。声の方を見ると、叫んでいたのは改築中の『町食堂 かがやき』の職人に混ざっていた影真だった。彼はそのまま三階から飛び降り、そしてそのまま影光を護るように前に立つ。三階から飛び降りたのに元気すぎる。しかも怪我もなさそうだ。なんなんだこいつ。そういえば影真だった。しかしながら、そんな大絶叫にもかかわらずフレイは特に物怖じすることもなく影真を見る。そして、影真に向けても同じ問いを発した。「Oh、あんたも確か一回戦を突破した…影真、だったか。Perfect timing、あんたも俺と手を組まないか?G.O.D.を…」「断る!失せろ!」「…おいおい、ちょっとはlisten to meしてくれよ。あんたたちにとってもBADな話じゃないはずだ。G.O.D.を再起不能に…」「失せろ!Beat it!!」「…なあ、話だけでも聞いてくれよ…」フレイは頑張って影真と話をしようとするが、すでに『こいつは敵』と認識している影真は話を聞く耳を一切持たない。何かスイッチが入ってしまったのか"Beat it!"と言うばかりで本当に話を聞くそぶりがない。「あの、僕が話を聞きますよ」…と、やむを得ず会ったばかりのフレイにしょうがなく助け舟を出す影光だった。――――――――――「まあSimply put、簡単に言えば俺はG.O.D.を破滅に追い込みたい。そのために使えるものなら何でも使うつもりさ。I want to use whatever I can...たとえ敵組織でもな」近くの公園。コンビニで買ったコーヒーを飲みながら、フレイがそう言う。その表情は先ほどまでの浮ついたものと違い、真剣そのものだ。「穏やかじゃないですね。G.O.D.はオーディ
さて、影光&フレイヤ対イズンの戦いが終わって一週間。十二月最後だったその戦いとともに一年も終わり、年末年始のシーズンとなった。影光も一時的に闇食倶楽部城へ帰省し、実家でゲームでもやりながら年越しをのんびりと過ごしていた。ちなみにフレイヤは母のリリスとともに温泉旅行へ行っているらしい。影光が花宮町に来て半年間。ずっとフレイヤと一緒だったため、彼女と離れてちょっと寂しさというか喪失感を感じるところでもあったりした。とはいえまあ、恋というにはまだ未熟さというか青臭さが残る感情ではある。まあ、お坊ちゃま育ちゆえの奥ゆかしさだとかお上品さだとか、その辺もあるのだろうが。――――――――――さて年が明けて三が日も過ぎ、いよいよ料理戦争一回戦第十試合が始まろうとしていた。今回の対戦は闇食倶楽部八傑衆最後の一人『影滅』対オーディンの息子『フレイ』。影光や帰郷していない八傑衆が揃って闇食倶楽部城内の巨大ビジョンでその勝負を見守っていた。険しい顔をしている中年の男…影滅に対し、対戦相手のフレイは完全に無表情だ。そのフレイをビジョン越しに眺めながら、影羅が興味深そうに口を出す。「フレイ…確か、フレイヤちゃんのお兄さんね。見た目はまあまあ似ているけど、実力はどれほどのものかしら」むろん、影羅とて彼の実力が劣っていると思っているわけではない。なんせオーディンに才能を認められた息子である。それでもロキやスルト、フォルセティ、イズンに比べていかほどのものか…と考えた上での発言である。「いかな相手であれど私の敵ではありません。影光様の露払いは私にお任せを!」「だから暑苦しいのよあんたは」拳を握りながら熱く語る影真に、影羅がうんざりしたように言う。まあ子供の頃からこの二人はこんな感じである。ちなみに影真もその父の影天も里帰りはしていない…というか、この闇食倶楽部城が故
イズンから出された『再判定』の要求…。もちろん料理法は再判定についても規定している。料理法第七二三条第一項ないし第四項…『再判定申立て』である。第七二三条『審査員の判定に不服ある場合の再判定申立てについて』 調理責任者は、自らが当事者となった料理勝負において、結果に影響を及ぼす明白かつ重大な法律行為または事実行為があると認める場合は、その勝敗の判定に対して再判定の申立てをすることができる。この場合、当該調理責任者は、審査員長に対し、次に掲げる事項を口頭または書面で申し立てなければならない。 一 勝敗の再判定を求める旨の申立て 二 結果に影響を及ぼす明白かつ重大な法律行為または事実行為の要旨2.前項の申立ては、審査員長または勝敗の宣言をする権利を有する者による勝敗の宣言が言い渡された後、直ちに申立てなければならない。3.第一項の申立てがされた場合、審査員は、その料理勝負において明白かつ重大な事実が確実に存在し、かつ、それが勝敗の判断に看過できない影響を及ぼすと認めた場合は、料理勝負における勝敗について再判定しなければならない。4.第一項の再判定申立てをした調理責任者(以下、再判定申立人という。)は、第一項の申立てをいつでも取り下げることができる。ただし、当該申立てを取り下げた後は、再判定申立人は当該料理勝負において再度の再判定に関する申立てをすることができない。また、再判定申立人は、当該料理勝負において、再判定の結果および第一項の申立てを却下する決定に対する不服申し立てをすることができない。要するに『誰が見ても明らかに勝敗がおかしい場合のみ再判定をする』ということである。規定上は一応勝った方もできる。だがこの再判定、非常に条件が厳しくそもそも過去に認められたことがない、いわゆる『死に制度』である。どっちかというと次条の『再戦要求』の方が通りやすいのだ。…まあそれはさておき、イズンの再判定の申立ての要旨はこうである。『再判定を求める。理由はお前らの頭と舌がおかしいから』ということである。普通なら一瞬で門前払いされるこの
さあ、調理タイム終了!両者の料理が出揃った!まず、影光の料理は…。鯛と昆布出汁のマグロ漬け丼を主役に、アジ出汁のあおさ海苔味噌汁、マグロ赤身の刺身、イサキの干物に紀州梅干し。名付けて…『海渡りの風旅人』!そしてイズンの料理。豪勢なマグロのカマトロステーキを筆頭にして大トロ、中トロ、赤身のマグロ寿司、マグロのアラ出汁の味噌汁、そして高菜漬け。そこに魔餉気のトッピング付きである。名付けて…『闇に堕ちた人魚姫』!さあ、まずは影光の料理『海渡りの風旅人』から…審査員、実食!審査員A曰く:「おおおっ!このマグロ漬け丼、なんという美味さだ!鮮烈にして濃厚なヅケの旨味を土台の米がしっかりと支えている!米単体でもヅケ単体でも美味だが、この合わせたハーモニーは絶品というしかない!一方が弱ければ凡百の料理となるところを…見事な見極めだ!」審査員B曰く:「明鏡止水!!この丼ものも見事ながら、味噌汁も複合した三位一体の連携!これが本当の仲間というものだ!フッ、昔を思い出すな…この味が一気呵成に来るぞ!人の世に!生まれし頃より!料理道!」審査員C曰く:「かつて高級料亭に勤めていた私の意見だが、この料理の組み立ては見事だ!丼ものを主役にしてパートナーに汁物、脇を新鮮な赤身の刺身と良く薫る干物で固め、とどめに梅干し!その全てに過不足なし!ここにはすべてがある!見事だ!」審査員D曰く:「ラーメンじゃないので0点」この戦いでなにかずいぶんと心に響くものがあったのか、審査員Bがいつも以上に興奮しているが…。それはともかく審査員たちの反応は上々だ。これならばいかに魔餉気と言え