でも、彼女に癒されることを許さなかった。彼女に近づくことを許さなかった。怖かったんだ。本当の自分を見られるのが怖かった。拒絶されるのが怖かった。だから、先に拒絶したのは僕だった。彼女を突き放し、軽蔑し、辱めた。彼女に自分が無価値だと信じ込ませた。でも、その間ずっと、無価値だったのは僕の方だった。愛される資格なんてないと思っていたのは、僕だったんだ。彼は立ち止まり、短い息を吐き、体は震えていた。そして、初めて壁が崩れ落ちた。それは芝居がかったすすり泣きでも、劇的な崩れ落ちでもなかった。それは遠くから聞こえてくる嘆きのような、長く、ほとんど無音のうめき声だった。涙がゆっくりと、濃く、熱く頬を伝った。彼はそれを拭わなかった。生まれて初めて、恥じることなく、何の抑制もなく、涙を流し続けた。フローレンス・デルマスは何も言わなかった。彼女は彼が泣くのを許した。人間が仮面を脱ぎ捨て、ありのままの自分をさらけ出す、あの神聖な瞬間を尊重したのだ。彼女はその涙が尊いことを知っていた。それは、ついに何かが癒え始めている証だと。涙が乾くと、ガブリエルは顔を上げた。やつれた顔、赤く腫れた目。もはや彼は、権力を持つ大物実業家でも、冷酷なビジネスマンでもなかった。ただ、幼い頃以来初めて涙を流した、脆く傷つきやすい一人の男だった。「すまない」と彼はつぶやいた。謝る必要はない。これは勝利だ。―勝利?ええ、あなたは泣きました。それはあなたが生きている証拠です。あなたが感情を持つことができる証拠です。それが癒しの始まりです。ガブリエルは疲れ果て、気力を失ってうなずいた。彼は立ち上がり、コートを手に取ると、立ち去る前にフローレンス・デルマスの方を向いた。「ありがとう」と彼は簡潔に言った。―それが私の仕事です。でも、あなたは一番大変な部分をやり遂げました。このまま頑張ってください。彼は涙で顔を濡らしたまま通りに出た。そして何ヶ月ぶりかに、恥ずかしさを感じなかった。悲しみは、限りなく深く、ひたすら悲しかった。しかし同時に、少し心が軽くなったような、少し生き生きとしたような、少し人間らしいような感覚も覚えた。
Last Updated : 2026-08-23 Read more