ある日、尊人は家の掃除をしていた。天気の良い日で、いつもの掃除の後、窓を拭いていた。窓ガラスがピカピカになったのを確かめていると、窓の向こうに人が立ち止まった。尊人は、焦点を窓ガラスから、窓の向こう側へと合わせた。すると……「健斗……?」尊人は窓をガラッと開けた。健斗はすぐそこに立っていて、尊人がのけぞると、窓の枠に手をついて、「尊人、大丈夫なのか?」と心配そうな眼差しで問うてきた。尊人の瞳が大きく揺れた。「うそ……だろ。なんで……?」尊人は呼吸を忘れたみたいに、喘ぎながら言った。すると、未来が他の部屋から入ってきた。「おう、健斗!着いたか。さすがに速いな。」と、分かっていたような口ぶりで言う。尊人は信じられないものを見るように、未来を見た。未来はその視線に、決まり悪いと言った顔で苦笑いをした。「何だよ未来、知っていたのか?」「俺が呼んだんだよ。」「え?」玄関へ回って健斗が入って来た。「未来、尊人はもう大丈夫なのか?」健斗は、未来と尊人を交互に見て、不思議顔でそう言った。「何の事だ?」尊人も、未来と健斗の顔を交互に見ながらそう言うと、未来は、「あー、ごめん!」と言って、手を合わせた。「は?」健斗が言うと、「尊人が病に倒れたって言うのはウソ。いや、倒れてはいないけど、ある種の病ではある。」未来はそう言って、1人で納得してうんうんと頷いた。「俺が病だって?」尊人が言うと、「お前、ずっと元気なかっただろ。つまり、俺と2人でいても、ダメなんだろ?健斗がいないと……。」未来はそう言って一度言葉を切ったが、それから、「まあ、せっかく来たんだし、まずは2人でゆっくり話せよ。俺はちょっと出かけてくるから。」と、元気に言って、そのままぶらりと家を出て行った。残された尊人と健斗は、しばらくぽかんと未来の出て行ったドアを眺めていたが、「まあ、座れよ。」尊人はそう言って、健斗に椅子をすすめた。健斗は背負っていたリュックを下ろし、椅子に腰かけた。尊人は紅茶を入れるためにキッチンに立った。 健斗は、尊人の後ろ姿を見ていた。ティーバッグをティーポットに入れる手が、ちょっと震えている。お湯が沸くのを待っている間に、ティーカップを棚から出し、それをテーブルに持って来た。尊人はちらっと健斗の顔を見たが、すぐに視線をカップに落とした。まだ
Last Updated : 2026-07-23 Read more