■仙台駅前ダンジョン <隠れ道>「ダンジョンに裏口があるとはなあ」「そういう噂は聞いたことはありますが、都市伝説だと決めつけてましたね」「<通行証>がなければ使えぬ隠れ道でござる」 クロガネたちは、オクの後について細い隧道を歩いていた。 道場の裏手から少し山を登った藪の中に、ぽっかりと黒い穴が開いていたのだ。 角の摩耗した階段が地下に向かって延々と続いており、地上の暑さが嘘のように涼しく、むしろ肌寒いほどだった。メイキュウヒカリゴケの放つ黄緑色の光までがどこか寒々しい。「牙のアクセサリーが通行証ってこと?」「そういうことでござる」「使い道のわからねえ代物だったが、そういうもんだったのか」 クロガネは手首に巻いた牙の首飾りをしげしげと眺める。 500万近い価値があると聞いてはいたが、そういう特別な意味があったのかと得心しかけるが、それにしたって高すぎるのではないかとも思う。「ねえねえ、それじゃこっちも特別な意味があるの?」「何やら面妖な飾りでござるな……。それがしは知らぬ品でござるよ」 ソラが目玉の髪飾りを見せるが、オクは不気味そうに首を振るだけだった。 こちらも鑑定料は310万DP、売価は600万超ということだ。 オクにわかれば鑑定の手間が省けるところだったがそう都合良くは運ばなかった。「あれ? アカリさん、これ配信するの?」 カメラを構えるアカリに、ソラが尋ねる。「いえ、撮影だけですね。使うかどうかは後から判断です。我々だけが知っている秘密の通路が、今後アドバンテージになるかもしれませんし」 ダンジョンに裏口あったという情報のニュースバリューは高い。 探索をメインに打ち出している配信者ならトップニュースとして大々的に打ち出せる発見だろう。 しかし、クロガネたちの配信とは方向性が異なる。 一時的に話題をさらえるかもしれないが、まだまだ配信して間もない現状で、チャンネルにそういう色がつくのは避けたいところだったのだ。 道中ではモンスターが現れることもなく、淡々と降っていく。 30分と経たないうちに、大きな扉の前に着いた。 高さは5メートル以上はあり、海を表しているのか波模様の彫刻が一面に施されている。 オクは扉の前に立ち、独特なリズムで叩く。 すると、扉は音もなく左右に開
Last Updated : 2026-07-13 Read more