なんつう圧力だ。 津波は膝までの高さでも、何かにしがみつかなければ立っていられないという。 ならば、目の前のこれはなんだ。 見上げるような大波が押し寄せているような、抗いようのないすさまじい圧力を感じる。「OuaaarrrrrrRAAAAAAHHHHHH!!」 気勢と共に振るわれる巨大ハンマーは、颶風をまとい縦横無尽に大気を引きちぎる。勢い余った打撃が石畳を砕き、破片を撒き散らす。気を抜けば風圧だけで体勢を崩しそうだ。かといって、大きく避ければ隙を生む。ぎりぎりを見極めてかわし、かわし、かわし――そして打つ!「Aïeッ!?」 下げた肘を支点に鞭のごとく腕をしならせて放つフリッカージャブ。その先端がブランの顔面に突き刺さる。だが、仰け反りはしない。微動だにしない。まるで地中深く打ち込んだ杭を叩いたような感触。なんちゅう首の強さをしてるんだ。垂れた鼻血はわずかな光の粒子に変わり、ダメージの痕跡は一瞬で消えて失くなる。「これくらい、へっちゃらデスよッ!!」 だが大波は止まらない。かするだけでも骨を持っていかれそうな致命の一撃が、横薙ぎに、袈裟懸けに、逆袈裟に、唐竹に、振り上げに、ありとあらゆる角度から押し寄せる。荒波に翻弄される木の葉のように、左に流れ、右に流れ、身を屈め、とんぼを切ってかわしきる。残機は1。当たれば終わりのオワタ式弾幕ゲーム。狭まりそうになる視界を無理やり広げ、無心になってかわす、かわす、かわす。「スタミナ切れを狙っても無駄デスよッ!」「そんなせこい作戦、最初から狙ってないってさッ!!」 左逆袈裟を倒れ込むようにくぐり抜け、地面についた右を軸にコンパスのように回転。地をなぞるようなローキックをふくらはぎの裏から叩き込む。カポエイラの蹴り技のひとつ、ハステイラだ。すね当てとすね当てがぶつかる金属音。大樹の根本を蹴ったかのような感触。身を捻って地面を転がり、降り注ぐ鉄槌をかわす。轟音と共にダンジョンが揺れる。天井から砂埃が舞い落ちる。「ったく、馬鹿みたいに体幹が強くなってない?」「Oui, bien sûr! アテクシも毎日鍛えてマス! 成長するのはアカリさんたちの特権じゃありマセン!」 ま、そりゃそうだよね。っていうか知ってた。 パラリンピック強化選手にしてインフルエンサーで
Terakhir Diperbarui : 2026-07-13 Baca selengkapnya