飛来するハンマーを避け…… ハンマーを避け…… 曲がり角ではちょっと距離を稼ぎ…… 直線ではじわじわと詰められて…… 文字通りの必死の思いで駆け続けていると、唐突に視界がひらけた。 そこはスタート地点と同じような広間だった。 奥の壁はフットサルのゴールと同じくらいの大きさの開放部があり、陽光の差す森と草むらの風景が覗いていた。あれが宝玉を運ぶと得点になるダンジョンの出口――ゴールだろう。 剣城の長身が、そのゴールを背にして立っている。 兜はなく、涼やかな素顔をそのまま晒し、要所要所を板金で補強した鎖帷子にサーコートを羽織っている。右手に握った斧槍は、石突を地面について垂直に立てられていた。穂先は剣城の頭よりもなお高く、リーチは2メートル以上だろう。 ――このまま決める! トップギアまで加速し、ゴールに向けて突っ込んでいく。 剣城は眠ったような半眼で、口元には微笑さえ浮かんでいる。 わたしがすぐそこまで迫っているのに、身じろぎひとつしていない。 「アカリちゃん、待って!」「馬鹿っ! 突っ込むな!」 眼前を銀閃が通り過ぎた。 目のわずかに下、左の頬から鼻の付け根、右の頬まで一直線に鋭い痛み。 顔面をゆっくりと這い落ちる生温かい感触。 切られた。皮一枚。 垂直に立てられていたはずのハルバードが、水平に伸ばされていた。 あと半歩突っ込んでいれば、わたしの頭はすっぱり上下に分割されていただろう。 キリ先輩と鬼嶋の警告のおかげで、ぎりぎり踏みとどまれた。「やっと待ってくれまシタッ!!」「ぬわぁぁぁあああっ!?」 背後から降るハンマーを、咄嗟の横っ飛びでかわす。 そのまま地面をごろごろと転がって、ゴールの向かいに待機していたキリ先輩たちに合流。 剣城と睨み合いをしながら、わたしを待っていたのだろう。 宝玉なしでやりあっても意味はないからだ。「これ、頼みます!」「えっ!?」 投げ渡した宝玉を、キリ先輩が慌てて受け止める。 落とさなければオッケーだから、パスは問題ないはずだ。 そして短く息を吐き、背後に向けて突き上げるように一気に踏み込む。 左肩に衝撃。金属の衝突音。「キャッ」と短く幼い悲鳴。 鎧の少女が、ハンマーを持った少女が、驚愕の表情を浮かべて宙に浮いていた。 わたしを追ってきたブランを、
Terakhir Diperbarui : 2026-07-13 Baca selengkapnya