「おーべんとー♪ おーべんとー♪」「なんでそんなにテンション高えんだよ」「隙あり! からあげいただきっ!」「あ、この野郎! 素手でつまんでんじゃねえよ!」 第一回戦を終えたわたしたちは、会場の隅でお弁当タイムを楽しんでいた。 午前中に1回戦、昼休憩を挟んで午後に2、3回戦というのが本日のスケジュールだ。 天然ダンジョンの探索で判明したことだが、驚くべきことに鬼嶋は料理が上手い。 ゆえに、弁当のおかずはすべてが至宝となりうる。 もぐもぐ……ほほう、今回のからあげは竜田揚げ風ですか。 冷めているのにカリカリの衣。香り立つ生姜醤油。噛むほどに溢れる肉汁……。 うーむ、これはお店が開けるレベルでは?「ニコちゃんは小学生の頃から自分でお弁当作ってたからね。実家の定食屋さんも手伝ってたし、腕前は冗談じゃなくプロ級だよ」「おいっ、キリキリも余計なことを言うんじゃねえよ!」 またしても鬼嶋の余計な設定が生えてくる。 バイク好きのヤンキーでお料理上手で小さな頃から家業を手伝う親孝行って……。 鬼嶋よ、おぬしは金髪のくせして萌えキャラだったのか? そんな雑な属性の生やし方は今日びソシャゲヒロインでもやらないのではないか?「やあ、君たちが温故堂かい? いつものメンバーからすっかり若返ってるみたいだけど」 お弁当を囲んでわいわいきゃっきゃとしていたら、背の高い女性が声をかけてきた。ブランド物のスポーツウェアをぴしっと着こなし、額には流線型のサングラス。なんてことない立ち姿だが、体軸のブレがまったくない。相当「やる」人間だというのが一見してわかる。「ふぁい、ふぁんでひょうふぁ」「……?」 いかん、唐揚げを口いっぱいに頬張りながら返事をしたら舌が回らなかった。 鬼嶋の弁当が美味すぎるのがいけない。 手を出すと「食いすぎんじゃねーよ」とか怒ってくるが、止めはしないしな。 決してわたしのせいではない。 なんだかんだ料理を褒められて悪い気分ではないようだしね。 美味いと褒めるとほっぺたをちょっと赤くするんだ。 ふふふ、ちょろいやつだぜ。次は卵焼きもいっぱいあるとうれしいです。「若返ったとはなんだよ。オレはこの通り今でもぴっちぴちだぜ、羽々霧さん」「やあ、鬼嶋さん。今回は出場しないのかい?」「今回はマネージャーだよ。
Terakhir Diperbarui : 2026-07-13 Baca selengkapnya