ラボのモニターに映し出された“祠”は、赤い光に包まれていた。だがその光は暖かさを持たず、血のように濃く、ねっとりと画面の奥を滲ませていた。美奈が息を呑む。「これ……見覚えがあります。紅葉と一緒に、ここで写真を撮ったことがあるんです。 秋祭りの前の日に……森の中の祠で」春香の手が、わずかに震える。「祠……まさか、あの“消えた子たち”が最後に目撃された場所……」祐真は無言で映像を見つめ続けていた。画面には、赤い光の奥で、無数の影が蠢いている。人の形をしているようにも、枝や根のようにも見える。やがて、画面の中でカメラが動き、視界の端に一瞬──白いワンピースが映った。春香が反射的にモニターに手を伸ばす。「紅葉……!」しかし次の瞬間、モニターは一斉に消え、ラボ全体が闇に沈んだ。機械が停止したような音が響き、冷たい風が背中を撫でる。「電源が落ちた……?」祐真が呟く。その時、足元から「ざり……」と音がした。三人が一斉に下を見ると、床の亀裂から黒い根のようなものが這い出してきていた。まるで意思を持つかのように蠢き、春香の足首に触れようと伸びてくる。「逃げてッ!」祐真が春香と美奈を抱えるようにして扉へ走る。背後で金属音が響き、ラボの天井から粉塵が降り注ぐ。外へ出た瞬間、三人は湿った夜気に包まれた。森はざわめき、風が渦を巻く。春香は膝をつき、荒く息を吐いた。「……今のは……あの根……まるで生き物みたいだった……」美奈は顔を青ざめさせながらも、震える声で言
Last Updated : 2026-09-01 Read more