「何の話をしに行くの?」 母へ聞くと、電話の向こうで少し間があった。 「私と香織の、これからの話。美咲に会ってもらうためじゃないよ」 私は台に置いた皿を見た。 「帰りに来るのも、香織への返事を聞くためじゃない?」 「うん。あなたとご飯を食べたい。都合が悪ければ、別の日でいいの」 夕食なら、一緒に食べたかった。 「仕事から帰って、陽翔を迎えに行ったあとなら」 「じゃあ、その頃に。何か買っていくね」 私は必要な食材を伝えた。 妹のために何をしてあげるかではなく、明日の夕飯を何にするか。 話し終えてから、流しへ皿を運んだ。 …… 翌日、母は買い物袋を提げて来た。 陽翔が玄関へ駆けていき、私は後ろから、足元を見てねと声をかけた。 「ばあば、みて」 息子は描きかけの絵を取りに戻った。母は靴を脱ぎ、買い物袋を私に渡した。 鞄の口が開いたとき、私はつい中へ目をやってしまった。 手紙か、何かの写しか。預かってきたものがあるのではないかと、まだ身構えている自分がいた。 母が私の視線に気づいた。 「香織から、渡してほしいものは預かってないよ」 「……うん」 すぐに謝ることもできず、袋を台所へ持っていった。
Last Updated : 2026-10-21 Read more