家の鍵を開けると、陽翔が先に靴を脱いだ。 片方を裏返したまま、眠いと言う。私が鞄を置く間に、蓮司が玄関へ入ってきた。 「その袋、食卓に置いてもらえますか」 「はい。上着は、先に掛けてきますね」 廊下で別れの挨拶をしないまま、彼が家の奥へ進んだ。 私は息子の靴を揃えてから、そのあとに続いた。 陽翔の着替えを手伝い、歯を磨かせる。 式で頑張っていたぶん、眠気も一度に来たらしい。横になると、今日の料理の話を途中までして、目を閉じた。 しばらく隣に座ってから、私はそっと離れた。 食卓には、持ち帰った荷物が寄せてあった。蓮司は湯を沸かし、棚の前でこちらを見た。 「カップは、これで合っていますか」 「はい。私も飲みたいです」 ふたつ出してもらい、私は荷物を片づけた。 飾りを入れた小箱は、すぐにしまえなかった。 蓋を開けて、今日、髪につけていたものをもう一度見た。 「疲れましたか」 蓮司がカップを置いた。 「少し。でも、寝るのがもったいなくて」 「僕もです」 彼が隣へ座った。 湯気の向こうで目が合う。式のときより近い距離なのに、急に何を話せばいいのか分からなくなった。 今日あったことなら、いくらでも話せる。それより先にしたいことがあった。 「少し、寄りかかってもいいで
Last Updated : 2026-10-31 Read more