夫の浮気相手は、私の妹でした〜いまから夫の浮気を暴きます〜

夫の浮気相手は、私の妹でした〜いまから夫の浮気を暴きます〜

last update最終更新日 : 2026-08-03
作家:  Amyたった今更新されました
言語: Japanese
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概要

現代

一人称

バッドエンド

独立

浮気・不倫

夫の突然の韓国出張に違和感を覚えた美月は、国内ホテルの利用履歴から嘘を見抜く。 SNSで助けを求めながら証拠を集めた先で、浮気相手が実の妹だと知る。裏切りを暴き、離婚と制裁を経て、自分の人生と新しい愛を取り戻す物語。

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第1話

あらすじ

親指が、画面の上で止まっている。

もう10分も、こうしている。

画面には、打ち終えた文章がある。

【いまから夫が浮気をします。これまでの全部を、さらします】

指先が冷たい。心臓の音だけが、やけに大きい。

押した。

1秒の静寂。

それから、通知が雪崩れた。

【えっ、どういうこと!?】

【待ってた。ずっと待ってました】

【奥さん、ついにやるんですね】

【拡散します。みんな見て】

【証拠、全部あるんですよね。見届けます】

画面が、震え続けている。リプライの数字が二桁になり、三桁になり、見たこともない速さで回り始める。

3か月前には、フォロワーが1人もいなかったアカウントだ。

いまは、私が次の一文を打つのを、何千人もの人が待っている。

画面の向こうにいる人たちは、夫の顔も、私の本名も知らない。それでも、この3か月、私が見つけたものを一緒に数えてくれた。

パスポート。レシート。カード明細。そして、最後の写真。

ここまで来たら、もう戻れない。

どうして、こうなったのか。

話は、3か月前に戻る。

……

夫が韓国出張と偽って会っていた相手は、私の妹だった。

3歳の息子を守るため、私は匿名の投稿と証拠を武器に、2人の嘘を暴いて離婚する。

裏切られた妻が仕事と愛と家族を自分の手で選び直す、痛快な再生物語です

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親指が、画面の上で止まっている。もう10分も、こうしている。画面には、打ち終えた文章がある。【いまから夫が浮気をします。これまでの全部を、さらします】指先が冷たい。心臓の音だけが、やけに大きい。押した。1秒の静寂。それから、通知が雪崩れた。【えっ、どういうこと!?】 【待ってた。ずっと待ってました】 【奥さん、ついにやるんですね】 【拡散します。みんな見て】【証拠、全部あるんですよね。見届けます】画面が、震え続けている。リプライの数字が二桁になり、三桁になり、見たこともない速さで回り始める。3か月前には、フォロワーが1人もいなかったアカウントだ。いまは、私が次の一文を打つのを、何千人もの人が待っている。画面の向こうにいる人たちは、夫の顔も、私の本名も知らない。それでも、この3か月、私が見つけたものを一緒に数えてくれた。パスポート。レシート。カード明細。そして、最後の写真。ここまで来たら、もう戻れない。どうして、こうなったのか。話は、3か月前に戻る。……夫が韓国出張と偽って会っていた相手は、私の妹だった。3歳の息子を守るため、私は匿名の投稿と証拠を武器に、2人の嘘を暴いて離婚する。裏切られた妻が仕事と愛と家族を自分の手で選び直す、痛快な再生物語です
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1話
親指が、画面の上で止まっている。もう10分も、こうしている。画面には、打ち終えた文章がある。【いまから夫が浮気をします。これまでの全部を、さらします】指先が冷たい。心臓の音だけが、やけに大きい。押した。1秒の静寂。それから、通知が雪崩れた。【えっ、どういうこと!?】 【待ってた。ずっと待ってました】 【奥さん、ついにやるんですね】 【拡散します。みんな見て】 【証拠、全部あるんですよね。見届けます】画面が、震え続けている。リプライの数字が2桁になり、3桁になり、見たこともない速さで回り始める。3カ月前には、フォロワーが1人もいなかったアカウントだ。いまは、私が次の一文を打つのを、何千人もの人が待っている。画面の向こうにいる人たちは、夫の顔も、私の本名も知らない。それでも、この3カ月、私が見つけたものを一緒に数えてくれた。パスポート。レシート。カード明細。そして、最後の写真。ここまで来たら、もう戻れない。どうして、こうなったのか。話は、3カ月前に戻る。……「陽翔、ほら、靴」「じぶんで!」3歳の息子、結城陽翔(ゆうき はると)は、最近なんでも自分でやりたがる。左右逆の靴を履き直させて、幼稚園バスに手を振って、それで私の午前が始まる。バスが角を曲がるまで、陽翔は窓へ顔を押しつけて手を振る。見えなくなってから家へ戻ると、玄関には脱ぎ散らかした小さな靴と、夫の結城崇(ゆうき たかし)が揃えて置いた革靴が並んでいた。私は、その光景が好きだった。大人と子どもの靴が同じ家に並ぶ。それだけで、自分が作りたかった家庭を持てた気がした。結城美咲(ゆうき みさき)、29歳。育休中。復職予定までは、あと半年。昼間は陽翔の衣替えをし、夕方には幼稚園へ迎えに行く。崇の帰宅が遅い日は、夕食をラップで包み、陽翔と2人で先に食べる。忙しくても、不満はなかった。崇が働き、私がいま家を守る。陽翔がもう少し大きくなったら、また2人で働く。そういう途中にいるだけだと思っていた。夫の崇は大手商社の営業マンで、朝は7時に出て、夜は遅い。その夜も、遅かった。「ごめん、接待」玄関で崇はそう言って、私の横をすり抜けた。その瞬間、ふわりと香った。甘い匂いだった。私のものではない。花のような匂い。私は陽翔が生まれてから、香水を使わなくなった。抱き
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2話
「来週から韓国。1週間」夕食の席で、崇は目を合わせずに言った。箸が、一瞬止まった。「韓国? 急だね」「ああ。先方の工場でトラブル。うちの部署から誰か出せって」崇の部署は国内営業だ。海外案件は別のフロアの仕事のはず。海外出張なら、いつも総務から日程表が来る。航空券の時間、現地の連絡先、泊まるホテル。新婚旅行のあとに一度だけ台湾へ出張したとき、崇は印刷した予定表を冷蔵庫へ貼っていた。今回は、何もない。「飛行機、何時?」「まだ最終調整中。会社で取るから」「泊まる場所は?」「先方が用意する。決まったら送るよ」答えは返ってくる。でも、確認できるものはひとつも返ってこなかった。でも、私が「そうなの?」と聞き返すより早く、崇は続けた。「香織に手伝い頼んどいたから。美咲、ワンオペきついだろ」「……香織に? もう?」「昨日、たまたま連絡来たからさ」たまたま。香織。妹の遠野香織(とおの かおり)のことだ。夫が出張を知った翌日に、妹から連絡が来る。そこだけを切り取れば、偶然で説明できる。けれど、私がまだ知らなかった予定を、香織はもう知っていた。その言葉を、私はそのまま飲み込んだ。妹が兄夫婦を気にかけてくれる。ありがたい話のはずだった。……香織は次の日の夕方、大きなエコバッグを提げてやってきた。「お姉ちゃん、はい、これ陽翔くんの好きなゼリー。あと崇さんが好きなやつ、お惣菜のとこの唐揚げ」「え、覚えてたの? あの唐揚げ」「前に食べておいしいって言ってたじゃん」香織はフリーランスのデザイナーで、時間の融通が利く。垢抜けていて、気が利いて、陽翔にも懐かれている。「1週間ずっと来てもらうのは悪いよ」「泊まらないよ。火曜と木曜は幼稚園バスのお迎えに間に合うから、そのまま夕飯とお風呂まで手伝う。土曜は陽翔くんを公園へ連れていく。それなら、お姉ちゃんも買い物できるでしょ」具体的な曜日まで、もう決めていた。助かる予定だった。陽翔の迎え、夕飯、入浴。その3つが2日分減るだけで、1週間の重さはかなり違う。「ありがとう。本当に助かる」「姉妹なんだから、当たり前」香織は、私がいちばん欲しかった言葉を、いつも迷わずくれた。両親が遠方へ引っ越してから、何かあれば真っ先に駆けつけてくれるのは香織だった。陽翔の発熱で私が一晩眠れなかった翌朝も、
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3話
崇が出発して3日目の朝、スマホを開いたら、通知が20件ついていた。【わかります。うちも夫が単身赴任で、育児ぜんぶ私】 【ワンオペ1週間はきつい。無理しないで】 【手抜きご飯でいいんですよ。母が倒れたら終わりだから】知らない人たちだった。顔も名前も知らない誰かが、私の30秒の愚痴に、まじめに返事をくれていた。その中に、ひとつ、長めのコメントがあった。【うちの夫も昔「出張」が増えた時期がありました。結果は、書かなくてもわかりますよね。奥さんのことが心配です。何かあったら、1人で抱えないで。一緒に見ましょう】アイコンは、手描きふうの丸い顔。名前の欄には「まる子」とあった。一緒に見ましょう。その1行を、私は何度も読み返した。見る。何を?——決まってる。私がずっと、見ないふりをしてきたものを。台所で、鍋の火を止めて、気がついたら泣いていた。悲しかったんじゃない。誰かに「疑ってもいいんだよ」と、初めて許された気がしたのだ。ほかの返信も、ひとつずつ読んだ。【出張先のホテル名と、帰国便だけでも聞いておいたほうがいい】 【今すぐ問い詰めないで。違っていたら謝ればいい。でも、記録は残して】 【お子さんがいるなら、あなたの生活を守るのが先です】誰も「浮気だ」と決めつけてはいなかった。私より先に怒る人と、私より冷静な人がいる。その両方に挟まれて、ようやく私は、自分の違和感をなかったことにしなくていいと思えた。……崇からのLINEは、まめに来た。【着いた】 【会食終わり。もう寝る】私が【陽翔が声を聞きたがってる】と送ると、返事は決まって【今日は無理。先方と一緒】だった。写真を頼んでも、届くのはホテルの部屋でも韓国の街でもなく、コンビニで買ったらしいコーヒーの紙カップだけ。商品名は、日本でも売っているものだった。返信は、いつも妙に早かった。時差を計算しようとして、指が止まる。韓国と日本に、時差はない。じゃあ、この「早さ」の違和感は何だろう。……そうだ。国内にいるときと、まったく同じ速さなのだ。仕事中でも会食中でも、5分と空けずに既読がつく。海外の工場でトラブル対応をしている人の、既読の速さだろうか。考えすぎ。また、いつもの言葉で蓋をした。……その日の午後、陽翔の保険証が見当たらなかった。来週、幼稚園の検診がある。家族の書類はぜ
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