「ハハ、そんなにご謙遜なさらなくても。今の時代、研究開発の成果を実用化までこぎつけるのが、どれほど難しいことか、みんなよく分かっているよ。あなたは本当に優秀で、うちの研究所を引っ張る存在だよ。俺たちも見習わないといけないくらいだ」和孝はさらに続けた。和孝のお世辞と、その場にいた他の面々の羨望と敬意のこもった視線を受けて、照美の虚栄心は大いに満たされた。それでも、口から出る言葉は相変わらず皮肉めいていた。「どんなに優秀でも、ぽっと出のコネ採用に管理される羽目になったら意味ないでしょう」照美がそう言うと、給湯室にいた他の面々の表情が再び変わり、宥里への反発心もそれに伴って一層強まった。話が回り回って、また宥里の話題に戻ってしまったのを見て、和孝が再び話を逸らそうと口を開きかけたその時、コーヒーを淹れ終えた麻衣子が珍しく自分から口を開いた。「宇野さんの新しいプロジェクトの報告書、私も拝見しました」照美は、麻衣子が次に自分のプロジェクトを称賛してくれるものと思い込み、得意げな顔で相手の続きの言葉を待った。だが目にしたのは、眉根を寄せ、真剣な表情で告げる麻衣子の姿だった。「その研究プロジェクトなんですが、以前私が読んだ国内のマイナーな学術誌に、よく似た導出過程を扱った論文が掲載されていたような気がして」「何をでたらめを言っているの!私が盗作したとでも言いたいわけ?」それを聞いた瞬間、照美の顔色がさっと変わった。「そういう意味ではありません」麻衣子はしきりに手を振った。「ただ確認したかっただけです。その論文の著者は、もしかして宇野さんご自身なんですか?」もしそうなら、それは本当に素晴らしいことだ。その著者は、麻衣子にとって憧れの存在だったのだから。「何の学術誌?何の論文?何を言っているのか、さっぱりわからないわ。これは私自身の研究よ、私に言いがかりをつけるのはやめて!」照美は怒りをあらわにし、目を真っ赤にした。和孝はそれを見て、慌てて場を取り繕おうとした。「そうだよ、それはさすがに言いすぎだ。証拠もないのに、そんな言い方はよくない。副所長でさえ審査を通しているんだから、独自性に問題はないってことだろう。宇野さんはうちの研究所の中核研究員だ。彼女を貶めるような真似は、やめたほうがいい」照美の反
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