地下回廊を満たしていた銀色の光は、ゆっくりと収束していった。 月華と銀牙。 二つの力が完全に共鳴したことで、濃密だった黒霧は嘘のように薄れていく。 倒れていた研究者たちの身体からも黒い靄が少しずつ抜け始めていた。「……黒霧が」 ユリウスが信じられないものを見るように呟く。「浄化されている……」「違う」 第一王子が静かに首を振る。「浄化だけではない」 彼はリリアとレオンを見つめた。「二人の力が黒霧そのものを押さえ込んでいる」 リリアはレオンの手を握ったまま、小さく息を整えていた。 身体は重い。 胸の奥が焼けるように熱い。 だが、不思議と以前のような記憶を削られる感覚はない。「……大丈夫です」「本当か?」 レオンが真っ先に尋ねる。「はい」 リリアは微笑んだ。「ちゃんと覚えています」「俺の名前は?」「レオン・ヴァルハルト公爵様」「その次」「私の恋人です」 レオンは耳まで赤くなる。 周囲には第一王子も騎士たちもいる。 それを思い出したリリアも、数秒遅れて顔を真っ赤にした。「……あ」「い、今のは聞かなかったことにしてください!」 直属騎士たちは慌てて視線を逸らした。 ユリウスは咳払いをする。 第一王子だけが疲れたように額を押さえた。「地下で命懸けの戦いをしている最中に、君たちは本当に……」「申し訳ありません。」 リリアは縮こまる。 レオンは黙っていた。 だが、口元だけは少し緩んでいた。 ◇ その時だった。 どくん。 地
Last Updated : 2026-09-06 Read more