十二月になった。 ルシェムに、本格的な冬が来た。 朝の窓を開けると、息が白くなった。 霜が降りることもあった。 でも、学院の石畳ほどではなかった。 ルシェムの霜は、薄くて、少しはかなかった。 朝のうちに溶けてしまう。 でも、あった。 エリナは毎朝、その薄い霜を見て、少し思い出した。 学院の石畳の音を。 十二月になってから、手紙が増えた。 レインから。フィオナから。マグダから。シェナから。ジルカから。ダリウスから。 それぞれが、年末に向けた動きを届けてくれた。 レインからの最初の手紙が、帰ってきてから一週間後に届いた。 エリナへ「遠くに行ったから、帰ってくる場所がわかった」という言葉を、何度か読んだ。 俺も、同じかもしれない。孤児院を出て学院に来た時、初めて帰ってくる場所、という感覚がわかった。出たことで、わかった。 お前が来てくれてから、図書室の感じが少し変わった。前に書いた通り、いつもより綺麗に見える時がある。それが続いている。 なぜそうなるかを考えた。たぶん、お前がそこで見ていたことを、俺も知っているから、一緒に見ている感じがするのかもしれない。 うまく言葉にできないが、あることは確かだ。 来年の冬を、楽しみにしている。 それまで、手紙を書き続ける。 ――レイン―― エリナは「一緒に見ている感じがする」という一行を、少しだけ見た。 別々の場所にいるのに、一緒に見ている。 それは、手紙というものの形かもしれない。 レインへ「一緒に見ている感じがする」という言葉を受け取りました。 私も、ルシェムで霜を見る時、学院の石畳を思い出します。薄くてはかない霜ですが、あの音を思い出します。 別々の場所にいるのに、同じものを見ている。それが、手紙というものかもしれない、と思いました。 こちらは、冬になりました。倉
Last Updated : 2026-10-07 Read more