ダリウスが帰った翌日から、波紋が広がり始めた。 エリナが速達を出した二通の手紙が、それぞれの場所に届いた。 最初に返事が来たのは、フィオナからだった。 翌日の夕方に届いた。 エリナへ 読んだ。 三回読んだ。 クロヴェル家の方針転換が、書類として残る形で決まった、ということの意味を、少し整理している。 王都での影響を、正直に書く。 これは、宮廷の空気を大きく変える可能性がある。クロヴェルは、長年、魔法省の実質的な黒幕だった。その家が方針を変えれば、魔法省内の力の均衡が変わる。クロヴェルを後ろ盾にしていた人間が、判断を変えなければならなくなる。 一緒に動く、という提案は、正しいと思う。でも、慎重に進める必要がある。ダリウスが変わったとしても、クロヴェル家の全員が変わったわけではない。書類として残る方針でも、実際の行動が伴うかどうかは、これから見ていく必要がある。 私は、王都で動きを見続ける。何かあれば、すぐに連絡する。 それと、エリナ。 今日、少し泣いた。理由は、うまく言葉にできない。でも、長い時間がかかったことが、形になった、という感覚があって。 ――フィオナ―― エリナはフィオナの手紙を読んで、最後の数行を少しだけ見た。 少し泣いた。 フィオナが、そういうことを書いた。 フィオナへ 手紙を読んだ。慎重に進めることが正しいと、私も思っています。書類になっても、実際の行動が伴うかどうかを、引き続き見ていく必要がある。あなたが王都で動き続けてくれることが、一番大事です。「少し泣いた」という言葉を受け取りました。うまく言葉にできないと書いてくれた。それで十分です。 私は、泣かなかった。でも、眠れなかった。それが、私の反応だったと思います。 ――エリナ―― レインからの返事は、三日後に来た。 エリナへ
Last Updated : 2026-10-17 Read more