学園に戻って授業を受けるようになった僕は、ジュリアにマナーを教えながら、勉強も一緒にしている。 同級生であり、本来小説の中で活躍する主要メンバーへの挨拶を終えたので、あとはのんびりと、エリザベートやジュリア、アイリーンさんと過ごして三年間を終えればいい。 何事もなく領地に帰れるのが一番だ。 まだ自分が安全なモブライフを送れるのかは不明だが、できることをしていくしかない。 ジュリアや、ボートレース場のお爺さんからもらった奴隷たちのことも知っていかなければならない。 奴隷はジュリアを含めて七名いる。そのうち、女性が六名、男性が一名だ。「さて、君たちの名前を教えてくれるかい? その前に、僕の自己紹介からするね。君たちのご主人様になったフライ・エルトールだ。帝国公爵家の次男で、後々は領地に帰り、悠々自適な老後生活を送るために、兄上を手伝って領地の発展を目指すつもりだ」 実際は、ブライド・スレイヤー・ハーケンス様が大陸統一を目指して動き出すから、自分の領地だけはしっかり守ろうというだけなんだよね。 情けない話だけど、平凡な僕には、世界を救うとか戦争を止めるとか、そんな高い志はない。せいぜい、自分の周りにいる人たちを守るくらいのことはしようと思っているだけだ。「はいはい! ジュリアは獣人族です。年齢は十五歳です!」「うんうん。ジュリアは偉いね」 ジュリアは僕と同い年ではあるが、これまで教育というものを受けたことがないので、少し幼い。 逃走している時には常に気を張り、警戒を強めていたが、今ではすっかり素直で可愛いワンコ娘だ。「へへへ」 モフモフの頭を撫でてあげると、とても嬉しそうな顔をする。 僕は残りの六人に視線を向けた。 コウモリのような羽を持ち、黒髪に赤色のメッシュが交じる少女は、自信なさそうな顔をしながら、こちらをちらちらと見ている。「君の名前は?」「メムです。夢魔族なのです」「メムか、よろしく。今日から僕が君の主人だ」「あのっ! あの!」「うん?」「メムは夢魔族なのです。十八歳なのです!」「ああ?」「だから、ご飯を食べないと死んじゃうのです」 うーん、要領を得ない。ご飯を食べたいということはわかるけど、夢魔族のご飯といえば、普通の食事ではないということか? 魔人族は、それぞれ特殊な食事を取ると聞いたことがある。
Last Updated : 2026-08-06 Read more