変わり映えのしない人生に変化を求めていた。 人とは違う人生を歩みたい。そんなことを思っても、結局は世間の歯車の一つとして、会社に行って時間を潰して、友人たちとバカな話をして酒を飲む。 楽しみなどそれぐらいしか存在しない。いや、若い頃にはいくらでも楽しみは存在していた。 だけど、歳を重ねるごとに、いつからか楽しみは減っていった。体も鈍って、動かすことが億劫になった。 昔は運動が得意だった。 恋愛だって、女性を口説くために友人たちと作戦を練った。 身なりに気をつけて、お金がないのでバイトに明け暮れて。やっとできた恋人がいるくせに、他の女性を口説こうという意欲もあった。 だけど、どれも歳と共に倫理に囚われ、理性という檻と、若くないという戒めによって制限される。 誰かに迷惑をかけることをしてはいけない。 ただ大人しく仕事をして、お金を稼いで、ささやかな楽しみにお金を注いで、老後を待つだけの日々。そんな日々で本当にいいのだろうか? 不意に訪れる疑問は不安を与えてきて、少しでも何かに夢中になりたいと思って、本を手に取った。 最近は電子書籍やWEB投稿も増えているから、いくらでも現実から離れて物語の中へ没入することができた。 そんな中でも戦略、戦術、謀略、計略、政変など、戦争が起きる小説が大好きで読み漁っていた。だからといって、オタクになれるほど真剣でもなくて、戦略や戦術を覚えられるわけでもない。 ただ、物語の中に出てくる英雄たちに憧れ、彼らのような冒険をして、活躍してみたい。もしくは、大金持ちの子供に生まれ変わって、傍若無人に振る舞ってみたい。 はたまた、悪役になってカッコいいセリフを告げながら散っていく。 どんなキャラクターも憧れの存在だった。いつか生まれ変わるなら、そうなりたい。 平和なことは美徳であり、平和な世界に生まれたことは幸せなことだ。それは間違いない。だけど、僕の能力は平凡で、英雄になれる素質も存在しない。 僕にとって幸福とはなんだったのだろうか? ♢「オギャー、オギャー」 変化が訪れたことに気づいたのは、赤ん坊の泣き声を聞いた時だった。(えっ? どういうことでしょうか? 身動きが取れません。目は霞んで、自分の体とは思えないほど動かすのが億劫です)「あらあら、フライは泣き虫ね。お兄ちゃんはそんなに泣かなかったわよ」
Última actualización : 2026-07-29 Leer más