「セシー?セシリア?顔色が悪い。大丈夫か?」 「大丈夫です……」 王城の一室で、ソファーに隣り合わせで座っている魔族と人間。その寄り添う姿から、二人は深い絆で結ばれているのが伝わってくる。 「セシー、君も薄々気づいていると思うが、君のお腹の中には私達の子が宿っている。セシー、ありがとう。私達の子供だ」 「アレク様……」 「どうした?浮かない顔をしている。もしかして……後悔しているのか?もしそうだとしても、すまない。離すことはできない」 窓から柔らかな風が入り込む。長く美しい髪がサラサラと揺れる。血のように赤い瞳、不気味だと忌み嫌われる魔族。その特徴を濃く持つ魔族のアレクセイ。 セシリアは、アレクセイに恋してしまった。人間と魔族が結ばれるなど言語道断。侯爵令嬢であるセシリアは、家族の反対を押し切り、逃げるように駆け落ちしたのだ。 妊娠?私のお腹の中に赤ちゃんがいるの? セシリアは、そっと腹部に手を当てる。 「嬉しい……。でも、不安です。この子は、受け入れてもらえるでしょうか」 人間と魔族のハーフ。このまま、魔族が暮らすこの国で生きていけるだろうか。 「この子は、魔力が強い。まだ妊娠初期なのに、ここまで感じ取れるのは異例だ。きっと大丈夫だ」 「ふふ、アレク様がそうおっしゃるのなら、安心です。っ!」 ぐらりと視界が揺れる。 どうしたのかしら。 「セシリア!セシリア!誰か!おい、すぐに医者を!」 「どうされたのですか?王妃様‼︎ すぐに医者を呼んで参ります」 だめだ……。力が入らない。 「陛下、魔力が強すぎて王妃様の身体に影響がでております。つわりの症状とも違います。このままでは王妃様の命の危険にも繋がりかねません」 「なんだとっ‼︎ セシー、なんとしてでも助ける……」 「恐れながら申しあげます生まれ育った人間の国へ、連れて行かれた方がいいかと思われます。魔力の強い子は意図せず、母体を傷つけることがあります。周囲に魔力の強い者が多いここにいては、魔力が暴走しかねません」 「だが……」 アレクセイは、ベッドに横たわる血の気の失せたセシリアを見つめ、言葉に詰まる。 「ごめん……なさい……迷惑かけて……」 「セシリア……愛してる……」 私もよ。アレク。 だからこそ、あなたとの子どもである、この子を産みたいの。 もし、国に帰
最終更新日 : 2026-07-30 続きを読む