カレンダーが12月へと変わり、街を歩く人々の吐く息が白く染まり始めた頃。 フルリールの店内も、すっかりクリスマスカラーへと様変わりしていた。 真っ赤に色づいたポインセチアの鉢植えや、雪のように白いクリスマスローズ。入り口にはオーナメントで可愛らしく飾り付けられたコニファーが並び、来店する客たちの目を楽しませている。「今年は店員も増えたことだし、クリスマスリース、去年よりもっと種類を増やしましょう!」 店長の梓が高らかに宣言した結果、店のバックヤードは今、モミの枝やヒムロスギ、松ぼっくりに様々な木の実、そして色とりどりのリボンで埋め尽くされていた。「……店長。俺、これ今日あと何個作ればいいんスか?」 エプロン姿の雄之助が、モミの枝を丸めながら恨めしそうに尋ねる。「そうねぇ、とりあえず十個かしら!」「十個!?」 極道の武闘派が、なぜ花屋のバックヤードでひたすらクリスマスリースを内職させられているのか。雄之助は「俺の太い指には合わねぇッス……」とブツブツ文句をこぼしていた。 だが、刃物の扱いや銃の手入れで鍛え上げられた彼の指先は、実は異様に器用だった。 出来上がったリースは、葉のバランスも木の実の配置も完璧で、売り物にしても全く遜色のない……というより、むしろプロ顔負けの異様に高い完成度を誇っていた。「雄之助くん、すっごく上手じゃない! 次はこの赤いリボンをつけてみて!」「ううっ、こき使われてる気がするッス……!」 バックヤードで賑やかなやり取りが繰り広げられる一方、店舗のフロアには、クリスマスを控えた男性客が多く足を運ぶようになっていた。「彼女へのプレゼントに、花束を添えたくて」「クリスマスディナーのあとに渡すなら、どんな花がいいですかね?」 慣れない花屋で緊張気味に相談を持ちかけてくる男性客たち。 彼らの対応を完璧にこなしていたのは、他でもない理聖だった。「お相手の方は、普段どのような雰囲気のお洋服を着られていますか?」 理聖は穏やかな微笑みを浮かべ、男性客の要望を丁寧に汲み取っていく。「可愛らしい雰囲気がお好きなら、こちらの淡いピンクのバラに、白いかすみ草を合わせるのはいかがでしょう。クリスマスの夜にぴったりの、ロマンチックな仕上がりになりますよ」「おお……それ、すごくいいですね! それでお願いします!」 理聖は迷い
Última atualização : 2026-09-23 Ler mais