本当に、大好きだった。 ごまかしのない、真っ直ぐな和花の告白。 それを聞いた瞬間、蒼士の表情が苦痛に歪み、激しく揺れた。 だからこそ、目の前の幼なじみが理解できないのだ。 弟を心から慕ってくれていたはずの和花が、なぜその命を奪った男の側に立つことができるのか。「だったら……! だったらなんで、あいつを選べるんだよ!」 蒼士の悲痛な叫びが、冷え切った路地裏の空気を震わせる。 和花は蒼士の怒りから目を逸らさず、静かに言葉を返した。「でも、紅雅が亡くなったって聞いたのは、ずっと昔だよ」 ぽつりとこぼれたその一言に、蒼士はハッと息を呑んだ。 和花はずっと、紅雅は不慮の交通事故で命を落としたのだと聞かされていた。 当時中学生だった彼女は、大人たちのついたその優しい嘘を信じるしかなかったのだ。「何年もかけて……泣いて、悩んで、どうして紅雅がいなくなっちゃったんだろうって、ずっと苦しかった。それでも……もう二度と会えないんだって、紅雅がいない人生を、私なりに必死に受け入れてきたの」 和花の両手が、胸の前でぎゅっと握り締められる。「今になって……本当は事故じゃなく、殺されてたんだって聞かされても。時間を巻き戻すことなんて、もうできないよ」 ぽっかりと空いた心の穴を、途方もない時間をかけて少しずつ塞いできた。 その痛みの痕を再び抉り出されたからといって、すべてを当時の感情のままにやり直すことなどできない。「だからって……久世を許すって言うのか」 蒼士が、絞り出すような低い声で問う。「そうじゃない」 和花はゆっくりと、けれどはっきりと首を横に振った。「許すとか、許さないとか……そんな、単純な話じゃないの」 紅雅を心から好きだった過去の自分も、本当。 彼が突然この世からいなくなってしまったことを、今でも悲しいと思う気持ちも、本当。 そして現在――久世理聖という一人の人間を、大切に想い、愛している気持ちも、絶対に嘘ではない。「紅雅を好きだったからって……私は、一生誰かを憎み続けなきゃいけないの?」 和花の切実な問いかけに、蒼士は言葉に詰まった。 弟の死から時間が止まり、憎しみだけを糧に生きてきた蒼士の心に、その真っ直ぐな言葉が鋭く突き刺さる。「理聖さんは、自分がやったことをなかったことにしようとなんてしてない」 和花の脳裏に、罪
Last Updated : 2026-10-23 Read more